自分だけの金言集をつくる・・・

「筋を通せば道は開ける」齋藤孝著より。
要するにこれは、見聞きした言葉のメモをつくったらどうだろうか、ということだった。読んだり聞いたりしている言葉の中には、たまに記憶に残しておきたいものに出会うものだ。
しかし、ほんの数分後にはすっかり忘れてしまって二度と思い出すことはない。あとで思い出そうとしても難しい。なんだか損をしてしまった気もする。
しかし、その場でメモしておけば、思い出す手掛かりになるものだ。映画などを見ていても、書き留めたい言葉に出会うが、なかなか手元で書けないもので、残念に思っている。
話し言葉に比べれば、本や新聞、雑誌なら何度も読み返してメモしやすい。これも習慣化することが大事なのだろう。それを手帳に書いておくといいと齋藤氏はアドバイスする。
そしてそのメモを、書いたり読んだりを繰り返していると、言葉の力が自分に乗り移ってくるという。それは本当だろうか。フランクリンは若い頃、金言を集めてカレンダーに出版したところ長年にわたってそれがよく売れたという。

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雑事を制する者が、仕事を制す。
「筋を通せば道は開ける」齋藤孝著より。
つまりこれは、「何でも引き受ける」という耐性のことだった。フランクリンはこれを実践してきたようだ。クリエイターには、その経験こそが欠かせないという。
様々な経験が、仕事の幅を広げるということでもあった。そこからチャンスも生まれてくるようだ。齋藤氏自身も学生時代は、雑事にわずらわされず、本質的な部分だけを追求したいと思って大学院に進んだという。
しかし、論文を書くにしてもそのためにかなりの地味な作業の繰り返しをせねばならなかったと振り返る。一割のアイデアを九割の地味な作業で固めるという感覚だったらしい。
そこで学んだのは、あらゆる仕事にとって雑事は避けて通れないということだった。つまりそれはその場で耐える「地味力」だった。これがないとどんな領域でも一つのことは成し遂げるのは難しいと語っている。

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苦手なものほど“伸びしろ”も大きい。
「筋を通せば道は開ける」齋藤孝著より。
これは筆者の経験からくる言葉だった。受験の際、得意科目より、苦手な科目を克服するためにエネルギーを注いだ方がいいということだった。
具体的には、得意科目の90点を100点に上げても10点のプラスだが、苦手な科目の40点を70点に上げれば30点のプラスになるからだった。
しかも、そのほうがエネルギーは効率的だという。さらに、克服できたという精神的なメリットも大きかったそうだ。
かなり有能だとも思える筆者の弱点の一つは、書く文字があまりにも汚くて自分でも読めないほどだったという。そのため仕事や勉強に支障をきたすほどだったという。心理的にもコンプレックスになっていたという。まったく信じられないが。
ところが、それを救ったのがワープロの普及だった。今ではそれさえも古い言葉になってしまったが。パソコンの機能はすごい。齋藤氏は読める文章を残せるなら便利だと思い、本格的にタイピングの訓練を始めたのだ。
専門のタイピストに教えてもらい、ブラインドタッチの技術を習得でき、書くのが楽しくて仕方がないほどになったという。そのため、年に一本だった論文が七〜八本にまで増えたという。これも苦手分野を克服した結果だった。
一般的なハウツーものでは「短所を直すより長所を伸ばせ」とよく書かれている。しかし、ここでの教訓は「長所を伸ばす前に、短所を矯正せよ」ということだった。
時にはこれも使えそうな気もするが、地道な努力に耐えられるかなぁ・・・