インタビューは「会話」。

「聞く力」阿川佐和子著より。
この本は昨年のミリオンセラーだったので、読んだ人も多いことだろう。私はベストセラー本はほとんど読まないが、たまたま定価800円の本がブックオフで250円で売られていたので買ってみた次第。
初版は平成24年1月で、この本は平成25年2月で31版となっていたから、いかに短期間に売れまくったかも推察される。だからここれからも、古本屋には出回ることだだろう。
手にしてはじめて気がついたが、サブタイトルには“心をひらく35のヒント”とあった。つまりインタビューがうまくいくかどうかは、相手の心を開けるかどうかにもかかっているのだろう。
もっとも、普段の日常で出会う人との会話でも心を開いていない人との会話は、スムーズにはいかないものだ。インタビィーというと専門的なことのように思えるが、質疑応答、会話そのものだったのだ。

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自分で「あれ?」と思ったことを率直に相手にぶつける・・・
「聞く力」阿川佐和子著より。
質問をする際に、こんなことも参考になりそうだということについて述べられていた。それは、自分の疑問をそのまま相手にぶつけることで、相手の仕事に注視していることが伝わるということだった。
そのことで、思わぬ噺の広がりにつながることもあるという。しかし、それが常に成功するとは限らないらしいが。たまには的外れになってしまったこともあるようだ。
また、事前の準備はほどほどがいいこともあるようだ。というのも、すべて下調べしてしまうと何でも知っているような勘違いをしてしまうからだった。
むしろ、未知の部分を残しておくことも大事なことだった。そして、相手の心を開くには、ゲストが作家なら苦労して作りあげた作品や業績に関心を向けることが大事だったのだ。
自分たちの身近な人に質問する場合も同様だろう。どんな人も苦労話は人に訊いて欲しいと思うのではないだろうか。そんな時ほど積極的に話してもらえるに違いない。

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その場で聞き手と語り手の間に、どんな化学変化が起き、どういう空気が流れるかわからない。
「聞く力」阿川佐和子著より。
トークとはそういうものらしい。かつて鶴瓶さんとのインタビューで「トークは生ものやさかいに」という言葉が印象にのこたらしい。
人からいい話を聞こうとあらかじめカッチリバッチリ質 
問を用意して臨んでも、思い通りにいくことはまずないらしい。でも、脱線した話ほどおもしろいものだ。
はじめからスムースに行ったからといって、それがすべてだとは思えない。阿川さんは、むしろ思いもよらない結果に終わった対談のほうが、満足度は高いと感じていた。
対談の後で、「へぇ、あんなことを語ってくれるとは、おどろきだったねぇ」と仕事仲間と言葉を交わしたことが何度もあるらしい。そんな時ほどやりがいを感じるのだろうな。

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