「どのように振舞うのが人として格好がよいのか」

論語と算盤」渋沢栄一著 守屋淳=訳より。
これを学ぼうとするとき、基本的教科書になっていたのが「論語」だったようだ。渋沢はこの「論語」の教えを実業の世界に持ち込んでいたのだった。
渋沢栄一は、日本の実業界、資本主義の制度を設計した人物だった。彼が設立に関わった会社は役470社、それ以外に500以上の慈善事業にも関わっていた。後にノーベル平和賞候補にもなっていた。
もともと資本主義や実業は、自分が金持ちになりたいとか、利益を増やしたいという欲望をエンジンとして前に進んでいく面があるようだ。
しかし、それはしばしば暴走し、惨事を引き起す。最近ではバブルの崩壊や金融危機などが思い出される。そんな暴走に歯止めをかける手段として「論語」が取り上げられていたのだ。

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おそよどんなに些細な仕事でも、それは大きな仕事の小さな一部なのだ。
論語と算盤」渋沢栄一著 守屋淳=訳より。
若いうちからやりがいのある仕事や、責任のある大きな仕事などはいきなりやらせてはくれないものだ。だから、面白味も少ない。ついつい不満を述べたくなってしまうもの。
つまらない仕事だと、軽蔑して力を入れないのもダメだという。全体から見れば、それは大きな仕事の一部分でもあるからだった。小さな仕事も満足にできなければ、当然大きな仕事はできないことになる。
分かりやすい例があった。時計の小さな針や、小さい歯車が怠けて働かなかったら、大きな針も止まらなければならない、と。また、何百万円の銀行でも、厘や銭単位の計算が違うと、その日の帳尻がつかなくなってしまう、と。(100年前の単位になっている)
些細なことを粗末にする習慣ついてしまうと、後日の大問題を引き起こすことになってしまう。最近ではソニーのゲーム機器を通じた1億にものぼる顧客情報の流失だろう。

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「趣味」のある行動であれば、必ずその仕事には心がこもるに違いない。
論語と算盤」渋沢栄一著 守屋淳=訳より。
ここでの「趣味」とはワクワクした面白味をもってものごとに臨むというような意味合いがあるらしい。また「理想」「欲望」とも「好んだり楽しんだり」とも受け取れるようだ。
仕事をする際には、単に自分の役割分担を決まりきった形でこなすだけなら、それは命令に従って処理しただけにすぎないことになってしまう。
そこに「趣味」を持って取り組むことで、さらに前向きな気持ちになれるという。それはまさにその通りだろう。仕事をより面白くするのは自身の創意工夫に違いない。
さらに、その「趣味」のレベルが上がることによって、それに見合った成果ももたらされるはずだという。「趣味」のある行動には心がこもるに違いない。お決まり通りではつまらないな。

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