現代は、モノを売るには「理由」が必要・・・

「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美著より。
これは「理屈」というより、むしろ「感覚」や「動機」のようなものらしい。そうえいば、はっきり言葉に出せないが「なんだか、いいかも・・・」というようなものがあれば、」それが「付加価値」と呼んでもいいのではないかと筆者は語っている。
商品やサービスに「付加価値」がついて初めて人に振り向いてもらえるものも多いだろう。ここに一つの実例があった。それは今治のタオルメーカーだった。今では中国に生産を奪われつつある。
しかし、そこで「中国に生産を奪われないタオルを作ろう」と決意したのだった。たんに水分をふき取るだけでなく、肌ざわりや安全性にこだわった製品作りだった。つまり「人にも地球にも優しいタオル」というのがコンセプトだった。
しかし、そんなタオルを実現するためには機械から改造しなければならなかった。いろいろな工程は専門化されていたので、容易ではなかった。新しいタオルを作るには複数の企業間の協力体制が必要だった。
結果的に出来上がった製品は価格が高くて日本では受け入れられなかったがアメリカでは高い評価を受けることができ、それが逆に日本でも受け入れられることともなったのだ。やはり強い決意と行動力のたまものだったのだろう。

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「そこにしかないもの」の価値が高まっている。
「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美著より。
名産品の取り寄せや地域限定商品の人気は高い。ということは地方にもチャンスはたくさんあるということでもあった。地域ならではの売り物があれば、それは大きな強みにもなる可能性があった。
ここでのタイトルは「地域が元気になるおばあちゃんビジネス」となっていた。つまり「おばあちゃん」が強みだったのだ。高齢化した農村が増えているが、長野県の白馬村の隣の小さな村にその会社はあった。そこでは高齢者が働き手で「おやき」という焼き饅頭を作っていた。
このお袋の味として伝わる料理はお年寄りが作る料理としてはちょうどよかったのだ。長年培った智恵と技術がいかせることは価値がある。つまり「おやき」のセールスポイントまたは付加価値は「おばあちゃん」だったのだ。
この「おやき」ビジネスの1年目の売上げは、1億5千万円で、18年後にはそれがなんと7億円にまでなっていた。そこにしかないものが、ビジネスチャンスを生み出していることがわかる。

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情報は取りに行くより、まず発信。
「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美著より。
筆者が全国の中小企業を訪問していると、情報を発信することで意外なニーズがあることがわかり会社が大きく変わっていた例があった。それはあるメッキ会社だった。
その会社は、それまで技術がまだ確立していなかったチタンメッキの新技術開発に成功したのだった。ところが大企業に行っても相手にしてもらえなかった。
そこで、二代目社長がやったことは、1、英語で技術情報をホームページに紹介した。2、するとシンガポールから連絡が入った。3、そこでは遺伝子解析用の新しいチップを作るために要素技術を探していた。4、メッキの用途情報が向こうからやってきた。
このように、発信した情報に価値があれば、さまざまな情報が引き寄せられるようにやってくるという例だった。意外にもメッキの技術が医療分野ににも生かせたのだ。結局この会社は、中小企業ではなく「ベンチャー企業」になったのだ。

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「限界に挑戦し、感動を呼ぶ」
「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美著より。
オリンピックをはじめスポーツでの感動はわかりやすい。またモノ作りの世界でも同じようなことがいえるのだった。今ではインターネットで、素晴らしいモノ作りはすぐに世界に発信することができる。
それが世界的なものであるほど、反響は大きいものとなる。たとえば、実際にはどうい用途で使われるかわからないようなものでも、それを見た人が価値があると認めれば、その価値は貴重なものとなるだろう。
ある意味、見せ球が、決め球を連れてくるということもいえるのだろう。それはたとえ、国内では認められなくとも、海外で認められて、新たに行内で市場が広まっていくこともありえる。
その例として、愛知のプラスチックメーカーが国際見本市に世界最小の歯車(肉眼では粉にしか見えない)を出展したところその技術が注目され多くの人に感動を与えたのだった。
その会社の可能性を認める大企業も多くあったのだ。その国際見本市から半年で全世界にその知名度は広がったという。限界に挑戦したからこそ生まれた感動だったのだろう。

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細部にこだわれば、物語が生まれる。
「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美著より。
もうここまでくると、「御用聞き」という言葉からはかなりかけ離れた内容になってしまいそうだ。しかし、東京にある老舗のバッグメーカーと筆者は書いているが、その内容から「吉田カバン」のことだとするにわかる。
確かにいろいろなものは中国製のものは安い。だから新しいバッグを作ってもすぐに類似品が出回ってしまう。そこで三代目社長は「中国でまねができないバッグを作ろう」と立ちあがったという。
新しい技術を開発し、細部にこだわって中国にはまねのできない高品質の商品を生み出していた。つまりこだわり商品の背景にある物語が、情報発信の重要な材料でもあったのだ。
するとその製品はファッション誌をはじめ多くの雑誌で取り上げられたのだった。かつてテレビ番組で流行った「トリビアの泉」的物語がメディアをひきつけたというわけだった。
やはり「へえ〜」というちょっとした驚きや感動があれば、それが口コミとなって広がっていくのだろう。それはほかではまねのできない細部へのこだわりがいくつもあるからこそ可能だったのだ。