クライアントとの打ち合わせは、自分の思考を言語化するためにやって

佐藤可士和の新しいルールづくり」佐藤可士和齋藤孝著より。
実際はこの二人による対談になっていて、その聞き手が齋藤氏だった。佐藤氏は相手と話して、ブレインストーミングなどでピタッとする単語や文脈がみつかると「そうだ、そうだ」と思考が言語に置き換えられるという。
しかし、そこにたどり着くまでは、かなりの時間を費やすことだろう。また自分の好きを言語化するとも表現している。「ただ何となく言えないが、好き」ではいけないようだ。つまり抽象的なことを理由をはっきりさせて、具体的に説明できるかどうかがポイントのような気もする。
これは、いいと思っても、思考はそこで止まってしまうことが多いようだ。しかし、佐藤氏の仕事では、「何でいいのか」と「こういう理由だからいい」、が言えなければいけなかった。つまりロジカルであることが必要だった。
また佐藤氏は、デザインとは、直感とロジックが最適なバランスで組み合わさってできているものだと述べている。実にクリエイターらしい表現だと思った次第。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あたり前のことを言わないために、三つ考えて一つを言う。
佐藤可士和の新しいルールづくり」佐藤可士和齋藤孝著より。
新しいルールをつくるためには、あたり前を疑うことが必要だと齋藤氏は指摘している。そして、あたり前を疑うためには、普段からあたり前のことを言わない、聞かない、考えないことも重要だと述べていた。
一見簡単そうだが、難しそうだ。アイデアも、一つ思いつくだけでも大変なことだ。それもかなり一般的なことしか思いつかないものだ。
やはり人にアピールできるアイデアは、そこまでやるか!と思わせるものであることも必要だろう。佐藤氏は、プレゼンで五つのロゴ案を出すとしたら、100から200は考え、検証を繰り返しデザインの精度を高めたものを厳選して提案するという。
やはりプロの世界は並みの努力ではないことがうかがえる。また齋藤氏は、経験から質問についても、三つ考えてそのうちの一つを選んで言えば、かなりまともな質問ができるともいう。
たしかに、思いついたまま、すぐに口に出したりすると、かなり見当違いな質問になる可能性もある。学生には、「とにかく三つ考えてから一つ言え」と教えているそうだ。