川柳・・入選のコツ その1

ウェブのメモとして



2007年12月04日
「学問に王道なし」といいますが、川柳にも王道はありません。
私からアドバイスできる「コツ」があるとすれば、3つの「コツ」でしょう。
3回に分けてご紹介します。参考にしてください。

コツ1 単純発想を避ける
第3回の「マネー川柳」は、8万5千句を超える応募がありました。選者としては、全ての句に目を通すわけですが、「同想句」はひとつのチェックポイントになります。

たとえば、
  ATM 利子より高い 手数料
という句は、第2回も多く見受けましたが、第3回でも10名以上の方から同じ句が応募されていました。残念ですがこういった「同想句」は候補にあげることができません。

さらに、
  ATM 利息うち消す 手数料
  ATM 利息を越える 手数料
  ATM 利息吹き飛ぶ 手数料
  ああイヤだ 利子より高い 手数料
などの「類想句」まで入れると、100句以上の句がこのパターンでした。こういった、誰もが思いつく事象を説明しただけでは、入選に至ることは難しいでしょう。

前回に続き、3つの「コツ」の2つ目をご紹介します。

コツ2 一語を大切に
川柳は「五・七・五」、たった十七音の勝負です。一語、一音を大切にしましょう。

  のし袋 中味を談合 したようだ
この句は、「五・八・五」のいわゆる「中八」になっていて、リズム感に欠けています。
  のし袋 中味談合 したようだ
「を」という助詞を外しても大きく意味は変わりません。こちらの方がリズム良く、十分理解もできますね。

また、昨年のノミネート作品にこういうのがありました。
  家よりも ローンのほうが 長持ちだ
悪い発想ではなく、面白いところに目がつけられています。ただ下五の「長持ちだ」というコトバが説明的で気になります。
たとえば、
  家よりも 耐久寿命 あるローン
とすれば、多少なりとも説明的ニュアンスはなくなり、
  家よりも 寿命を誇る マイローン
のようにすれば、作者の悲哀が伝わり、読者の共感を得ることができます。

同じモチーフでも、一語の大切さ、アピールの強さにこだわってみてください。


最後の「コツ」です。

コツ3 時代を読み込む
上手い句は、上手い句として入選のチャンスが多いことは事実です。
しかし、いくら上手くても昭和にあった社会・風俗を描いても意味がありませんし、江戸時代からの風俗を取り上げても、上位にはなりません。
入選作品としてさいごに要求される大切なコツは「鮮度」です。
今という時代の中の「マネー」を作者自身の視点で切り取り、十七音という川柳の器に盛り付けることが、公募川柳における大切な視点です。

第1回から3回までの「マネー川柳」大賞句には、それぞれの時代が確実に反映されていました。

  第1回大賞
  ペイオフに かすりもせぬ金 壺に貯め 春秋子

  第2回大賞
  ケータイで 夢もおでんも 買う日本 八街落花生

  第3回大賞
  また一つ タダが消えてく レジ袋 紫陽花ママ

3回にわたって「入選のコツ」をご紹介しました。これらの「コツ」は難しいものではなく、ちょっと気に止めておくだけすぐに実践できるものばかりです。マネー川柳の応募締切まであと1ケ月半。さぁ、この3つのコツをいかしてラストスパートです。

公募川柳の発表は、多くの人々が目にします。
ここでは最低限守りたいルールを3回に分けてご紹介します。

(1)投稿規定を厳守
新聞、雑誌、企業、どこが募集するにせよ、それぞれ投稿規定を掲載しています。規定をよく読んで、守るようにしましょう。

【様 式】
インターネット上の募集は、応募フォームがありますのでそれを使います。
規定に「ハガキ」とあったら、できるだけ官製ハガキを使います。同形の私製はがきでも構いませんが、絵はがきは書く面が裏表になるので避けた方がいいでしょう。便せん書きの封書や、画用紙などをはがき大に切って使ったり、ファックスでの投稿は、規定違反として失格になる場合もあります。注意しましょう。

【投句数】
投句数の制限が明記してあったら、それ以上の句数を書かないことが大切です。
ちなみに〈オリックス マネー川柳〉は、規定が1回に3句までですから、3句以内にしましょう。

【宛て名】
宛て名も規定どおり正しく書きましょう。「○○係」の後には「御中」なり「様」「殿」をつけるようにしましょう。

(2)ハガキには句以外は書かないこと
【書 式】
規定に、住所・氏名・性別・年齢・職業・電話番号、また氏名への振り仮名が指定してあれば、それを書き添えるのは当然ですが、自分の句に感想や注釈をつけたり、事務局あてに選者への私信、マンガなどを書き入れて来る投書がありますが、選考に際しては、句以外の要素は選考対象にはならないと思ってください。
また句の上に、番号や「一、」をつけたり、句全体を「 」ではさんだり、句尾に「。」をつけたりするのも必要ありません。シンプルが一番です。

【表 記】
文字の巧拙さではなく、小さすぎる字、はがきからはみ出しそうな大きな字、ぞんざいな崩し字、うすいインクで書かれた字などの読みにくさは、句の内容以前にハンデを負ってしまいます。もちろん誤字、脱字にはくれぐれも注意してください。
また特別の読みをさせる場合以外、句に振り仮名は必要ありません。
一句は、できるだけ一行に書く(二句なら二行に、三句なら三行に)ことがのぞましく、句中に5□7□5とコマあきを作ったり、5、7、5と句点を打ったりするのも、必要ありません。
川柳は本来、一呼吸で読み下す直立した一行詩なのです。
※最近ワープロソフトによる変換ミスが多くみられます。ハガキの場合の書き間違いも含めて、選考する立場では、訂正して使うことはありません。注意しましょう。

【筆記用具】
ふつうの濃さであれば、万年筆、ボールペン、鉛筆、毛筆、何でも構いませんが、文字はできるだけ楷書で、はっきりと書いてください。
文字を赤インクで書いたり、色を何種類も使ったカラフルなはがきがありますが、作品以外で目立とうとせず、やはりシンプルが一番です。