どんな技能であろうと、プロのレベルを維持するのには、それなりの負

「上達の法則」岡本浩一著より。
この一冊は実に読み応えのある本だと思える。実に多くの筆者の経験を通した上達者のことについて触れられている。それは茶道、将棋、英語、ピアノ、スポーツなど実に幅場広い。
ここでは、ピアノについて触れられていた。それは「一日練習を怠ると、自分にそれがわかる。二日怠ると、先生にわかる。三日怠ると、聴衆にわかる」とまで言われる。
プロであるほど厳しく長い練習時間が費やされているということだった。それはスポーツの世界でも、将棋や囲碁や勝負の世界では同じことが言えるのだろう。
だから、上級の域に達した人は、その道のプロや名人級の人には、敬意を持っているらしい。むしろ中レベルの人ほど、人のことを批判的な言葉で表現するようだ。

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得意なものにしばらくこだわってみると、それを中心として全体が見えるようになる。
「上達の法則」岡本浩一著より。
この章のタイトルは「上達の方法論ー―ー中級者から上級者になるステップ」と題されていた。筆者は、上級者とは、中級者が一度脱皮したものだという表現をしている。
誰も上達を目指すからには、上級者になりたいと思うものだろうが、その一つのステップとして、得意なものにこだわることもメリットがあるという。
はじめからバランスよく、あれもこれもと欲張らないというところがポイントのように思える。とりあえず一つをとことん時間をかけてやってみることで、その他もうまくいくようだ。
たとえば、パソコンソフトでも、あれこれと手を広げずに、まずワードをある程度習熟することで、エクセルやパワーポイントも習得しやすくなるということだった。これは納得できることだ。

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どんな形でもいいから、記録やメモをとったりする工夫を始めるべき・・・
「上達の法則」岡本浩一著より。
ある程度コンスタントに練習するようになった時には、上記のことは必要らしい。茶道などでは、体で覚えなければならないことが多いらしい。また公然とノートをとることは許されないようだ。
しかし、習ったことは、覚えるために、その日のうちにノートに書き留めておくことが必要だった。そして、ほんのわずかずつでも、蓄積されたものを身につけていくには数年かかるそうだ。
言葉にならないことを、自分なりの言葉で表現して書いていくことも効果があるらしい。ものごとのコツはほんのちょっとしたことである場合が多いものだ。
また、ノートがあることによって、反復練習も可能になる。技能や知識のなかには、ノートがなければ、復習ができないものが少ないないという。
ここには「一の量を経験しても、それを二の量、三の量にするように工夫するのが上達の要諦である」ともあった。それを可能にしてくれるのがノートだったのだ。

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なにかひとつのものを決めて、それを精密に学ぶということをやってみる。
「上達の法則」岡本浩一著より。
得意なものが見つかったら、さらに目標を絞り込んで、とことんそれを追求してみることの有益らしい。ここで挙げている例は日本のクラシック音楽家を多数育てた、桐朋音楽大学の故齋藤秀雄教授による「齋藤メソッド」だった。
齋藤氏は一つのオーケストラ曲を選ぶと、おびただしいエネルギーを注入して、その一曲だけを長い時間をかけて、仕上げていく方法だった。
そのほうが浅く何曲も学ぶよりも、音楽の目を開かせることになったと、多くの人が述懐しているという。あの世界の小沢征爾もその一人だった。
また写真を学ぶ場合、寺社が好きだったら、そればかり撮ったり、人物のスナップが好きならそればかり撮るということだった。確かに漠然と被写体を撮るより、その方が上達が早そうに思える。

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自分を相手に語ることで関係性は深まる。
「そうそう、これが欲しかった!」小阪祐司著より。
この本のサブタイトルは“感性価値を創るマーケティング”となっていた。売るためには、まずお客さんとの接触機会を創ることが大事だった。
そして、関係性を構築することができるかどうかが結果を左右するとも言える。また関係性が維持できれば、既存のお客さんの流失も防げるということ言える。
もし企業が無味乾燥なマスによる情報発信だけですまそうと思えば、人のコミュニケーションは図れない。もし人間的なコミュニケーションを図るなら、自分のことを語る、つまり「自己開示」が有効な手段でもあった。またイベントを開くという方法もあるようだ。
つまり、自分の近況などを語るだけでもよかったのだ。やはりお客さんと親しくなるためには個人的なことを知ってもらうことが有効な手段だと思える。誰でも何も知らない人からは買いたいとは思わないものだ。

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関係性のマネジメントが進むと。量的ではない質的な変化も起こってくる。
「そうそう、これが欲しかった!」小阪祐司著より。
(前日のつづき)
お客さんとの接触の機会をつくる一つの方法には、DMがある。しかしそれは単に商品を売るためが目的ではなく、接触機会を作って、人間関係を築くのが目的だった。
そんなDMのことを、セールスのための「セールスレター」と区別して「ニューズレター」と呼んでいるらしい。もし、そうなら、別に紙ではなく個人ブログやホームページでも可能になる。
定期的に発信するニューズレターによって、お客さんとの接触が当たり前になれば、しめたものだろう。あとは、そこに何を載せるかがポイントになりそうだ。
そして、関係性が進めると、質的な変化が起こるという。お客さんとのコミュニケーションが、気持ちよくなるのだった。たとえば、クレームがほとんどなくなる、アポも取りやすくなる。商談がフレンドリーになるなどは、私自身も経験があるから理解できる。

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