個性的になるより、むしろ駄々っ子になればいい・・・

「相鉄瓦版」2010.3月号より。
この号の特集は“旅に出るにはワケがある”となっていた。ここには一般的な観光旅行とは異なりユニークな旅を続ける人3人が紹介されていた。
上記フレーズは紀行ライターの宮田珠己氏の言葉だった。彼がこれまで興味を持って旅したテーマは、ジェットコースター、シュノーケリングで見る変な形の海の生き物、日本全国にある40メートル以上の巨大仏など多彩だ。
最近では内部が迷路のようになっている温泉旅館を巡っているという。これらはわざわざ考えたユニークなアイデアではなったのだ。自然に気にり巡ってきた結果出くわしたものだという。
ことさら個性的になろうと思ったわけではないらしい。ただ駄々っ子のように、興味を持った対象を旅してきたのだ。子ども的感性が影響していると自己分析している。
旅の知識を仕入れるというより、その場で感じる喜びを忘れないようにしているようだ。子どものようにワクワクしながら旅ができるって素晴らしいことだ。紀行ライターとして、そんなところも伝えていきたいのだろうな。

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やっぱり寄り道してこその旅・・・
「相鉄瓦版」2010.3月号より。
二人目は“辺境作家”として紹介されている高野秀行さんだった。もうこれだけで、当たり前の観光旅行とは大違いだと想像できる。
モットーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も知らないものを探す」だった。まさに冒険旅行ともいえる。大学時代は探検部に所属していたという。
だからたどり着くまでがやっとということも多いようだ。しかも、そこから先も毎日が手探り状態のようだ。当然言葉の壁もあるが、必要に迫られて覚えるらしい。
「こんなはずじゃなかった」のくり返しだという。と同時にそれは寄り道の面白さでもあるようだ。明確に目的を設定するほど、その寄り道が面白くなると語る。
そんな高野さんでも、2週間近くもジャングルをさまようよな度を超えた寄り道は二度とごめんらしい。生命の安全に不安があれば楽しめないだろうな。やはり私たちも、旅の道中でのイレギュラーの出来事ほど、あと後まで記憶に残っているもの。はらはらどきどきなども忘れないもの。また美味しい食べ物も意外に記憶には残っているな。

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旅と一緒で研究も横道にそれたときが意外に面白かったりする。

「相鉄瓦版」2010.3月号より。
3人目として、こう語っているのはロバート・キャンベルさんだった。1957年、ニューヨーク生まれというからテレビで見るより若かった。たまにクイズ番組などにも登場している。
日本文学に造詣が深い。以前何度か「Jブンガク」というNHKのテレビ番組を観たことがあった。初めて来日したのが大学生の時だったという。まったく日本人以上に日本語や日本のことを詳しく知っているのに驚かされる。
文学研究者としては、九州大学で学んだそうだ。とはいっても研究室や書斎に閉じこもって文献を調べるのではなく、実地調査に重きを置いていたという。
当然それは文学の世界を通じた旅ということになる。研究を進めていると、自分なりの路線図ができてくるが、その途中でジャマがはいるという。それは新たな発見や予想外の展開だった。
そして、目的地にたどり着く前に、研究の横道にそれた時も面白いという、それは旅と一緒だ。そう言えばある作家は、一つのテーマで書いているうちに、その途中で別の興味がわいてくるともいう。その脇道をテーマとして書くこともあるらしい。
学校時代を思い出しても、教室で先生が授業の途中で脱線してまったく別の話をすることがあった。逆にそのほうが面白かったりしたものだ。まあビジネスでいえば、本題の前の雑談の面白さだろうか。