最高傑作という言葉に値する仕事をするためにはまず多作であることが

「無趣味のすすめ」村上龍著より。
このあとには、“〜わけだが、それだけではない。「体系的・重層的」な作品群であることが必須・・・”と述べていた。作品というからにはここでは芸術作品を指していた。
後世に名前と影響力を残す芸術家はたいてい多作だった。科学者の仕事の場合は「体系的・重層的」のことが多かったのだ。
モーツアルトにしてもピカソにしても残した作品の数は膨大なものだった。そのすべてが傑作というわけではないだろうが、才能があり多作だったからこそ最高傑作も生まれたのだろう。
しかし、初めから最高傑作を目指したのではなく、表現者として自らの限界に挑んだ結果として、「最高傑作」があったのだろう。映画などで長年にわたってシリーズものが存在するのもその作品が評判が良かったという証拠ともいえそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目標は達成されるべきもので、語られるものではない。
「無趣味のすすめ」村上龍著より。
これは「夢と目標」と題して書かれている部分にあったフレーズで、その夢は「常に大っぴらに、屈託なく楽しそうに語られる。だが目標はそうではない。」という言葉に続いているものだった。
「人間は目標をもったとき、脳は活性化するらしい」ともあったが、その目標も人から与えられたものではなく、自ら設定したものでなければならなかった。
自らすすんでやることなら、疲労があろうともそれは克服しやすいものとなる。むしろ強制された場合は、疲労感も倍増してしまうものだ。
筆者は、夢は語られても目標は達成されるべきものだと考えているようだ。しかもそのため(現実を伴う)目標を持つのは憂うつなことだともつぶやいている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
集中するためにはリラックスが必要であり、かつ自覚的でなければならない・・・
「無趣味のすすめ」村上龍著より。
ここでのタイトルは「集中と緊張とリラックス」となっていた。kれらはあまりふだん気づいてない点でもあった。緊張しているときには、ものごとに集中することができないというのは事実だ。
むしろ集中するためにはリラックスすることが重量だったのだ。緊張していれば、身体の筋肉も固まってしまい思うように動かなくなってしまう。口ごもってしまうのもそのせいでもあるだろう。
あるいはスポーツでベストを尽くせなかったというのもそこに原因があることも多そうだ。今行われている高校野球にしても、初出場校なら大観衆の雰囲気の呑まれてしまい持てる力を出し切れない選手も多いことだろう。
言葉でいくら言ってもそれを克服するのは難しそうだ。俳優なら熱狂的な状態の人間を演じる場合は、本人は熱狂的であってはならず、自覚的でなければいい演技はできないようだ。
村上氏の場合は、集中して小説を書いたあとは、充実感と達成感と精神の安息をえることができるという。だから、そのためにとくにリフレッシュは求めていないようだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もてなしや接待にマニュアルはない。
「無趣味のすすめ」村上龍著より。
そのあとには「誠意を相手に伝えるための、想像力が問われるのだ」とあった。ビジネスではもてなしや接待が伴うことが多い。商談も飲食がともなったほうがスムーズにいくことが多い。
ここには「最適」のもてなしのために必要なのはレストランガイドでなく、情報と誠意だとあった。確かに相手が超一流のレストランが好みとは限らないからだろう。
ここに面白い実例があった。村上氏の友人のTVプロデューサーが、某ビールメーカーの経営トップを庶民的な居酒屋に招待したそうだ。しかし、その居酒屋の壁一面にはあらかじめそのビールメーカーのポスターで埋めてあったという。
営業出身のビール会社社長は、その誠意を理解して非常に喜んだという。こんなオリジナルなもてなしは想像力がなければできない。時には、「へぇ!」というようなサプライズが素敵なもてなしコミュニケーションにもなるもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メモを取らなければいけないほど重要な情報に常に飢えているかどうか・・・
ここでのタイトルは「優れた道具」とはなっていたが、大事なのは道具よりもむしろ気持ち、モチベーションのほうだというのが結論のようだ。
いくらすばらしい手帳やモバイル機器を持っていても、その気がなければそれを使って生産的なことはできはしない。
情報に飢えているなら、どんなメモ紙でもかまわないということになる。ソフトブレーン創業者の宋文洲氏は村上氏と酒を飲んでいても、気になることがあれば、手帳を取り出してメモをとるという。
村上氏にとっては小説のアイデアは死活問題となるというだけあって、部屋のあちこちにメモ帳を置いてあるという。「半島を出よ」という長編小説を書いたときは、その、メモの厚さは30センチほどにもなったという。
また愛着が持てて使いやすい筆記具や手帳、それらを収納する鞄などが身近にあることもちょっとしたポイントのようだ。せっかくいいアイデアを思いついてもその時に書きつけるものがなければ、それは永遠に消えてしまう・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「無趣味のすすめ」村上龍著より。