準備したことに対しての精神的な安堵感・・・

準備したことに対しての精神的な安堵感・・・
「知られざる王国NHK」大下英治著より。
これはキャスターの挑戦と題して、松平定知について書かれたところにあったものだ。このあとには、「・・・と、何が起こるかわからない偶発性」と続いていた。
松平が初めて女優の沢村貞子にインタビューすることになり、先輩の森本毅郎に聞いたときに言われたアドバイスだった。
まず質問することの準備として、いくつか想定してみることが大事だったが、番組ではそれをすべて忘れろと言われたのだ。つまり予定通りでないところが面白くするポイントだということだった。
いい番組は、準備したことと、予想できない偶発性があることからできるという意味だったのだ。かなり深いアドバイスだな。


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和田はNHKでは深刻なドラマを撮っているときもいつも周りを笑わせていた。
「知られざる王国NHK」大下英治著より。
和田とはかつての有名な演出家だ。豪快な笑いは今でも思い出す。
とにかく駄じゃれが大好きで、ほとんどどんな時でも連発するから、それが自身のスタイルとなっていったのだ。
和田は、役者に一度頭に入ったストーリーを忘れてもらいたい気持から、駄じゃれを連発して笑わせていたのだった。すごいことができる人だ。それが演出だった。
「・・・さんまも、タモリもたけしも神経がある。フジテレビは神経御三家をうまくつかっている」と述べていた。面白い表現でもあった。
NHKを退職した和田にフジテレビ側から、「今年のNHKの紅白の裏番組をやってみたらどうですか」と言われたのだ。さすがにそれは引き受けなかったが、「それが私のいう神経です」といって笑いを誘ったらしい。

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和田はCMを邪魔者あつかいしていることに、腹立たしさをおぼえた。
「知られざる王国NHK」大下英治著より。

民放では当然ながら番組の途中にCMが入る。和田はCMはむしろ歓迎すべき時間だと考えていたのだ。CMも作品だともいう。
CMが入ることによって、前後のドラマがぐっとリアリティを持つものになると述べていた。CMが入ることで一気に十年飛ばせるからでもあった。NHKではそれができないなから「それから十年・・・」と入れなければならないそうだ。
15分というリズムもいいらしい。見る側にとっても、その時間に何かがさっとできるのは確かだ。それがないと、ずっとテレビ画面を見続けなければならない。
CMには有名なタレントや役者が必ず入っているのも計算にはいっているという。彼らさえドラマの出演者と考えていたという。すごい考えだと思った次第だ。