「何をした人として記憶されたいか、今でも考えることはあるかね」

「これだけは知っておきたいドラッカー」牛越博文著より。
これとほとんど同じフレーズは以前も取り上げたことがあった。(4月16日の記事では「 何によって人に憶えられたいか。」となっている。)その時はドラッカー本人の言葉としてだった。
しかし、今回はドラッカーの父の言葉だった。ドラッカーが病床のシュンペーターを見舞ったときに、同行した父がこのように聞いたのだった。これはドラッカーの人生を変えた言葉だったという。
父がこう聞くと、シュンペーターは「多くの一流経済学者を育てた教師として記憶されたい」と答えたそうだ。このように明確に答えられるということはこれがシュンペーター自己実現でもあったのだ。
ドラッカーはその後、この父の言葉を自身の言葉として身につけていた。それだけ、強く頭に刻み込まれたということだろう。やはり人の記憶に残るような仕事をしなければと感じたに違いない。
数年ごとにドラッカーブームがやってくるのは、それだけ世間がドラッカーの思想を必要としているからだろう。

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「こだからこうだった」のは過去のその時にたまたまそうだっただけ・・・
「これだけは知っておきたいドラッカー」牛越博文著より。
何か新しいことを始めようとする時に、しばしば過去のデータを取り出して、分析などをする。そして過去はこうだったから、こうすれば売れずはずなどと決めつけしまう。
そかし、それは、過去のその時たまたまそうであって、次も同じようになるとは限らないもの。もっと大事なことは、顧客が何に価値を見出しているかを「見る」ことだったのだ。
マーケティングでは、顧客の感じる価値を見て、知ることが不可欠だという。そして、これも以前触れたことだが、「理想的なマーケティングとは、営業をしなくても売れる」ことだった。
本当に顧客に価値のあると思えるものを提供できるなら、自然と売れていくのだろう。身近なところでは行列のできるレストランなども、あえて宣伝しなくても口コミで広がり繁盛するのだろう。
あまりにも過去のデータに縛られ過ぎて決めつけてしまうと、机上の空論になってしまいやすいもの。むしろ現実をもっと見て感じることのほうが大事なのだろうなぁ・・・

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本当に顧客を満足させたなら、その企業は当然利益を出しているはず。
「これだけは知っておきたいドラッカー」牛越博文著より。
ドラッカーは、もし利益を優先して考えるならば、その組織は経営を誤ってしまうという。
つまり儲かるならどんな手段であってもいいだろうと考えれば、一時はよくても必ず破たんしてしまうということだろう。
利益という結果よりもむしろ重要なのは「顧客を満足させる」という動機の方だとドラッカーは語っている。
顧客が満足し、感謝するなら、自然とお金を払うということで表現されることになる。つまりそれが利益となるのだ。
満足の度合いが大きければ大きいほど、リピーターともなり、また人にも自然と伝わっていくものだろう。

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組織の中で自由であるためには、武器が必要。
「これだけは知っておきたいドラッカー」牛越博文著より。
この場合の武器ってなんだろうとちょっと考えてしまう。仕事上の武器、つまりそれは得意技をもっていることだった。
これに関しては誰にも負けない、というようなものだろう。人を飽きさせない話術でも、誰にも感じがいい電話応対、筆まめなども入るだろう。
また、周囲の人が持っていないような専門知識を自由に操れるなら、強みともなろう。たとえ趣味でもそれが仕事で役にたつなら武器ともなるのだ。
そんな武器をもっていることで、自由になれるということは、組織の中でも優位に立つことができるということだろう。そしてその武器も、役力を発揮させるためには常に磨いておかねば・・・