名言には必ず、見る者・聞く者を楽しませてくれる「3つのC」がある

「ギフト〜E名言の世界〜」2010.4月号より。
これは今月から始まったNHKテレビテキストだ。その初めの部分で見かけたフレーズだった。長年にわたって残っている名言には、ただ単に内容が魅力的だからというだけではないようでした。それは口にしやすく、覚えやすいリズムがあったからでした。
また内容という点では「3つのC」が含まれているという。それらはcreative(創造的)、clever(ウィットに富んだ)、concise(簡潔な)だった。さらに、この番組の講師のロジャーさんは、名言にはもうひとつのCがあるという。それはcool(かっこいい)だった。
豊かな経験と実績を伴った人が語る言葉には味があるものが多い。それを言える人はかっこいいと思える。確かになるほどと頷かせてくれるものだ。また、それらの名言をさりげなくサラリと言える人もかっこよく見えそうだ。
(名言には4つのCがあったことになるが)、蛇足ながら4つのCといえばまた別のものを思いだした。それはダイヤモンドの品質だった。ダイヤモンドはは色(カラー)、透明度(クラリティ)、カラット(重さ)、カット(研磨)によって品質を評価していたからだった。
さて、自分はお気に入りやかっこよく言えそうな名言を持っているだろうか。これは英語用のテキストではあるが、日本人のしゃべった言葉も英訳されている。それも興味深いものだ。たとえば、イチロー選手の名言「ぼくは天才ではありません。なぜかというと自分がどうしてヒットを打てるかを説明できるからです」の英訳は“I’m not a genius. That's beccause I can explain why I have hits.”とわかりやすい。


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「センス」という言葉は、必ずしも英訳するときにそのままsenseを使わなければならないわけではない。

「ギフト〜E名言の世界〜」2010.4月号より。
日本人は何気なくセンスという言葉を口にするものだが、英語にする場合はそれがそのままsenseにしない方が意味がよく通じる場合も多いらしい。このテキストはもともと英語の勉強のためのものだから、少しだけ英語についても触れておこうと思った次第。
ここでは、将棋の羽生善治さんの名言を紹介していた。それは「ひらめきやセンスも大切ですが、苦しまないで努力を続けられるということが、何よりも大事な才能だと思います」だった。
このセンスという部分をどう英訳するかということについて述べられていた。ここでは何とeyeという言葉が使われていたのだ。have a good eyeというふうになっていた。つまり目は、物事をとらえるsense「感覚」の源だったからだ。視覚は人間の五感のひとつだった。
ここでは別の例も示されていた。「彼女には音楽のセンスがある」は“She has an ear for music.”となる。さらに、芸術を見極める目なら、an eye for art となっている。
また、買い物のセンスがある、はお買い得を見つけるのがうまい、と考えられ、an eye for a bargainともなるようだ。日頃英語とはすっかり遠ざかっているが、こう見てくるとなんだか英語が身近に感じられてきそうだな。
先ほどの羽生さんの英訳は、“Being inspired and having a good eye is vital,but the crucial ability is to keep striving without agonizing over it.”となっていた。やはりかなり難しいか・・・


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「苦しまないで努力を続けられるということが、何より大事な才能・・・」

「ギフト〜E名言の世界〜」2010.4月号より。
これは前日とりあげた羽生さんの言葉の一部だった。どんな世界でもトップに立つためには、長年にわたって死ぬほどの努力を徹底して繰り返してこなければ不可能だと思われる。天才棋士と言われる彼もきっとそうして、トップに立ったのだろう。
このテキストの面白いところは、その名言を残した人物のちょっとしたドラマが描かれているところだ。実は、私は英語など別にどうでもよくて、むしろそんな名言が生まれるまでのドラマに関心があった。どうしてその人はそういう名言を口にしたのかは興味深い。
羽生さんは25歳で公式タイトル7冠を完全制覇していた。これは全人未到の偉業だった。しかし、その7冠を保持し続けるのは並大抵のことではない。防衛戦が続く過密スケジュールのなかで、かつての勢いにも陰りが見え始めたのだ。
ついには1冠だけになってしまった。当然ながら悩む日々が続いたようだ。そんなある日、60歳を過ぎても若手棋士たちと、生き生きと懸命に将棋を求めるベテラン棋士たちの姿が目に留ったという。
そこで、勝負に焦るよりもむしろ自分らしい手を打つことにこだわって、対局に臨むようになったのだ。その後次々と失ったタイトルを奪い返している。このような経験から将棋への情熱を持ち続けることが難しいと感じたようだ。そこで、才能を考えた場合、意外にもフレーズにあげた部分がポイントだと感じたのだ。またそれが実行できる人はすごいのだろうな。
蛇足
英語で「才能」を表す語は、talent,ability,giftなどがある。talentは一般的に何かをするのがうまいということだった。abilityは何かをする実用的技能があるという意味。giftは、生まれついて秀でた能力ががあり、熟練している人につかうものだった。