「作業」と「仕事」は違う。

「仕事は頭でするな、身体でせよ!」久恒啓一著より。
単純な作業をしているだけでも仕事をしている気になってしまうことがある。しかし、筆者はそれは別ものだという考えだった。しばしば「作業」のほうにほとんどのエネルギーを費やしてしまうこともある。
ここでの作業とは、資料整理、統計、情報収集といったものを指していた。つまり、それらは、ほかの誰かでもできるものでもあった。むしろ、自分は企画やアイデアや仕組みを作りだしたりする仕事に時間を費やすのが理想的だそうだ。
要するに頭を使って何か別の価値観を生み出すことに時間を費やすべきだというのだ。単純な作業は飽きてくるのも早い。また、ときどきそんな時間を費やしているのがもったいないと思えることもある。
もしできるなら、その作業が得意な人にやってもらうというのも手だった。そのほうが、慣れない人間がやるよりスピーディーにいいものが出来上がるかもしれない。
その代り自分ができることは、手伝うということだろう。お互いに得意な部分でコミュニケーションがはかれればいいわけだ。ここでのタイトルは「できないことは、お願いせよ」だった。実にわかりやすい。

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よき師、よき友、よきコネがいい人生の“三種の神器”。
「仕事は頭でするな、身体でせよ!」久恒啓一著より。
これは渡部昇一氏の言葉だった。こんな三種の神器があるとは、あまり考えたこともなかった。たしかに、それらに恵まれればいい人生だとも言えそうだ。また、さまざまなシーンでいい助言も得られそうだ。
筆者は、人間関係という「クモの糸」を張り巡らせることは大事だという。その糸はか細かったり太くてしっかりしているものもあるのだった。つまり自分との関係がそれほど親密かということでもあるのだろう。
人間関係は、多ければそれだけ得られるものも多いとも言えそうだ。もちろんそれだけ自分も人に与えられるものがあればだろうが。やはりギブアンドテイクがうまくいかなければ、長続きは難しいかもしれない。
氏は人と出会ったら、たとえそれが細くても、関係を長く保つ工夫をするといいとアドバイスしている。歳をとるにつれて、人とつながっているということは貴重なこととも思える。
たとえ年に一度の年賀状でも、自分からコンタクトをとり続けることは、意味があるようだ。縁を切るのは簡単だろうが、それをつくって継続するのは、やはりそれなりの努力が必要そうだ。

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「やりたいこと」と「いつか」をセットにして話す人・・・
「仕事は頭でするな、身体でせよ!」久恒啓一著より。
こう話す人は多い。しかし、このあとには、次のように続いていた。「・・・本当にそれをやりたいとは心から願ってはいないのだ」と。要するに、「いつか」は言い訳になっていて、そんな日は永遠に来ないという意味だった。
確かに“何かをいつかやりたい”と軽く口に出す人はたいていそれが実行できていない。あまり真剣に考えていないのだろう。ブログも、何か書く内容があれば、始めたいというような人は永遠にスタートできないものだ。
むしろ、大した内容でもないのに、いきなり始めてしまったほうが、そのうちノッてくるということもある。はじめたからこそある面白味もあると思える。
筆者によれば、「いつか」は「できない言い訳ができるグレーゾーン」を確保しているに過ぎないともいうが、まさにその通りだと思える。そこで、大事なのは、やると決めた直後に日付を区切るクセをつけてしまうのがいいようだ。
手帳にハッキリ「○月○日にやる」と書いてしまったり、周囲の人に自分から宣言するのも効果があるらしい。頭のなかでぼんやり思っているだけでは、ものごとはなにも進まないか。

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プロを意識した途端に、すべての物事に対して貪欲になる筈だ。
「仕事は頭でするな、身体でせよ!」久恒啓一著より。
これは、藤本義一氏の言葉だった。今まで藤本氏の著作を数冊読んできたが、いかにも氏らしいフレーズだと思える。さらにこの後には「すべてを吸収しようとする。呼吸するために、人は独自の工夫をするものである。」と続いていた。
別のページでは、久恒氏は「働く人間はすべて“職人”であるべきだと思う、とも語っていた。ビジネスマンより、職人ということを強調していた。そして、「良いものをつくることで新しい自分を発見をし、自分も成長する」というのも頷ける。
たとえ会社員ではあっても、自分はプロだという意識を持っているかどうかで、仕事の質も量も変わってくるのではないだろうか。人とは違ってやろうと、創意工夫ができた時、やりがいも感じられる。
自分はこれだけは絶対に人には負けないだろうという分野をつくれれば理想的だとも思える。人並みだけでは、決してプロとはいそうもない。いまやって類仕事に、少しでも自分なりの味付けをできるかどうか・・・

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