大切なのは、あらゆる業務を「仕事」と「作業」で分けて考えることだ

「汗をかかずにトップを奪え!」三田紀房著より。
この一冊には実に気になるフレーズがたさくんつまっていた。というのも、既にわかったつもりになっていたものをこうして、言葉としてみると気づくことが多いからだった。
この章のテーマは「仕事は五分片づけろ!!」となってた。そして、項目として“仕事は五分、残りは「作業」だ!”となっていた。この考え方の元になっているのは、五分だけ仕事をするという意味は仕事とはクリエイティブワークという見方があったのだ。
徹底的に知恵を絞ってアイデアを出すことがまず最初で、それによって方向性が出たら、あとはそれを実行するということだった。つまりこの部分が作業だったのだ。これにはかなりの時間がかかる。それによってムダなエネルギーと時間を使わずにすむという。
筆者はこれをハイブリッドカーの電気モーターにたとえていた。発進時にだけ「仕事」をして、スピードに乗ってきたら「作業」に切り替わるからだった。消費エネルギーの無駄を徹底的に排除しようという発想が大事なのだろう。
日常の仕事でも、まずは何をどう企画していくかに集中して考えることが必要だ。脳に汗をかくのはこの時だろう。その後は段取り、準備などの作業によって仕事を整えていく感じにも思えるが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

楽しい仕事、面白い仕事から先に手をつけ、自分を勢いづかせることが重要なのだ。
「汗をかかずにトップを奪え!」三田紀房著より。
人によっては、いやな仕事を先に片づけてしまえば、あとは楽になるだろう、と考えるかもしれない。それも一つの考え方だ。筆者は、予定を書きこむときに基本的に、まず休みから決めていくという。そこで何をやるか、映画、旅行、読書、買い物など。つまり楽しいことを先に決めているようだ。これはみなやっていることかもしれない。
さらに仕事については「どうしてもやりたいこと」の予定から決めていくという。次には「やりたくはないが、やらねばならないこと」の予定を埋めていく。最後に「できればやりたいくないこと」の予定を埋めるという。
まあ、そこまで細かく分けて考えたことなどないが、やりたい仕事を優先するというところがポイントだろう。モチベーションが高いものを優先するということだ。やはりスケジュールは楽しいことがあるほうがやりがいがあるもの。
いやな仕事にはエネルギーの消耗が激しいものだろう。つまり場合によってはストレスになってしまう。そんなストレスを蓄積した後では、好きな仕事をしても効率が悪そうだ。ならば、フレーズにあげたように、“楽しい仕事、面白くない仕事から先に手をつけ、自分を勢いづかせること”のほうがいいだろうな。
もしかしたら、そうしている間に「できればやりたくない仕事」も消滅していればなお結構なのだが・・・。真面目なタイプほど、やりたくない仕事を優先してとりかかってしまうのかも。

///・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関係づくりの決め手となる言葉は、印象的な一言であることが多い。
「1分で大切なことを伝える技術」齋藤孝著より。
たとえば、テレビ番組をみる際にチャンネルを切り替えるが、面白いかどうかを見分ける時はほんの一瞬に過ぎないことが多い。言葉も同じように、短い時間でも内容があるかどうか、印象的かどうかが決まってしまう。
齋藤氏の経験によれば、自分をアピールできるのは1分程度だと想定している。この時間を短いと見るか長いと見るかだ。人と話す時に短ければ待ってくれるが、その話がだらだらと長いとイライラしてくるのではないだろうか。
言葉の量が多いからといって、その効果があるとは言い切れない。また時には、余計なひと言で悪い印象を与えてしまうことさえある。1分で言いたいことをまとめるコツについて書いてあった。
まず、話の問いを発するのがスタートだった。その次にポイントを3つほど入れて、最後に問いの答えとなる一文でしめくくる、つまりそれがゴールだった。
私の好きな言葉にもシェークスピアの「簡潔は知恵の真髄」“Brevity is a soul of wit.”という言葉がある。齋藤氏は、簡潔かつ印象的に話すことは、才能よりもむしろ練習だという。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時間における「トヨタ方式」
「1分で大切なことを伝える技術」齋藤孝著より。
いったいこれはどんなことだろうと、ちょっと気になった。筆者はストップウォッチの利用をすすめいている。これによって時間意識がでてくるからだという。もし効率的にしごとをやろうと思えば、時間を意識してムダ・ムリ・ムラをなくすことが大事なことだった。
つまりそれが時間におけるトヨタ方式というものだった。目の前に時計がなければ、時間の経過がわかりにくいもの。しかし、初めからストップウォッチを用意しておけば、その進み具合がわかるようだ。
ストップウォッチというと、なんだか秒単位で時間が進むようであわただしい感じもするが、1分という単位でみるとそんな時間だけでもかなりの情報が盛り込められる。
たとえば、この新書版の1ページを読むと約1分だという。そこで実際に声に出して読んでみたら、その通りだった。そんなことは意外に気がついていないものだ。
実際に1分間で内容のあることを話すのは難しそうだ。当然訓練が必要だ。齋藤氏はそれを「つぶやき方式」でやるといいと提案している。ポイントは黙読ではなく、必ず声に出して練習することだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一番怖いのは、デメリットが示されていない企画が通ること。
「1分で大切なことを伝える技術」齋藤孝著より。
まずは、企画ということを考える前に、一般のモノを売るための広告のことを思い出してみたい。そこには、ほとんどがいいことばかりうたってある。この商品にはこういうメリットがあると述べるのは当然だろうが、それだけを信じるというのもどうだろう。
たとえば、それを使えば効果があるとはいっても、ある一定期間使用を続けた場合とか、こんな場合には効果が見られない、逆にこんな人にはほとんど効果がない場合もあることなどはなかなか発見しづらいものだ。
おいしいことばかりが表現されていたらやや怪しいと思ったほうがいいのかもしれない。個人差がある、写真とは異なる、商品は返品不可などがあればかなり怪しいものと判断すべきだろう。仕様書などはすべて書いた方に有利に出来上がっている。たとえデメリットが書かれていても細かくて読みずらいものだ。これがトラブルのもとになる。
話をするときもメリットと同時にデメリットの部分も語るべきだったのだ。そして、「そのデメリットはこうすれば消える」というように展開していけば、納得してもらいやすい説明となるようだ。だから、メリットばかりの企画が通ってしまうとあとで恐ろしいことにもなりかねないのだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

CMを「伝える技術」という観点から見ると、ある意味では最高のお手本になり得る・・・
「1分で大切なことを伝える技術」齋藤孝著より。
1分という時間はCMの4本分だとみると、実に多くの情報が盛り込まれていることが実感できる。つまり1つは15秒単位だったのだ。短い時間でメッセージを伝えるということを考えれば、優れたCMなら参考になりそうだ。
結果的に出来上がったものは15秒に過ぎないが、それが出来上がるまでの過程には実に多くの時間と人が費やされている。知名度のある人物を使ったり撮影場所によっては、膨大な金額にもなる。
だからこそ、その短い凝縮された時間に効果的なメッセージを盛り込もうと必死なのだろう。しかも印象に残らななくては意味がない。時どき何が言いたいのかがぼんやりしているCMにも出くわすが、もったいない気もする。
CMは15秒間という極めて限られた時間に表現しなければならないということをみれば、ふだん自分たちはたっぷりとした時間を使っていることにも気づく。ということは数分間あれば、なかりの内容を盛り込んで話せるはずだが。
また15秒間のCMがどのように構成され出来上がっているかを考えてみるのも勉強になりそうだ。またどうやってその発想が生まれたのかを探ってみるのも面白そうだな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

喜びがあるところに、継続はある・・・
「ギフト〜E名言の世界〜」2010.7月号より。
これは昭和の鉄人といわれた元プロ野球選手、衣笠祥雄さんの述べていたことだった。この回のテーマは継続だった。衣笠氏は連続試合出場で当時の世界記録を打ち立てました。それは2215試合だった。現在の記録は大リーグのカル・リプケンオリオールズ)となっている。
1975年に広島カープはそれまでの万年Bクラスから、球団史上初の優勝を決めた。その時衣笠は、「喜びがあるから頑張れる。苦しければ苦しいほど、その喜びが大きくなる」と述べていた。それは実感だろう。つまりそれが継続の原動力だったのだ。
体調を崩しても、けがをしても不屈の精神と体力でボールに食らいついて頑張っていた。ところが、1979年8月1日、対巨人戦で西本投手からのデッドボールで左肩は全く動かず、呼吸もできないほどだった。全治2週間の骨折だった。ドクターストップもかかってしまった。
ところが、翌日の試合に衣笠の姿があったのだ。ようやく左腕が少し動く状態で、代打として出場していた。結果はフルスイングで三球三振だった。この年チームは2度目の優勝をしていたのだ。
ここに衣笠が残した名言があった。「大きな喜びは、どれだけ時間が経っても、いつまでも残る。また、あの喜びを得たい。それが継続を生むのである」。やはり初優勝の喜びが大きかったのがその後の活躍にもつながったようだ。