マニュアルはむしろ覚えてはいけない。

「段取り力」齋藤孝著より。
ふつうマニュアルは覚えておくべきものというのが当たり前に思っていたので、これはちょっと意外なフレーズだった。結論をいえばこれは鉄道の現場でのことだった。
予定通りに運行されていれば問題ないのだろうが、時として異常事態は起こる。そんな時、現場の作業員はまず気を落ち着かせるため、一つ深呼吸をするのだった。これもマニュアルに書いてあるという。
その後マニュアルを目で見ながら、しかもマニュアルを指で差して、声に出して確認しながら作業をすることになっている。その理由は、覚えると勘違いが起きる可能性があるからだった。
そういえば、たまに電車の運転手が進行方向を向きながら、指差し確認で出発進行と、声を出しているのを目にする。また、車掌も指差し確認をしていた。
安全第一の現場では、その後作業完了の確認も駅長に報告する。また報告される駅長も、これを復唱するという念の入れようだった。地味だがきっちりした段取りができていることがわかる。

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「何のために何をやる」というのは根本的な「段取り力」だ。
「段取り力」齋藤孝著より。
最近ブレイクしている流行語にカリスマ予備校講師の「いつやるか?」「今でしょ」がある。しかしその前の段階として上記フレーズにあげた、「何のために何をやる」がきっちりと確定できていなくてなならないだろう。
大ざっぱに「受験合格のために科目の勉強をやる」だけではまだ漠然としていそうだ。英語の読解力を増すために、どうするかなどの傾向と対策をきめ細かく考えて段取りを組む必要もありそうだ。
その後での「今でしょ」ではないだろうか、とふと思った次第。しばしば普段の生活では、何のためにこれをやっているのだろう、と考えてしまうこともある。
またこんなことをしていていいのだろうか、と疑問や不安を感じることもある。そんな時は、ほとんど充実した時間を過ごしていない。
いずれにしても努力が無駄にならないようにするためには、今何のためにこれをやっているのかを意識することが大事なようだな。