数字は嘘つきではない。嘘つきが数字を使う。

『本当の幸福を得る「唯一の方法」』森永卓郎著より。
この言葉を残しているのは、スティーヴン・ランズバーグ(1954〜)というシカゴ大学の経済学の教授だった。森永氏は新聞やテレビでニュースを見る時には、絶対頭に入れておきたい言葉だという。
数字を使ったトリックはしばしばあるようだ。使う側が有利な数字を使えば、それを信じてしまうかもしれない。すぐに数字を使いたがる人間は、逆に警戒した方がいいようだ。
数字を前面に出して説明されると、それがすべて真実かと錯覚してしまうこともあるようだ。それは危険なことだった。どのようなデータに基づいているか確認する必要もあるのだろう。
何かを決める際にも、単に出てきた数字だけで判断すると、しばしば大きな間違いを犯すこともある。大事なのは現場や現状を把握することが第一だろう。

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どんな愚か者でも質問には答えられる。重要なのは質問を発することだ。
『本当の幸福を得る「唯一の方法」』森永卓郎著より。
これはジョーン・ロビンソン(1903〜1983)イギリスの女性経済学者の言葉だった。質問に答えられる、という意味はそれが正解かどうかではなかった。たとえ間違っていても、答えをそらしてしまっても答えたことになるからだった。
だから、間違ってもかまわないということなら誰でも答えることはできるとも言える。ところが、質問をする側の立場なら、そうそう簡単には質問もできないはずだ。それはしっかりと事前の準備をしていなければ出来ないことだからだ。
森永氏が質問のプロフェッショナルと思っているのが、かつてニュースキャスターをしていた久米宏さんだった。鋭い質問をズバッと口にできたのは、大量の資料を事前に頭に入れていたからだった。
実は久米さんは、何もわからないから質問しているのではなく、何もかも知っているからこそたずねられたのだった。本当に利口な人間は、最高のタイミングで最高の質問ができる人だったのだ。

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人間はインセンティブに反応する。それこそが、経済学の核心だ。
『本当の幸福を得る「唯一の方法」』森永卓郎著より。
これも、一昨日触れたスティーヴン・ランズバーグの言葉だった。インセンティブとは、報酬、動機、刺激という意味だった。
誰でもインセンティブに反応するのは当然のことだった。それなりのメリットがあれば動きやすい。経済学は、お金の学問ではなく、「選択と交換を考える学問」だという。
人は自分にとって最もインセンティブの高い選択をするものらしい。その人と付き合えば、それなりのインセンティブがあると思えば、だれでも付き合いたいと思うものだ。
わざわざインセンティブという言葉を知らなくても、自然とそんな自分にとって有利な選択を常に行っているのだ。いつ買うかなどのタイミングも入りそうだ。