なんでもないものを輝かせて見せるのが「ブランド」。

「もったいない主義」小山薫堂著より。
筆者が大学でモデル授業を行った際に「ブランドってなんだろう」ということについて学生たちと一緒に考えることにした。その際に使ったのがカレーだった。実際にただのありふれたカレーを用意して、食べたい人?と言った時には誰も特別な興味を示さなかった。
次に一人の年配の女性を登場させ、このカレーを作った人ですと紹介したのだった。しかもかなり前から同じこのカレーを作っているという。小山氏とのやり取りで、家族で誰が一番このカレーが好きかと問えば、次男だとのことだった。その次男はいまアメリカにいるとのことだった。いろいろな質問からこの女性の名前は鈴木と言って息子は野球をやっているとのことだった。
そして、小山氏は「こちらはイチロー選手のお母さんで、『世界一、おふくろのカレーが好きだ』といったそのカレーを作ってもらった」とタネ明かしをしたのだ。それから、このカレーを食べてみたい人いますか?と言うと今度はすごい勢いで手が挙がったという。
つまりカレーの物語に共感したり感情移入したからこそ食べたくなったのだった。要するにこれが「ブランディング」でもあったのだ。外見は同じように見えても、よく知っているマークやロゴを見つけると、その商品が輝いて見えたりするもの。それが製品の信用でありブランドだったのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

発芽しなくてもいいからアイデアの種を拾っておくこと。
「もったいない主義」小山薫堂著より。
まず、「アイデアの種」とは、氏が目にした「なんか面白いな」という情報のことだった。さらに筆者は知らず知らずのうちに、“錬金術的発想法”をしていた、とある専門家から言われたそうだ。
つまり、それは外から入ってくる断片的で一見価値のない情報を即座に価値ある情報に変えてしまうことだった。かなり特殊な能力だとも思えるな。
いろいろなことに関心を持っているうちに「これとこれがくっついたら面白い」と引き合わせる作業を無意識のうちにやっているそうだ。これも「もったいない」という気持ちがアイデアを生んでいることなのだろう。
あとがきの部分では、次のようにも語っていた。「日常の小さな失敗を“無意識のごみ箱”にすててしまうのではなく、“もったいないのガラクタ箱”にストックしておくことが大切なのです」と。
小山氏は放送作家の他にも、ホテルのアドバイザー、脚本家、絵本作家、プランナー、大学教授といろいろな肩書で仕事をしている。だからこそアイデアが広がっていくのかもしれないな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
見栄と虚栄とハッタリの世界。
数日前のある方との会話より。
仕事上のつきあいで、5,6年前からお知り合いになった方に六本木でクラブを経営されていたママさんがいる。その世界で40年近く生きてきた方だった。しかし昨年、地区の再開発で店をたたんでしまった。話しの中に出てくる「見栄と虚栄とハッタリ」というフレーズがあまりにも印象的だった。
私がお会いする時はいつも普段着で化粧もほとんどしていない。そのため決して派手には見えない。しかし、お店のお客さんの前では最高級の物を身につけている。それはお客さんに信用してもらうためでもあるという。
見るからに安っぽいものを身につければそれなりにしか評価してもらえないからだ。お客さんの中には、全身を眺めて今日のママの身に着けている宝石、腕時計などは○百万円だな、という人もいるそうだ。そして、車はベンツの最高級車に乗って通勤していた。
彼女によれば、見栄と虚栄とハッタリがなければやっていけない世界だと笑いながら語っていた。しかし、それも店が立地する場所によりけりだそうで、都心から離れたところでは、逆にお客さんより高級そうなものは身につけられないという。
また自宅を出る際も近所の目があるので、あまり高級品を身につけることは控えているそうだ。その世界でずっとやってきた方の話は説得力があって面白い。


//////////・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
落葉樹は四季を舞台にドラマを演じてみせる。
「パコマ」2010.2月号より。
先日地元のホームセンターに行った時に置いてあったフリーペーパーだった。上記はその中で、“柳生真吾・流 わくわくガーデニング”というページで目にしたフレーズだった。
この人の親父さんが役者だからというわけでもなだろうが、1本の落葉樹を役者にたとえているところが新鮮に思えた次第。
中にはこの寒空の下で花を満開に咲かせているロウバイなどもあるが、今ほとんどの落葉樹はすっかり冬の眠りについている。冬の太陽はその枝の隙間からたっぷりとその光を地面に落としてくれている。
3月になれば、木々は一斉に芽吹いてくる。そしてつぼみを作って花を咲かせる。初夏にはまぶしいばかりの新緑が木を多いつくす。夏には涼しい木陰を作ってくれ、実なども見られる。秋の紅葉も目を楽しませてくれる。そして、冬には裸木となった姿を見せる。
こんなしっかりしたサイクルを毎年繰り返しながらも、少しづつ成長していくのだ。樹木とくに落葉樹を見ているだけで季節感を感じられる。しかもそれらの名前を知っていればもっと楽しめるだろう。
そして、柳生さんは木を植えたり移植するのは冬が最適だとアドバイスしてくれる。なお、ここでのタイトルは“落葉樹が1本あると、幸せになれる!?”となっていたが、まさにその通りだとも思える。