同じ値引きでも、こちらの提示の仕方によって反応が変わる・・・

「プレジデント」2010.6.14号より。
これはセブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOの言葉だった。同じ値引きをするのにも、それを別の形で表現すると結果も異なってくるようだ。
それで大ヒットしたのが、現金下取りセールだった。衣料品のお買い上げ金額に応じて、不要になった衣類や家庭用品を一定金額で下取りするものだった。
お買い上げ金額5000円ごとに一点1000円で下取りすれば、実質は2割引きになる。初めから2割引きとせず、タンスに眠っていても捨てるなら損をする気になってしまうような場合は、そこの新たな価値が生まれるということだった。
単なる値引きよりも、心理的にはいいことをしながら、安く買えるということで買い物しやすくなるのだろう。デパートでもはじめは婦人靴やバッグなどの下取りをして、買い物の際に使える金券と交換するというような形を変えたことを時どき行っている。
下取りは自宅に眠っているものを整理するいい機会でもありそうだ。そんな点をついたところも新鮮に思えたのだろう。販売も企画、表現力の仕方で顧客の反応は大きく変わることがわかる。

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話術を磨く前に、まずは自分の考え方をしっかり持つことを目指すべき・・・
「プレジデント」2010.6.14号より。
鈴木敏文氏の場合は講演でもとくに準備もせず、会議の資料も読まないという。講演でも顧客の反応を見ながら頭をフル回転させると話題が浮かび、会議でも先入観なしに突っ込みができるからだそうだ。
もちろんこれは経験豊富な鈴木氏だからできる技だろう。また、価値のある話は聞き方のうまい下手なくて、自分の考えをぶつけることで引き出せるということだった。
事前に資料を読んだことだけなら、すでに別の人も同じ情報をつかんだものになる。本当に価値ある情報は、自分なりの考えをぶつけ、双方のやりとりをすべきだったのだ。鈴木氏はまず自分の考えや持論をしっかりと持つべきだという。そして、変化に対応するために、過去の経験を否定することから始めていたのだ。
売り手の勝手な思い込みで、「顧客のため」でやっていたことを、「顧客の立場」でという発想を持つことが大事だったのだ。一見似ていそうだが、大きく異なっている。常にぶれない考えを持てるかどうかがポイントでもあった。
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リスクが先に浮かぶ人間は、いざというときになにも決断することができない。
「汗をかかずにトップを奪え!」三田紀房著より。
この文庫本のサブタイトルは“「ドラゴン桜」流ビジネス突破塾”となっていた。もうこれだけで、内容の面白さを感じさせてしまう。つまり、あのマンガの主人公の桜木健一の言葉で、ビジネスに関する本音や効率的な方法論が語られているのだ。しかも、プロローグの部分と、各章の表紙にはマンガが描かれている。
まずは、その興味深い各章のタイトルの一部を紹介してみよう。この本では章はSTEPとなっている。1、格差の本質を見抜け!!。ーダマされている自分に気づけ!2、「仕事とは「大いなるヒマつぶし」だ!!ー仕事の正体を見極めろ!3、人脈を築いて「そのとき」に備えろ!!ー会社の看板をしゃぶりつくせ!・・・などだ。
この命令口調や“!!”がいかにも、ドラゴン桜らしく、本音が感じられる。さて、タイトルにあげたフレーズは独立ということを考えた場合のリスクのことだった。
会社を辞める時、事業が失敗した時、資金繰りが追いつかなくなった時、人を雇うこと、その他のリスクのことだった。こんなリスクが先に浮かぶなら独立しても失敗するだろうとまで述べている。
というのも、独立することにはリスクはつきもので、会社のなかで仕事をしていても、どんなに頑張ったところでリスクはゼロにはならないからだった。すべての選択肢にはリスクはあるものだというのが基本的な考え方だったのだ。
あとはそれが大きいか小さいかだけかもしれない。採算を度外視したら、ビジネスとは言えない。独立するなら、多くの人のサポートが必要だと指摘している。まずは、人脈と信頼関係ができているかがスタートかな。

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毎月ノルマを達成できるのなら、営業が大好きになるのかもしれない。
「汗をかかずにトップを奪え!」三田紀房著より。
この章のテーマは「仕事とは大いなるヒマつぶしだ!!」となっていた。実に刺激的なタイトルに思えた次第。その中で、営業の仕事について触れられていた。営業は顧客相手の仕事なので、ストレスがたまりやすい職場でもあるだろう。自分をある程度抑えなければやっていけない。
最もストレスがたまるのは、ノルマが達成できないときだろうと、筆者は考えている。逆にノルマさえ連続できていれば、他のことはかなり多めに見てもらえる可能性もある。
また対人コミュニケーションが元々苦手な人にとっても営業は不向きかもしれない。またこれといった趣味もなく、日々の生活でガス抜きが下手な人ならキレる可能性も高いらしい。要するに何ごともうまくいっているうちは、ストレスは忘れていられるものだ。
好きなことを仕事にするのが難しいなら、「嫌いじゃないことを仕事にする」という意識を持つべきだと、筆者はいう。さらに、仕事なんてしょせん、ヒマつぶしだからという主張だが、どうだろう。まあ、それも一つの考え方かもしれないが。
いくら好きな仕事をしていても、ストレスがゼロはありえないだろう。たとえば、プロのスポーツ選手だって、常にベストコンディションはあり得ない。スランプもある。芸能人も旬の時期は限られるし、また下済みは長くチャンスはごくごく一部の人にしかやってこない。小説家も産みの苦しみの連続だろうし。