感謝こそが人間が成長していくうえでもっとも大切なもの・・・

「野村ノート」野村克也著より。
これは単なる野球の技術に関することだけが述べられている一冊ではなった。むしろ人生訓のようなものがたくさん含まれていた。上記は野村氏の長年の監督としての経験を通しての持論でもあった。
平成17年のヤクルトの監督時代のこと。二軍のグラウンドで練習する機会があったときロッカーに貼ってあったある社会活動家の言葉が気になったという。
そこにあった、「・・・いったい自分とは何なのか。親のおかげ、先生のおかげ、世間様のおかげの塊が自分ではないのか・・・」というような言葉を目にして、思い当ることがあったという。
それはいまの選手にもっとも欠けているものは、「感謝の心」だと気づいたことだったという。野村氏の若い頃は、親に楽をさせたいという思いが一流選手の原動力だったようだ。
実際一流と呼ばれている選手で親を大切にしない者はいなかったと振り返る。親孝行とは感謝の心だった。ついつい「〜のおかげ」という感謝は忘れがちになってしまう。念頭に置かねばと思った次第。
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強い者が必ず勝つとはかぎらないのが野球。
「野村ノート」野村克也著より。
しばしば、結果的に勝ったものが強いと思いがちだ。強いとは勝った者だと思ってしまう。勝負の世界では実力も差で勝負が決まってしまうものだが、野球の場合、戦力に4対6、3対7くらいの戦力の差があっても弱者は勝負になるという。
つまり勝率が5割台であっても優勝チームの可能性があるからだった。年間144試合でも最後は1勝の差であったり、優勝決定戦までもつれ込むこともあるからだ。
最後まで優勝の行方がわからないというのも、観る側のファンにとっては面白いことでもある。またヤンキースや巨人のように、莫大な資金で補強したからといって、優勝できるとは限らない。そこを野村氏は強い者が必ず勝つとは限らないと表現していた。
初めから戦力に大きい差がある場合、弱者が強者に勝つにはどうするのか。そのために対策、戦略を練っている。それは考えて戦うことだという。これはふだんの仕事でも同じことが言えそうだと思った次第。
中小の会社も大企業にない技術力、機動力、人材力などをもつことで十分太刀打ちできることもある。決定までに時間がかかる大企業よりも、アイデアとスピードに優れた個人のほうが内容がいい仕事ができるかもしれない。
またきめ細かさ、丁寧さ、サービスの良さ、アフターケアの良さ、応用力などを考えれば、大きい、強い組織がかならずしも優れているとは言えそうもないことにも気づく。

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人格が仕事の成否を左右する。
「野村ノート」野村克也著より。
短いが野村氏の人生哲学が詰まっているようなワンセンテンスだと思った次第。この部分の初めには、「人間は仕事でもって人生を生き抜いていき、仕事のなかで人間形成がなされる」と述べていた。
もうこなると、たんに野球のことだけを言っているのはないことに気づく。仕事をやっていくうえで、人間形成、人格形成はいちばんお基本だと断言していた。なかなか世のため、人のためということを考えるのは難しい。ついつい自分のことで精いっぱいなときがほとんどだ。
野球に話を戻すと、野球は当然ながらチームプレーで、個人の力だけでは勝ちには結びつかない。そこで、かつて巨人に在籍していた上原(現オリオールズ)を引き合いに出していた。
先発していた時、首脳陣から交代を打診された時、自分が勝ち星につながるかもしれない時、チーム優先で交代することがあったらしい。本当は不安定なリリーフに託すより自分が投げ続けたほうがよかったかもしれない。
しかし、チーム優先主義だと「譲る」「我慢する」が前面に出されるが、時には「勝つためにはエースであるおれが投げる」と自己主張するのも立派なチームスピリットだと野村氏はいう。
もし、エースと言われるくらいの投手ならそれくらいの気慨が求められるようだ。責任の重さということを考えるなら、なるほどそういう考え方もあるのかと思わせられる。常に従順であることがベストな選択ではないことにも気づかされる。

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出会いや縁を無駄にしてしまう選手は、将来の可能性まで狭めてしまう。
「野村ノート」野村克也著より。
この“選手”という部分は一般的な人にも置き換えられるはずだろう。ここでの小タイトルは「意外な選手に感謝されていた」となっていた。これ野村氏がいくつかの球団で監督をしていたが、意外な選手が監督の言葉を覚えていて、感謝の言葉を述べていたからだった。
ここでは感謝の言葉は黙っていては伝わらないということも言っている。たとえ短い言葉でも人を感動させ、感動させることもできるようだ。「言葉は力なり」でやはり言葉ななければ伝わらないものだ。
現役時代にあまり交流もなかった選手が後にコーチになった時「ノムラの考え」という冊子を使って選手に教えていたというのをしって感動したようだった。
つまり縁を大事にしてきたということのようだ。ここで、もう一度今日のフレーズを振り返ってみた。やはり日々の仕事をスムーズにしていくためには縁を大事に育てていくのもポイントだろうなぁ。

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「準備の充実なくしていい結果は得られない」
「野村ノート」野村克也著より。
ここではたんなる準備をすればいいというだけのことではく、その準備さえも充実したものである必要があるということだった。確かにいい加減な準備なら、結果もそうそう期待はできないだろう。
いったいどうのような準備をしたかによって期待値は異なってくるものだ。準備重視(=プロセス重視)というのが野村氏の野球だった。ただ結果オーライだけではく、どうしてそう考えるのかという理由がなければならなかった。
いい打者と普通の打者の境界線は3割だった。常に3割以上をキープできることはすごいことだった。7割までは失敗は許されるということにはなるが。打撃チャンスでは8割の成功率のバッティングをしなければならない。
それができないと思えば待つというのも戦法だった。自信がないのに打ちにいくのは自己中心的な性格でもあったのだ。いずれにしても、練習や準備が充実しているかどうかで、明日のやる気がまったく違ってくることはしばしば経験していることだ。