料理人が幸せでないと、愛情の込もったおいしい料理は生まれない。

「父の仕事を継ぐ 自分の味をつくる」陳健一著より。
この一冊にこめられたメッセージはこのフレーズに要約されているように思えた。それはまたこの本のタイトルにも表れている。
陳健一の父は「中華の神様」と呼ばれていた陳健民だ。彼はその父の味に近づきたい、同じ味を出したいと悩んでいた一時期があった。しかし、彼を救ってくれたのは「真似ではなく自分の料理を作ればいい」という父の言葉だったのだ。
もちろん自分の味とはいっても、基本は越えてかなりのレベルまでは到達していたに違いない。そして、「料理の鉄人」ブームの時には「中華の鉄人」としても活躍していた。
彼が常に念頭においていることは、お客さんに食べてもらい満足を感じてもらうことができれば料理人は幸せなのだということだった。当然ながら彼自身も根っから食事を楽しむことに幸せを感じている。
しかも、彼が自分にも弟子にも徹底していることは、料理を通じて常に“お客さんのため”、“お客さんに幸せを感じてもらうため”に努力を惜しまないことのようだ。本当においしい料理は心構えからかな・・・