言葉のアルバム・・・

「暮らしの風」2009.3月号より。
“ボイスステーション”という読者からの投書のコーナーがあった。今月のテーマは「寄せ書き」となっていて、新潟県のある女性からの投書の中にあったワンフレーズだった。そこの最後の一文は、寄せ書きについて「写真とは一味違った、言葉のアルバムなのだなと思う」とあり、実にうまい表現を使っていると思った次第。
この季節は卒業シーズンのためか、また退職や転勤などの変化があるためか寄せ書きが思い出される。人が離れていく場合と、結婚などの祝福の際にも書かれたりする。また、スポーツなどの激励時にも旗などにか書かれたものを目にすることもある。
つまり、寄せ書きは非日常的な場面で登場してくるものだったことにも気づく。この投書の女性は転勤が多い仕事のため、お別れ会のときに職場仲間から寄せ書きをもらうのが恒例になっているという。するとそこには、ふだんの会話には出てこないが、自分のことをこんなふうなイメージで感じていたのだということが書かれたりしているそうだ。
長年一緒に仕事をしていても、言葉には出せないままの思いもあるのだろう。そんな本音の部分が最後になって書くことによって現れてくるのだろう。それを後で読み返すことは、写真とは異なるがアルバムのようなものだと感じていたのだ。人によって表現が異なるのは、写真の表情がいろいろなのと似ていそうだ。
振り返ってみれば、自分もどこかで寄せ書きを書いてもらったような気もするが、もうそれがどこにあるのかさえも思い出せない。なくなってしまったのだろう。むしろ、人に書いた方が多かったような気もするな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いろんな種類の列車が基地で“休憩”している・・・」
産経新聞」2009.3.16付けより。
テクノスケープといってもほとんどなじみのない言葉だろう。これは技術を景観を合成したことばだった。要するに工業地帯やダム、鉄塔のような人工建造物のおりなすアートを楽しむことだった。
そのテクノスケープ系として「車両基地」をテーマにしたを写真集を出版したという萩原雅紀さん(34)の記事があった。それまではダムの写真集を2冊出していたが新ジャンルを登場させていた。この写真集のサブタイトルには「整備された列車が出発し、役目を終えてまた帰ってくる場所」とあった。
タイトルにあげたように、列車が基地で休憩しているというふうにまるで人間のように表現しているところが面白い。それを見るとアートの心がある人にはワクワク感が湧いてくるのだろう。
基地に明かりがともるころ、夜の闇の中に浮かぶ列車群を小高い丘の上から撮影した写真が掲載されていたが、そこには昼間には見られない列車や風景が映っていた。色と光と奥行きのある構図のハーモニーが素晴らしい。
昼間は電車基地もかなりがらんとしてるが、鳥が羽を休めるように深夜には多くの車両が基地に戻ってきて眠っているようにも思える。私の住む地元にもか沿線ではかなり大きな電車基地があるが、もう一度アートを意識しながら眺めてみるかな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

約束の数だけ、ストーリーがある。
産経新聞」2009.3.16付けより。
たまたまこの日に買った新聞には「第13回プロミス(約束)エッセー大賞」が発表されていた。ここには大賞1点と優秀賞2点が掲載されていた。応募作品は3625点と昨年を上回っているらしい。
応募は原稿用紙400字詰めで4枚というからお手軽そうだ。しかも、大賞の賞金は100万円、優秀賞(2作品)30万円、佳作(10作品)5万円となっている。からかなり高額にも思える。最終審査員は7名だった。
さすが、消費者金融のプロミスだけあって大盤振る舞いか。当然宣伝効果を狙ってのものだろうが。さて、3作品をざっと読んでみると、約束といっても重苦しいものはなく、楽しく書かれていた。
タイトルにあげたフレーズはこのページのコピー文の半分だった。その後には次のように続いていた。「あらゆる瞬間、あらゆる場所で、約束は生まれます」と。
考えれば、毎日約束とは意識せずにいろいろな決まりごとに従って行動していることにも気づく。とくに仕事ではそれが守れなければ信頼や信用を失ってしまうだろうし。
実際には“ストーリーが生まれるほどの約束”ってそれほどしていなかったかも・・・(だから私は書けないな)。皆さん次回にでもぜひチャレンジしてみてはいかが。

////////////・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

川柳では「うがち」の精神が大切。
R25」2009.3.12号より。
最近はあらゆる会社が川柳の募集をしている。その中でも20年以上と歴史が長いのが「サラリーマン川柳」だろう。とはいえ、一般の主婦も会社員の夫について書いているのではないだろうか。
さて、「うがち」とはふだんあまり聞きなれない言葉なのでちょっと気になった。ウェブの辞書によれば、【穿ち】という感じになるらしい。意味は「(1)穴をあけること。(2)人の気づかない真相を探り出してみせること。また、人情の機微などを巧みに指摘してみせること。また、そのような事柄」とあった。
このフリーペパーにはさらに噛み砕いて書いてあった。「うがつ」とは本来「掘る」や「探す」を意味する動詞らしい。一般的には「うがった視点」といえば、「ひねくれたモノの見方」を表すようだ。しかし、川柳では「物事の本質を取り出す」という意味の大事な要素だとある。
実際に川柳を作る場合には次の3つを意識するといいらしい。1、単なる報告や説明の句にしない。2、使い古されてないたとえを使ってみる。3、テーマを設けて自分の実体験から言葉を探してみる。
こう言われてみると、ちょっと面倒くさくなってしまう。思いつきで無理やり作ってみるなら「このブログ コメントなければ 落書きか」「ブログなら 川柳よりも 簡単か」・・・