「利益を最優先にしない」

村上龍の質問術」村上龍著より。
カンブリア宮殿」の番組でのゲストの多くは成功した企業の経営者だった。そこで、村上龍が気づいた共通点は「利益を最優先にしない」ことだったそうだ。しかも、いまだにそれがよく理解できないともいう。
特殊な例かもしれないが、「海洋堂」という模型やフィギュアを作る会社の社長である宮脇修一氏の言葉を引用していた。海洋堂で思い出したのは、昨年食玩制作10周年公式図録「海洋堂レゾネ」(税別3000円)というのを買っていた。
そこには3000点ものこだわりの作品が掲載されている。実に忠実で興味深かった。買ったばかりのときは、何度もページをめくって眺めたものだった。話がそれてしまったが、番組での宮脇社長の言葉は次のようだったという。
「そもそもマニアであり、オタクだから、世の中におもねるなどとんでもない。・・・客が好きなものを作るのではなく、客が見たこともないもの、好きになるもの、欲しくなるものを作る」とあった。
実に力強くて素晴らしいポリシーだと思った次第だ。そう言えるのは、誰にも真似ができないだろうという自信があることが推察される。やはり競争力のある商品を開発できる会社はすごい!

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初心者の心は、専門家なら絶対やらないことに挑戦させてくれる。
村上龍の質問術」村上龍著より。
これはアマゾンの創設者で社長のジェフ・ベソス氏の言葉だった。私もこの時の番組は見ていたが、そんな言葉はすっかり覚えていなかった。しかし、銀行からベンチャービジネスを立ち上げた経営者だとはその時に知った。
はじめは書籍を扱っていたが、書籍販売やその業界についての知識はまったくなかったという。しかも、書籍事業の知識を持っていた人、全員に投資を断られたという。それは当然かもしれない。
専門家はすべて知っているから、無理だと思えば挑戦すらしないからだ。ところが初心者や素人なら無理と思えることにも乗り越えようとチャレンジするのだろう。
未経験者は初心者の心を持っている、ということが強みかもしれない。また成功した経営者はチャレンジ精神が旺盛だったともいえるのだろう。
村上氏のベソス氏への「核となる質問」は、どうして業界の知識もないのに大成功したかという点について興味を持ったのだろう。

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ほとんどの後悔は怠慢でやらずにおいたことによるものだと思う。
村上龍の質問術」村上龍著より。
(前日のつづき)
この部分は、番組のなかでインタビューされたときに、ベソス氏が語っていたことを思い出せる。独立する前に金融関係の会社にいたが、辞める時に迷いはなかったのか、と村上氏が質問していた。
それに対して、ベソス氏は挑戦して失敗したなら決して後悔はしないだろうと答えていた。しかも、もし挑戦しなかったら80歳になっても後悔するはずだとも言っていた。この年齢の数字を具体的に出すことで説得力もある。
もしあなたが80歳であれば、生涯で後悔した数は最小限にしたいと思うでしょうと付け加えていた。恐らく誰もがその通りだと思うはずだ。後悔するのはやるべきことをやらなかったことだろうという。
こんなことは当たり前なことだとは思えるが、ついつい忘れがちなことでもあるだろう。日々の過ごし方でも、ちょっとした小さな出来事でも同様なことが言えるはずだ。一般人には大きなことはできないが、後悔の数は減らしたいものだな。

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相手への興味は好奇心から生まれる。
村上龍の質問術」村上龍著より。
最後のページに「まとめ」として書かれていたものだ。この本の中では“核となる質問”という言葉がしばしばいわれていた。つまりどうしても、これだけは聞いておかねばならないという部分だろう。
それを発見するためには、ゲストについてできるだけ下調べをする必要があったのだ。著書があれば読み、ブログがあればそれも読んでおくのが望ましいようだ。実際そうした準備の後で、村上氏は膨大な想定質問を考えていたのだ。
番組ではそんなにたくさんの質問をしてるわけではないが、パートナーの小池栄子さんにも質問させていた。核となる質問は資料を読みこんで、相手に対する興味がなければなかなか思いつけないともいう。
大事なのは情報に対してハングリーであることだろう。自主的に関心を持って、好奇心がわくくらいにならなければ、核となる質問など思いつかないだろう。自ら考えることを継続することが質問するには必須らしい。