脳にとっての報酬とは・・・

「プレジデント」2010.7.19号より。
この号の特集は“頭を掃除する!”だった。あまり聞きなれない脳にとっての報酬という言葉が気になった。これは日本大学大学院の林成之教授だった。
そもそも人間には生まれながらにして「仲間になりたい」という本能をもっているらしい。それによって脳には「人が喜ぶことが自分にとってもうれしい」と感じるという。
確かにこれは何度となく経験している。貢献心が満たされると、それが自分にとっての報酬ということになるのだ。さらに「自分でやってやる」という前向きな欲望にもつながっていくという。
逆に何らかのトラブルに巻き込まれると、「嫌だな」「面倒だな」と感じた時には、思考力も低下し、解決策も見出せなくなってしまう。しかし、「このトラブルを解決することで、お客様や仲間を助けられる」と肯定的にとらえれば、積極的に解決しようというモチベーションも上がってくるようだ。
ここでちょっと注意をすべきことは、「もうできた」「もう終わりだ」と思ってしまうとモチベーションが低下することがあるらしい。いずれにしても、物事を肯定的にとらえることは、脳にはいいようだ。

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既存客・既存商品でも、市場を深堀りすれば、売り上げを増やすことは可能。
「プレジデント」2010.7.19号より。
ここでのテーマは「ボスコン流」“皆が手を焼く仕事の課題を解く”だった。ボスコンとはボストンコンサルティングのことだ。問題解決のプロフェッショナルの考えが興味深い。
さて、タイトルとしてあげたフレーズについて、「市場が縮小している」ということについての問題解決の例がある。1979年の時計メーカーのセイコーの話だった。この時のコマーシャルでは「なぜ、時計も着替えないの。」というものだった。
それまでは、時計は一生もので、一人一個あれば十分だと思う人が多かったようだ。しかし、このコマーシャルで一人で複数の時計を持つというスタイルが広がって、売り上げを伸ばしたそうだ。
また、パソコンのプリンターメーカーは、そのメンテナンスとして必要なインクで稼いでいる。同じ顧客からメンテナンスやサービスで何度も稼ぐことは可能だった。しかもこのほうが、新市場に多角化という戦略に比べてリスクはかなり低いものだ。

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一枚のメモに思考の塊をパッケージする。
「プレジデント」2010.7.19号より。
まるでCMのコピーのような、このフレーズのことを実践しているのは大前研一氏だった。氏にとっては、ノート術というのは、他人の話を書き留めるものではなく、あくまで自分の思考を整理するためのものだった。
差し迫った講演やミーティングがある時には、早朝1〜2時間気合いを入れて、その日の話の内容を考えている。実例、キーワード、数字などを簡潔なセンテンスを交えて書き並べていく。
一つのテーマに関して、頭の中にあるデータを取りそろえて、一つの考え方の塊にする。これが、フレーズにあげたパッケージすると言う部分だ。一枚のメモとはA6サイズのノートのようだ。
これを書くことで頭の中が整理されるという。集中して書いた時点で目的は達しているのだ。だから、実際の講演ではこのメモを見ることはないらしい。
面白いことには、しばらくたってから、講演のメモを読み返しても、何が書いてあるかさっぱり分からなかったりするという。A6のノート、私も持ってはいるが、ほとんど使ったことはなかった・・・

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40年にわたり「時代の流行」を確実にとらえる・・・
「プレジデント」2010.7.19号より。
たった一人のミュージシャンが約40年にわたって、第一線でヒット曲を出し続けて多くのファンに支持されている。そんなに多くはいないだろうが、ここではその一人ユーミンの「創造力」について述べられていた。デビューは1972年の美大生の時だった。
彼女の創造力を支えるポイントは、1、新しいことへの挑戦力、2、創作に没頭する集中力3、対象を観察する力4、変わり続ける力。以上の「4つの力」だった。
それぞれどんな内容なのか見てみたい。1では、日常の生活でも、旅に出かけたり、美術館や博物館を訪れたり、感性を刺激するための価値を探している。未知と出合って、自分を刺激することが習慣になっていたのだ。
2はアイデアが出てくるのは、時間を忘れるくらいに、一つのことに意識を集めた時だけらしい。特に絵を描くことは集中するためのいい訓練になったようだ。絵画はまた3と関連しているようだが、「見る目」は絵と音楽を創作する過程で自分のものにしたのだ。ふつうの人は「見たつもり」で満足してしまうのだろう。
最後の4番目は、同じミュージシャンのニール・ヤングが語った「変わり続けるから、変わらずにいられる」という言葉が好きだということが原点のようだ。世の中はどんどんと変わるから、同じポジションを保つためには、つねに冒険と努力が必要だったのだ。
現状維持だけでは後退するのみか。ビジネスでも、まったく通用しそうなことばかりだ。当然ながら、彼女には抜群の才能があるうえに努力を重ねているからこそ約40年にわたっての「ヒット請負人」になれるのだろうが。