不自由さの中でこそアイデアが刺激される。

「段取り力」齋藤孝著より。
ここではいくつかの例を出していた。その一つが建築だった。スペインの建築家ガウディが活躍した時代は、鉄やコンクリートなどの近代的な工業材料が出現していた。
しかし彼はあえて古臭い石とレンガを使っていたのだ。それによってある種の創造性が生まれて、サグラダ・ファミリア大聖堂に行きついていた。つまり素材を限定することで手順がクリアに見えることがあると齋藤氏は指摘している。
素材に習熟していればこそ、その中でさまざまな工夫ができるということでもあるだろう。安藤氏の場合は、鉄とガラスとコンクリートを素材として、建築を構成しているようだ。それによって誰にでもできない空間を生み出していた。素材を限定することで、自分のスタイルを確立していた。
別の例ではテレビ番組の『料理の鉄人』をあげていた。ここでは限られた素材と時間内に創造とアイデアを生かさねばならなかった。不自由な制限の中で生み出されるアイデアにはプロの段取り力が必要とされていたのだ。
齋藤氏は、「段取り力」を鍛えるためには、ある程度限定した中で訓練をしたほうがいいとアドバイスしている。その限定とは時間や使える素材、金額、環境などさまざまなものが考えられる。
そういえばこれを書きながら思い出したのは、プロのシェフが100円ショップや数百円で購入した素材を使ってフレンチの味を仕上げたことだった。それを試食した誰もがすべて高級素材を使ったものだと信じていた・・・な。恐るべしプロの段取り力と創造力!

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「段取り力」とは、全体を通して見る予測力のこと・・・
「段取り力」齋藤孝著より。
ここではあるホテルマンの話題があった。ホテル内の和食レストランの厨房が暑いので改善して欲しいとの要望があったときだった。
普通ならモーターに問題があると考えるものだが、そのホテルマンは設計図を取り出して、全館の空気の流れを調べたのだった。
するとエアフローに問題があることがわかったのだ。そこで厨房のモーターを取り外してみると空気の流れがよくなって涼しくなったという。意外なところに問題解決の糸口があるものだ。
プロのホテルマンは、やはり細かいところにも気づかなければならない。ちょっとしたこだわりこそが、お客様にとっては心地よい空間やサービスの提供につながるからだ。
一流ホテルかどうかは、当然快適かどうかの違いだろう。部屋の清潔さだけでなく、備品であるコップ、タオル、髭そり、シーツ等などどれをとっても一流であることが条件なのだろう。すべては段取力の集積だった。

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まずは動いてみるというのが段取りとしては正しいやり方だろう。
「段取り力」齋藤孝著より。
かつてマガジンハウスが発行していた『ポパイ』という雑誌は70年代から80年代にかけて若者に人気があった。普通ならマーケティングをしてから雑誌を発行するのが当たり前だが、『ポパイ』が創刊された当時はマーケティングをしたところで、「ポパイ族」はいるはずもなかった。
むしろ実際は逆で雑誌が「ポパイ族」を作ったいうことらしい。そういえば、「アンノン族」という若い女性向きの雑誌からも、言葉が生まれていたことを思い出した。
段取りをするときの悪いイメージとして、事前の調査に時間ンをかけ過ぎるというのがあるらしい。なんでも調査をしてからでないと前に進まないというのでは効率も悪い。
総合的、直感的に捉えて、自分たちで石を投げ、その反応で動くというのもありなようだ。つまり仮説と検証というものだろう。その経験を積み重ねるからこそ独自のノウハウをつかめたのだろうか。そしてイキイキとした誌面になり、当時の若者の感性を刺激したのかな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マニュアルにプラスαの融通をきかせられる・・・
「ワルの作法」中谷彰宏著より。
まずは、フレーズの前にこの本の題名にある“ワル”という意味がちょっと気になって本を手にとった次第。ここでのワルとは犯罪者的な意味ではなく、むしろすばしっこい感覚のある人をさしていた。
大坂でいすばしっこいは、要領がいい、目ざとい、ダンドリだいいというようなことらしい。つまり「モタモタしている」の反対語でほめ言葉だったのだ。また別の言い方では「融通がきく」ということでもあった。臨機応変力とても言えようか。
またこの本のサブタイトルには“うまく楽しく生きる52の極意”ともあった。単にマジメだけでは楽しい人生を送れるとは限らないということだ。こんなことは学校では教えてくれなかった。
筆者の中谷氏は商売人の子供だったので、マジメであるより、いかにすばしっこくなれるかを教えられたようだ。本人はマジメに頑張っていても、はたからすればいい迷惑になっていることもあるらしい。ここでの結論は「すばっしこくなろう」だった。

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待ち合わせ場所で、その人の行動力がわかる。
「ワルの作法」中谷彰宏著より。
人と待ち合わせる場合、それをいったいどこにするかはちょっと迷ってしまうことはある。初めての場所ならどう説明すればわかりやすいか、目印は何かなど考えてしまうものだ。
しかし、筆者は待ち合わせ場所でその人の生命力がわかるとまでいう。生命力があるワルな男は、即座にオシャレな待ち合わせ場所を決められるという。連絡を取りやすく、快適な環境の場所を知っているからだった。
つまり、そんな場所を知っているということは情報収集力や行動量があるということでもあった。いろいろな体験を積んでいるからこそ、即座に対応できるのだろう。
マジメな人はありふれた場所しか知らない。そこはむしろ誰もが知っているようなダサい場所を指定してしまうようだ。人が多すぎて快適でなければオシャレとは程遠い。その前に人と待ち合わせる機会がどれほどあるかな。

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男にとって一番大きな財産は、家や車ではなく自分のワールド・・・
「ワルの作法」中谷彰宏著より。
自分のワールドとは、その人が持っている雰囲気やライフスタイルのようなものだろうか。別にどこかへ移動しなくてもその人とといるとそれなりに楽しめるということのようだ。
ワールドといえば、作家もその世界を持っているようだ。ある作家のファンになるということは、その作家の作品にはオンリーワンの世界があるからだろう。
そういえば私の場合、かつて20代から30代にかけては森村(誠一)ワールドにはまっていた時期があった。とくに通勤電車の中で読むミステリーはスピード感もあってその世界に入り込めたものだった。
本はやはりその人の体質とあっていなければ、続けて同じ作家の作品は読まないだろう。友人でも自分のワールドを持っている人は楽しい。仕事をする際も自分のワールドがあると楽しくできそうだ。

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いつ、ここで倒れてもいいという生き方が、今を大切にする生き方・・・
「ワルの作法」中谷彰宏著より。