長い言葉というよりは、短いコメントが人々の心の中に刻み込まれてい

長い言葉というよりは、短いコメントが人々の心の中に刻み込まれていく・・・

「コメント力」齋藤孝著より。
まずは、しゃれたコメントについて述べられていた。例として挙げられていたのが、映画「カサブランカ」だった。主役だったハンフリー・バオガードが女に話しかけた場面は印象に残っている。
「ゆうべどこにいたの?」に対する答えは「そんなに昔のことは覚えてないね」だった。また「今夜会ってくれる?」では「そんなに先のことはわからない」だった。
対句になっていて、ジョークとしても考えられて面白い。この酒場のシーンを思い出すと、「アズ・タイム・ゴウズ・バイ」のメロディーを思い浮かんでくる。
また別の例としてはブルース・リー主演の映画「燃えよドラゴン」が挙げられていた。弟子の少年に拳法の極意を言っていた。英語では“Don't think,feel!”だった。考えるな体で(掴め)感じろ、ということになるらしい。
こんな短かい言葉なら覚えやすく、何度も繰り返せるのもメリットであるだろう。このシーンは映画のはじめの方の部分で出てきたので印象に残っている。確か香港の見晴らしのいい丘の上で教えていたように思える。

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聖書はイエス・キリストのコメントを集めたもの。

「コメント力」齋藤孝著より。
これを聞いて、ほうーそうだったのかと思った次第。つまり「命令and」というパターンが多いということだった。「求めよ、さらば与えられん」などはその代表らしい。
世界中に浸透していったということは、それだけすぐれたコメントだったという証拠だろう。筆者は聖書は「コメント力」の宝庫とまで言っている。
「人はパンのみにて生くるにあたわず。神の口より出ずるすべての言葉による」「心の貧しきもの、天国はその人のものなり」「汝らの敵を愛せ」と逆説的な表現もあって覚えやすい。
また東洋では孔子が挙げられていた。「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」「これを知るものは、これを好むものにしかず、これを好むものはこれを楽しむものにしかず」などは有名だ。対句であれば覚えやすい。
これら二人のコメントはライブの状況の中で出てきた言葉だったという点が共通していると斉藤氏は指摘していた。だからこそ分かりやすいのだろう。短いコメントは、まるでCMのコピーのようでもあると思った次第。

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「コメント力」は気づきが最大のアピールポイントでもある。
「コメント力」齋藤孝著より。
食べ物に対するコメントは日常的にあるものだ。どんな味だったかは誰でもが知りたいものだ。そこでは、何か新しい発見や表現ができるといいのだろう。
単に美味しいや美味しくないだけでは、コメントにはなっていない。文学者の文章は参考になるという。例として檀一雄がパリに行ったとき、日本のりんごより小さいりんごを食べたときの感想があった。
「・・・齧ってみると、小さいながら、なにかこう、緻密な、フクイクとした香気のようなものが感じられた。」となっていた。やはり文学者は表現がさりげなくてうまい。
「〜でありながら」という部分はかなり使えそうな表現でもあった。緻密、フクイク、香気などの気づきが述べられている点もすぐれているようだ。
素人なら、気づこうという意識があっても、なかなかこんな言葉は吐けないだろう。斉藤氏は気づきのないコメントはただの感想を述べているに過ぎないと語っていた。だれでも言えることなど印象に残らない。

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「コメント力」は単なる言葉にすぎないが、体に火をつける力がある。
「コメント力」齋藤孝著より。
その例としてスポーツをとりあげていた。斉藤氏は女子レスリングの五輪代表に何度も選ばれている浜口京子選手を取材したことがあるという。
「いちばんの支えは何か」という質問に対して彼女の答えは「お父さんから言われている言葉だ」だったという。確かにアニマル・浜口のパフォーマンスのすごいインパクトがある。
レーニングジムの壁中には父の言葉が貼っているのをテレビで何度か見たことがある。その一つに「虎の目になれ」があるという。それを試合中に思い出すと、体が虎のように反射能力もアップしたそうだ。
言葉が身体の感覚を呼び覚ますということだった。言葉も短いコメントになっている。だからこそ印象に残るのだろう。何度も繰り返せるというのもいい。言葉がスポーツの支えになっているというのは素晴らしい。


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出会いを、運や偶然に頼ってはいけない。
「大人の友達を作ろう」中谷彰宏著より。
この本のサブタイトルには、“人生が劇的に変わる人脈塾”ともあった。単に友達を作るだけの話ではないということもわかる。
一行目には「人間は出会いで生まれ変わっていく」とあった。しばしば成功者の言葉の中に、「たまたまこの人と出会って・・・」というのがある。すると、自分が今うまく行ってないのは、そんな出会いがないからだと思う人もいるのだろう。
しかし、そんな偶然のような出会いはまず起こらないと思うべきだろう。むしろちょっと知りあった人との関係を続けていけるかどうかを考えたほうがいいようだ。
運が悪いから出会いがないという考え方は辞めた方が賢明だろう。偶然出会った、あるいは知りあった人との関係をつないでいく努力ができるかどうかがポイントのようだ。
筆者の言葉では「ぶつかっていくこと」とあった。ぶつかるか、ぶつからないかは個人の意識と姿勢で決まると言うのもよくわかる。ほんのちょっとした出会いをどうしたら継続できるかは工夫次第だとも思える。

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「出会い力」のある人は、いい車に似ている。
「大人の友達を作ろう」中谷彰宏著より。
出会いを車にたとえているところが面白い。そこで、筆者は車の性能を上げるための、5つのポイントをあげていた。
1、エンジンをパワーアップする。・・・早く走れても事故はすべて自己責任。
2、燃費を効率化する。・・・単にカッコイイよりムダがなく効率がいいこと。
3、トランスミッション(伝達)をよくする。・・・どんなにエンジンがよくても伝達がわるければ意味がない。
4、サスペンションをよくする。・・・クッションが悪ければ性能が悪いことになる。
5、整備(メンテナンス)をよくする。・・・本当のメンテナンスは壊れる前に替えることだ。
出会いのキーワードもおなじことだという。コミュニケーションがマメであればトランスミッションがいいということだった。また自分を許せる部分を残しておくのは、いいサスペンションということでもあった。たまにはこんなことを考えるのもいいかもしれない。