「発明に立派な道具はいらない」

産経新聞」2010.4.25付けより。
“日本発アイデアの文化史”という文化面を読んでいたら、目にしたフレーズだった。これはインスタントラーメンを発明した安藤百福さんが言っていたことだった。日清食品創始者だった安藤氏は今年で生誕百年になる。
実際に即席麺の起源である“チキンラーメン”が発売されたのは昭和33年(1958年)だった。まだ半世紀しかたっていない。しかし今や世界で年間936億食が消費されているという。ほとんど想像もできない量だ。世界中の人が年に14回ずつ食べている計算らしい。(2008年のデータだそうだ)今ではもっと増えているという。
そんな世界的な発明品も、自宅の小屋で生まれていたのだった。研究所とは全く異なっていて、むしろ台所といってもよかった。それらしい道具は手動式の製麺機程度で、あとは調理台、鍋釜、はかり、などありきたりのものしかなかった。
ヒントは天ぷらからだった。アイデアは庶民的で、あとは試行錯誤を繰り返して、製品を完成させていた。お湯をかけるだけで食べられる即席麺は画期的なものだった。道具よりもむしろアイデアをどう実現するかに最大の努力を注いだのだろう。庶民的な発想から形になるまでには何年もの苦労を重ねたに違いない。
日本が世界に誇れるこんなアイデアさえも安藤氏は独占せず、多くの会社に製法の使用許可を与えていた。もうけよりも、社会貢献をしたいという思いの強い人だったという。ここには、「安藤氏は手間暇の節約法」を発明したのかもしれないともあった。
この記事を読んで、立派な道具より、むしろアイデアをどう生んで、それを形にしていくかの方が大事なことだと感じた次第。たとえば、パソコン1台あれば、それでいろいろな物を作ることができる。文字ばかりでなく、色、形、映像、ネット・・・と、組み合わせによって無限の発想が可能になる。

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言い訳して例外を作るのはやめようと思っている。
朝日新聞」2010.4.25付けより。
“朝日求人”の「仕事力」というコーナーで、黒柳徹子さんが語っていたことだった。彼女はいつ多忙だという。だからスポーツジムに通う時間もないくらいだった。
しかし、そんな中でも今の状態を保つためには何かをしなければならないと考えていたのだ。そこで、継続的にやっていることがあった。それはジャイアント馬場さんに教えてもらったスクワットだった。これは毎日やっているという。
またウォーキングもやっているようだ。停電で暗でもスクワットをやっていたら、驚かれたという。
つまりそれくらい例外なくやることは必要だといいたかったのだろう。言い訳をして止めるのは簡単なことだが、そんな例外を作らないように努力しているのがすごい。
また、テンポのある生き生きとした自分で仕事をするために、35年前の自分の番組の仕事ぶりを、現在とどう違うかも確認しているという。それによって番組のテンションを保っているのだろう。だからこそ、日本で初めてのトーク番組「徹子の部屋」は35年以上も続いているのだろうな。

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準備の果実が「質」・・・

朝日新聞」2010.4.18付けより。
“朝日求人”のインタビュー記事の中で、黒柳徹子さんが述べていたフレーズだった。これはこの日のタイトルにもなっていたが、初めのうちはなんだかピンとこなかった。
記事を何度か読み、また実際に「徹子の部屋」を観たあとでようやく理解できるようになってきた。まず、ここには番組制作の過程までが書かれていた。
なんと月曜、火曜の二日間で3人づつのゲストを招いて収録していた。またそのゲストに関するスタッフとの内合わせは金曜日に5,6人分集中して行っていた。一人のゲストにつきディレクターが一人いて、調べてきたエピソード、資料の説明をしてくれるのだった。
1件(つまり一人あたり)で1時間以上かかり、頭に入れるために自分で作る手書きのメモは12,3枚になるという。打ち合わせ時間は毎週6時間に及ぶようだ。また、ゲストのCD,DVD,著書、なども揃えてくれる。作家ならデビュー作、受賞作、最新作などきっちりと読むという。映画なら出演作品を真剣に見ているそうだ。
実に入念な準備があってこそ、そのゲストに相応しいインタビュー番組ができあがっているのだということがわかる。つまりそれが、準備の果実としての番組の質になっていたのだ。しかし、いくら準備をしたからといって、必ずしも完璧なことばかりではないらしいが。しかし、ポイントは自分作るメモそこが大事なものだと感じた次第。