偉大なマンネリと陰口を叩かれようが、・・・

「ブランド広告」内田東著より。
数年前に購入した一冊だったが、また読み返してみた。すると、意外にもちょっと気になるフレーズが目についた。上記のあとには、次のように続いていた。
“〜華やかな流行などには目もくれないで、コツコツとブランドの積立貯金に精を出すことだ。”この部分もまた面白いと思えた次第。
で、どんなものがその偉大なマンネリかといえば、たとえば“土用の鰻”の日だった。これは平賀源内の発明と言われるが、江戸時代から今に至るまでずっと続いている。
もっと最近では、リポビタンDは40年にもわたって、“ファイト一発!”と叫び続けている。実にロングランの広告表現だ。もうこうなるとマンネリズムをとっくに超えているとも思える。会社の方針が一貫しているからできることだろう。
ところが、場合によってはそのブランドの担当責任者が変わったりすると、方針が変わって新しいことをやりだしたりする。すると、今まで蓄積してきたものが一気に失われてしまう。これは失敗のもとだろう。
たとえば、阪神タイガースの選手は縦じまのユニフォームで虎のマークの帽子をかぶる。黒と黄色はタイガースカラーともなっている。実にブランドとして一貫したものを感じる。別に阪神ファンではないが、もしこれを変えたりしたらつまらないものになってしまいそうな気もするな。

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愛用者がいままでどおりのブランド・コミュニケーションを望んだ。
「ブランド広告」内田東著より。
ここでは、桃屋のCMについて触れていた。三木のり平のアニメーションCM、「なにはなくとも江戸むらさき」が放映されはじめたのが、なんと1958年だという。東京タワーの完成と一緒だった。
のり平のイメージと桃屋のイメージはまったく切り離せないものになっているようだ。ところが、三木のり平は1999年に亡くなってしまった。桃屋の顔とまでなったのり平は消費者から同じキャラクターでのCM継続の要望が多かったようだ。それが、上記フレーズにあげたものだった。
さいわいなことに、本人はいなくてもアニメーションンなら登場させることはできるのだ。しかし、問題は声だった。ところが、息子ののり一は親父そっくりの声だったという。それで問題なく継続できたのだ。
桃屋も長い年月ををかけて作り上げたのり平路線を継続できたのはラッキーだったのだろう。やはり一度消費者に受け入れられたブランドイメージは簡単に止めてしまえば、それまでも努力が無駄になるということかな。
CMではないが、アニメと声優で思いだしたのが「ルパン三世」だった。当初(1971年)からルパンの声優を務めていた山田康雄氏が1995年に亡くなってから、ものまねの栗田貫一が正式にその後を継いでいた。さすが声はよく似せていて実にスムーズに引き継がれたものだった。イメージをいかに大切にしたかがうかがえる。
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コストの削減と新鮮なブランドが企業の命運を握っている。
「ブランド広告」内田東著より。
筆者は「ブランド力(りょく)、とは、発信力と言い換えてもよい」と述べている。またブランドを維持するためには、つねに発信を続けなければならないようだ。
すでに世界のトップといわれるブランドさえも、つねにマスコミを通じて次々と新鮮な情報でイメージ戦略を繰り返している。つまりいつでもブランドを新鮮に保つことは企業努力の要素でもあったのだ。
ということは、その企業にそれなりの体力がなければそんな努力は継続できなのだろう。今や大企業だからといって、安心はしていられない。ブランドイコール信用とは言えなくなったようだ。
あの優良とも思われ学生のあこがれの会社だったJALさえも瞬く間に、信用を失墜してしまった。コスト削減のために希望退職を募ってもまだまだ足りないようだ。企業の命運は分からないものだな。
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マス広告とウェブサイトの見事な連携プレー・・・
「ブランド広告」内田東著より。
これはマス広告のテレビCMで“起・承”のストーリーを見せて視聴者をひきつけておき、その後の“転・結”の部分はインターネットで楽しんでもらおうというものだった。
これを専門用語ではクロス・メディア・ファンクション(=横断的メディア機能)という手法らしい。あまり気がつかなかったが、マス広告とウェブサイトを一体化した広告表現手法は行われているようだ。
確かにウェブを身近に感じている人には有効な方法だろう。そういえば、以前ある缶コーヒーのCMが気になったので、そのメーカーのホームページを見たところ、さらにいくつかのパターンを楽しむことができたことがある。
またテレビ番組を見ていると、「詳しくは番組のホームページをご覧ください」という言葉はよく聞かれる。そして一般の広告でもほとんどどこかしらに、その会社のホームページアドレスが掲載されているもの。
メーカーにとって、それを見て訪れてくれる消費者はありがたいものだろう。一方、消費者にとっては、訪問してみると意外に楽しい発見があったりする。これもウェブのいいところかもしれない。

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大別して三種類のブランドが、棲み分けをしながら活動している。
「ブランド広告」内田東著より。
まず、この三種類のブランドとは「EDLPブランド、キャラクターブランド、ファッションブランド」というものだった。といっても一般にはなじみがない。
次にその説明をしてみよう。EDLPとはエブリデー・ロー・プライス(=毎日が低価格)のものだった、例をあげればわかる。ユニクロ吉野家無印良品などがある。100円ショップも当然入るだろう。
キャラクターブランドとは、強力なマーチャンダイジング力を駆使して、独自の個性をアピールするものだった。その代表にコカ・コーラソニートヨタなどが入っている。マクドナルドはこれにも入るがEDLPにも入っている。
またファッションブランドは、主に高級品のイメージがある。シャネル、カルティエ、ブルガリなどが入る。このブランドが低価格のモノを扱うとブランドイメージが崩れてしまうようだ。贅沢品の部類だろう。余裕がある人やたまに贅沢をしたいときにはいいのだろう。
今はスーパーでもユニクロレベルの低価格商品を扱っていることもある。すると、必ずしもEDLPの店に行かなくても、いいことになってしまう。さらに商品の信頼度を考えるなら、デパートでは衣料品以外の実用品や食品まで豊富な中から選べ、買い物を楽しむことできたりもする。