「理」を頭に入れておけば、上達は早くなる。

「ブレない生き方」齋藤孝著より。
これは「千葉周作に学ぶ 究極のコーチング力」という章にあったフレーズだった。彼は幕末に活躍した剣術家だった。29歳で北辰一刀流を創始していた。開設した「玄武館」は「江戸三大道場」として江戸でもっとも栄えた道場だった。輩出した出子は5000人以上という。
千葉は上達には理より入るものと、業(わざ)から入るものがあるが、「理」から入ったほうが上達が早いと言った。何も考えずに練習してもダメということだった。
「理」と「業」は車の両輪だともいう。これによって10年の修業は5年で終わるということだった。そこで「理」の意味だが、齋藤氏は次のように説明していた。
“流派の教義をカリキュラム化し、それを具体的に文章化できるか、”ということだった。また「魔術的・神秘的な部分を排除する」ことだともいう。剣術の神秘性をはぎとるものが「理」だった。
練習に合理性を持ち込んだことによって学ぶものにとって分かりやすくなったということだった。これは現在の企業が情報の整理、公開することで、信頼を獲得できるのと同じようなものらしい。

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「三」が導き出す合理化の思考法。

「ブレない生き方」齋藤孝著より。
(前日のつづき)
同じく千葉周作の合理的コーチングについて述べられている部分にあったフレーズだ。彼の合理化の象徴は「三」という数字に合ったのだ。
彼の遺した「兵法」(=今のマニュアル)では「三」が多用されていたという。たとえば、構えは「上、中、下」、突きも三つ、間合いも三つ・・・などだ。
また「剣道の極意は、心気力の三つ」とも言ったそうだ。これが「一」だと、これだけやっていればいいと単純になって、成長もなくなる。「二」だとあれかこれかで迷いが起こり、二つに満足して次のものを求める意欲も欠けてしまうという。
三つに絞るのは合理的らしい。齋藤氏も授業では「三」を意識しているようだ。「大事なことはこの一つ」といえば、学んでいる側が物足りなく感じるようだ。また5や10だと頭に入りにくくなってしまうからだ。
企画書などもまず、大事なことを三つ箇条書きにしてみるのもいいらしい。報告書も同様に三カ条で仕上げるとわかりやすいという。今日やるべきことも3つぐらいなら覚えていられるかも。それ以上となると書いておかねば・・・

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どんな世界であっても、評価される人は「自分のスタイル」を持っている。

「ブレない生き方」齋藤孝著より。
これは“藤田嗣治に学ぶ 人の目を引くプレースタイル”という章で目にしたフレーズだった。フジタといえば、世界で最も有名な日本人画家でもあった。今でも彼の絵のファンは多い。
齋藤氏はスタイルを確立することは「戦略」と解釈していた。それは「得意技を組み合わせること」によって組み立てるものだという。例として総合格闘技をあげていた。選手はそれぞれ持った得意技で攻めるものだが、それがなければ「戦略」も立てられないことになってしまう。
また別の例ではお笑い芸人も自分の芸をアピールできたからこそ、世間に知られるようになるのだった。しかも得意技をスタイルにまで昇華するためには、3つ以上の得意技が欲しいという。
で、藤田が評価されたスタイルは、3つの得意技を組み合わせた戦略によるものだった。それらは、乳白色(色彩)、デッサン(線)、女と猫(モチーフ)となっていた。これは藤田の作品を見たことのある人ならすぐにピンとくるはず。

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新しいモノに恐れを抱かず、次々と挑んでいく「身軽さ」・・・
「ブレない生き方」齋藤孝著より。
この身軽さで一生を生きた人物は平賀源内だったという。彼には「人を呼ぶマルチな発想をプロデュース力」があったようだ。彼はいったい何をしたのだろうか。
ここに簡単な略歴があった。エレキテルなどの発明家、本草学者、事業家、西洋画家、陶芸家、コピーライター、イベントプロデューサー(物産展の開催)、鉱山開発者・・・と実にいろいろな顔を持っていた。
江戸時代のマルチプロデューサー兼マルチタレントだった。とくに有名なのは、夏にウナギを食べる習慣は「本日土用丑の日」というキャッチコピーだろう。
齋藤氏が秋元康さんと対談した時に「成功だけを求めてはダメ」という言葉が印象てきだったようだ。秋元さんには大ヒットはいくつもあるが、その何百倍の失敗があるということだった。
失敗したものは、結果的に知られないだけのことだった。失敗を恐れずにチャレンジし続けるという「身軽さ」こそが大事なことだったのだ。あまりこだわり過ぎない、という生き方もあったようだ。




















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