「すぐ役に立つことは、すぐ役にたたなくなる」

「学び続ける力」池上彰著より。
しばしば池上さんのニュース解説をテレビのバラエティ番組で見ることはあるが、いつも具体的でわかりやすい。だから、きっと視聴率も望めるから登場する回数も多いのだろう。
役に立つことを学んだとしても、その知識はすぐに陳腐化してしまうものだったのだ。ということは、常に学び続けていなければならないということにつながっていた。
むしろ、「すぐには役に立たないこと」を学んでおけば、「ずっと役に立つ」のではないかと、池上さんは語っている。これは言いかえれば教養とも呼ばれるらしい。
今まで知ってるようで知らないことは実に多い。そこで、学んで知ることができれば楽しくもなる。学校で強制的に教えられることは楽しくはないが、自分で進んで学ぶことは楽しい。あとはそれを継続できればいいのだが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
会社勤めも、あなたの人生の一部。
「学び続ける力」池上彰著より。
会社がすべてではないということだが、現役時代はついつい忘れがちなことでもありそうだ。むしろ会社を利用して自分を高めるという考え方があってもよさそうだ。
しばしば、仕事は人間を成長させるなどとも言われるが、それも本人の自覚次第だとも思える。池上さんは、かつての職場であるNKHの社会部時代から、せっせと時間をつくっては勉強していたという。
実に地道に努力を重ねていたようだ。むしろ勉強しているということを、周りに知られないように、こっそりと勉強していたのだ。それは、日本の社会では勉強しているのはあまり好まれないようだ。
日本の企業社会はその企業への社員の忠誠心を求めて、会社のために人生を賭けるタイプが好まれるようだ。しかし、むしろ自分を高め成長させる時間を確保すべきだったのだ。
池上さんは社会部記者時代には、その時すぐに役に立たないと思われる英語なども時間を見つけては、熱心に勉強していたのだ。しっかりと目標をつくって、継続していたのがすごいと思える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人間は論理的なものだけで動くわけではない。
「学び続ける力」池上彰著より。
確かにものごとは論理的に伝えられればわかりやすいものだが、それだけで十分というわけではなかった。論理プラス視覚に訴えるということが必要だったのだ。
頭の中に絵が浮かぶようであればいいのだが、そのように説明してくれる人は少ない。しかし、池上さんの解説は、それが実にうまいからわかりやすいのだろう。
それは長年にわたってテレビの現場で仕事をしてきたから、ビジュアルを大切にしてきたからのようだ。テレビでも解説と同時にイラストでわかりやすい説明がされることが多い。
いつも意識しているのは、頭で絵がを描けるように話すことのようだ。そして、東京工大の生物学者本川教授によれば、伝える力のためには、右脳と左脳が必要とのことだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
読書はザルでの水汲みのようなもの。
「学び続ける力」池上彰著より。
かつて池上さんが哲学者ショーペン・ハウウェルの『読書について』を読んだ時、衝撃を受けたそうだ。読書しても、「我々の頭は他人の思想の運動場に過ぎない」とあったからでもあった。
それまでは読書すれば勉強になると思っていたそうだが、それは他人の考えたものを反復的にたどっているだけだったのだ。実は本を読んでも、自分でものを考える時間がなければいけなかったのだ。
そう言われてみれば、読みっぱなしのことがほとんどだった。読んだからといって、賢くなったわけでもなかった。自分で考える力はついていなかった。
読んだところで、その内容はほとんど忘れてしまった。単に読書をしたからといって、教養が身につくわけではなかった。ショーペン・ハウウェルは「五十分の一の栄養」とも言ったそうだ。ポイントは考える時間を持つことだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・