人間はあまりにも脳の情報に依存した食べ方に慣れてしまった。

「人間は脳で食べている」伏木亨著より。
その結果どうなったかというと筆者は次のように述べている。「現代人の多くは五感で直接食物の価値を判断する力が鈍くなってしまってきている。」
食物に対する膨大な情報によって、私たちは味わう前に判断しながら食べているのだ。たとえば、グルメ情報誌やCM、新聞をはじめマスコミの情報、ブランド、価格、賞味期限、それが売られている場所や生産地など・・・
口で味わう前に脳で判断している。だからこの本のタイトル通りの「人間は脳で食べている」ということになるのだろう。情報が美味しさの判断基準になってしまっている。例えば「天然モノ」という表示があればそれだけでもう、なんだか価値がありそうにも思えてくる。
ちょっとずれるかもしれないが、デパートの中元、歳暮時の贈答品にもそれは当てはまりそうだ。それは産地直送品の増加だ。10年ほど前までは今ほど産地直送の商品の取り扱いはなかった。しかし、グルメブームや安心感などから今では人気商品のジャンルでもある。
産地からの旬を送る、という感覚だけで新鮮ささえ感じられる。とはいっても、一般品よりも早く届けられるわけでもない。その生産物の旬になるまで配達は待たなければならないものもあるし、出来具合は天候にも左右される。でも、それがいいのかもしれない。産直という情報は選定基準のひとつになっているのだろう。
また、ミシュランの3つ星というのも権威によって与えられた情報だ。これが付いているレストランだから安全で美味しいに違いない、というのも情報になっている。また、有名ホテルの一流レストランだというなら、その雰囲気までもが味と同じくらいに大切なポイントにもなっている。
とはいえ、本当に美味しく食べるためには自分自身の体調がなにより重要な要素かも。もし、ストレスが溜まっていたらどんなに美味しいはずの料理も味わえませんから・・・ね。