かつての花形も年をとればただの人というケースも多い・・・

「老いてこそ人生」石原慎太郎著より。
筆者が感心したのは、かつての西鉄ライオンズの大投手稲尾和久(故人)だった。若い人にはほとんど聞いたことさえない名前だろうが、西鉄ライオンズ(今の西武)の黄金時代を築いた一人でもある。
彼は連日の登板国史にもたえて、年間42勝も上げたことがあった。しかしそんな過酷な使い方をされて選手としての寿命は短かったはず。一般的にはいくら現役時代に活躍しても、年をとったらただの人になってしまうようだ。
ところが、石原氏によれば稲尾の場合は、年齢に応じた成熟をとげて、野球以外の局面でも人の心を捉える魅力を育み培っているのにしみじみ心を打たれたと語っていた。
若い頃強い、素晴らしい肉体を誇ったことのある人間ほど、それが衰えた時にかつての肉体への郷愁に教われるものらしい。だからむしろ、別の主題を人生の中で見つけることが大切だというようなことを述べていた。
いくら過去の栄光を思い出したところで、現在は変わるわけではない。むしろ、今何ができるかを、自分にとって価値があることを見つけて有意義に過ごさねばと感じた次第。

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老いについて慣れるということが老いに耐える最も良き方法・・・
「老いてこそ人生」石原慎太郎著より。
しかし、これは単に老いに甘んじるということではなかった。その老いに耐えられない人は自ら死んでしまうこともあるらしい。その一例としてここではヘミングウェイをあげていた。
耐えるためにはまず慣れることが大事なことらしい。一般的な運動や仕事でもはじめ慣れないうちは、とても耐えられるかどうか不安なことも多い。しかし、何度か経験して慣れてくるうちに、耐えられるようになったりもする。
三島由紀夫も自分が年をとった時のことを思うと、つくりあげた肉体が衰退することを恐れていたようだ。石原氏によれば、三島氏は老いに対して怠慢で臆病だったと判断している。
慣れるというのは、あきらめるのと異なるともいう。たとえ高齢になろうとも走りたい場合は走るべきだという。走ることで少しでも老いを食い止めようとする姿は決してみっともなくなどないというのが氏の主張だった。
通勤途上でも一見して高齢とわかる人が、ジョッギングなどしている姿をよく見かけるが、すごいとも思える。そこそこ走れるという自信がなければ、人前で走ったりはしないだろう。

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プロジェクト力とは、無から有を生み出す力・・・
「あのプロジェクト成功の法則」齋藤孝著より。
この本のサブタイトルはいくつか付いていた。まず、このタイトルの前には“齋藤孝のビジネス問題集”と、二つ目は“劇的に会社を変革する方法”、三つ目は“現実を変え、ピンチを切り抜ける具体案ーあなたは思いつけるか?”、というふうにこれでもかこれでもかたたみかけてくる。
そこで、まずプロジェクトということについて述べられている個所で気になったのが、の上記フレーズだった。日ごろいとも簡単にプロジェクトという言葉は使われているが、それはどんな意味合いがあるのかまでは考えていないだろう。
単に与えられた仕事をきちんとこなしていれば、それだけで仕事がうまくいくとは考えられない。また発展などはありはしないだろう。筆者は現代で一番求められているのは、新しい仕事を作りだすことだと考えていた。
そのためにはプロジェクト力がある人が求められていたのだ。プロジェクトの特徴は、部署を超えて、一つの目的に向かって集結し、一定期限内に成果を上げるところにあると齋藤氏は説明している。
成果を左右するのはリーダーの資質だった。その条件は3つあげていた。1.明確なビジョンをもっていること。2.ニーズの感知力。成功したプロジェクトはすべてニーズに支えられているという。3.強烈な意志を示し続けること。つまり何としてでもやり遂げるということだった。言われてみればどれも納得できそうなことばかりだ。

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コンセプトを端的に示したネーミングが大事。
「あのプロジェクト成功の法則」齋藤孝著より。
ここでは「宅急便」をとりあげていた。いかにも一般的な言葉のようだが、これを商品名として使えるのはヤマト運輸登録商標となっているため)だけだった。一般的には宅配便となるところだろう。
プロジェクトが成功するために大切な要素は、コンセプトがはっきりしていることだった。そこでまずネーミングは大事だったのだ。かつてのNHKの人気番組“プロジェクトX”もサブタイトルは「挑戦者たち」だっとという。
もし番組のタイトルが“日本の挑戦者たち”だったら、それほどブレイクしなかったのではないかと振り返っている。確かにプロジェクトという言葉の方がコンセプトも明確でインパクトがありそうだ。
「X」は変数で、そこに具体的ないろいろなプロジェクトを入れればいいのだった。そこで「宅急便」というもの三文字の中にシステムが説明されているからすごいものだった。自宅から自宅へ、急いで配達できるという意味合いが込められていたのだ。
この名前でやることは、常に早く運ぶということが基本になってくるのだろう。宅配を宅急と一文字変えるだけで、も言い易いこともわかる。言い易い覚え易いというのもポイントだろうな。

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