「買い物する脳」のスイッチを押すもの。

『「買いたい!」のスイッチを押す方法』小阪祐司著より。
このフレーズはほとんどこの本のタイトルと似ていることにいま気付いた。だからこそ気になって購入したのだろう。
動機がなければ、行動は生まれてこないもの。だから「買う」という行動の源はこの動機があるかないかということになる。動機は脳の中で起きる。その動機を引き起こすメカニズムは神経伝達物質ドーパミン」がカギを握っているらしい。
ドーパミンとは、脳に喜びをもたらすといわれる化学物質という。ドーパミンが脳内に分泌されると、人は幸福感、満たされ感を得るようだ。これは脳科学者のグレゴリー・バーンズ博士が述べていたことだった。
ドーパミンは人を行動に向かわせる非常に重要な働きをしていたのだ。だから買い物をする際にも、脳のスイッチを押す大きな役割をしていたのだった。
動機が喚起されれば、「買う」という行動につながるということのようだ。ならばどうやって買い物する脳のスイッチを押すのか、という具体例は明日また続きを書いてみよう。

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動機が起こるカギは「情報」が握っている。

『「買いたい!」のスイッチを押す方法』小阪祐司著より。
筆者の小阪さんが講演のたびにやっている実験があった。それを具体例として取り上げてみたい。まずは一本のフランス産の赤ワイン、3,800円と、商品名「エモーション・ド・テロワール」を提示して、飲んでみたいかと訊いている。
千人の会場でも手を上げるのは数人しかいなかったようだ。それはお酒が嫌いだからではなく、脳の中に情動が起きていなかったからだった。商品名、価格、産地だけではほとんど反応がないということだ。次にA,B,C,Dの4種類のブドウを使用していると商品の説明をしている。
それでも、ほとんど反応が変わらなかったようだ。次にはある酒屋さんがつくったコピーのスライドを映しだしたのだ。そこには「エモーション・ド・テロワール  天才醸造家がフランス政府に逆らってまで作ったワインとは」というタイトルがあった。
次には4行でその説明があった。「今フランスのワイン界で天才と呼ばれているワイン醸造家がいます。・・・中略・・・それがこのワインです」。これを画面に映し出し読み上げたあとに再度「いま、飲んでみたくなった方?」と訊いている。
すると、6割から7割の人が手を挙げたという。この実験はだいたいいつも同じような結果になるという。聴衆の心の中には「フランス政府に逆らってまで作ったワイン。一体どんなものか」と興味がわいてきたのだろう。つまり新鮮な「情報」がポイントだったのだとわかる。1000人のうち、600人から700人が試飲をしたいと思ったのだからかなりすごいとも思える。

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havingの消費からbeingの消費へ。

『「買いたい!」のスイッチを押す方法』小阪祐司著より。
ここには、『「being」とは「存在そのものの価値観や生きがいといったもので、満足して生きる基本となる部分」(堀之内高久横浜国大准教授)』という説明があった。
心理学の世界では「being」「doing」(すること)「having」(所有)という概念があるらしい。これからの動機としては「こんな自分になりたい」というようなことが消費につながるようだ。
たとえば、自分のbeingにつながるものに出会ったら「そうそうこういうものを探してたんだよね!」「こういうものが欲しかった!」などと叫ぶらしい。
それによって理想の自分に近づけると思うのだろう。こんな情動を「フルフィルメント」と言うらしい。さらに、これを小阪流にいえば、「ワクワク」と呼んでもいいようだ。
ハーレーライダーたちが、ハーレーにまたがって風を切るとき・・・彼らは「これそ私だ」と感じているようだ。なりたい自分にになるための消費が「beingの消費」ということになるらしい。筆者はこれからのビジネスは「なりたい自分」を支援するものが増えるだろう予測している。