ロマンスグレーに匹敵する熟語が女性のそれにない・・・

「トリーノ」冬号より。(2009.12.18発行)
今月初め地元の図書館に行った際に、受付に置いてあった初めて手にするフリーペーパーだった。タイトルは“Toriino”とありツルが10羽ほど飛んでいる日本画の表紙だった。
しかし、一体どんな情報が掲載されているのか解らなかった。裏をみると発行は「日本野鳥の会」となっていたので納得した次第。ページを開いてみると、確かにきれいな風景や野鳥の写真を見ることができた。
その中で、写真家の藤原新也氏が女性の写真とエッセイを寄せていた。そこでのタイトルは「歳をかさねるということ」となっていて、文章の前に3つのセンテンスからなる、詩があった。短いので転記してみたい。
・・・木に年輪があるように人にも年輪がある。人の年輪は自らが刻むもの。人に会うて、その年輪の美しさを見る。・・・
藤原さんは6年前、郷里の女性を撮った写真集『花音女』(はなおとめ)を出版していた。その表紙を飾ったMさんに6年ぶりに会う機会があったのだ。氏は、女性が歳をとることでより魅力的になるということは、男性に比べれば稀だと思っていたようだ。
そんなことからも、かつて少女の面影を残していたイメージとかけ離れているのではないかと想像していたらしい。しかし、実際に会ったMさんは、ふくよかさを身につけ年月相応の歳の重ね方をしてきれいになっていた。この誌面にはどちらの写真も掲載されていたが、まさにその通りだった。
このエッセイの最後のほうには次のように書かれていた。「人間いくつになっても歳相応の魅力がそこにはあるはずだ。それはそれぞれの年齢を自分らしく生きた者にこそ与えられるご褒美のようである」と。先ほどの短い詩はMさんに再会した時に感じた藤原氏の感想だったのだ。



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「聴くこと」は主に頭脳の仕事だ。耳ではない。
「仕事耳を鍛える」内田和俊著より。
このフレーズの後には次のように続いていた。「もし頭脳が聴くという活動に積極的に参加していなかったら、それは『聴く』ではなく、『聞こえる』と表現すべきだ。」
もうこれだけで、この本のテーマは述べられているような気もした。一般的には、聞いたつもりで十分だと思っていることが多い。しかし、それだけではすべてのメッセージのごく一部しか受け取っていなかったのだ。
言葉に耳を傾けるだけではなく、目の動き、表情の変化や声の調子にも注意と関心を向ける必要があった。そう考えると、「聴く能力」は一朝一夕では身につけられるものではなかった。結局努力なくしては、きっちりした聴く能力を磨くことは無理だったようだ。
ここではさらに突っ込んで、『聴く』と『聞く』について述べられていた。『聴く』は相手の真の要求(ニーズ)を的確に捉えられることができている状態。・・・言葉に表れない相手の真意を理解しているとき、となっていた。
また、『聞く』は、鼓膜は振動しているものの『聴く』には至っていない状態。・・・ただ聞こえてるだけ。相手の発する言葉を鵜呑みにしていることだった。
家庭内でも、適当に軽〜く聞き流していると、あとでトラブルが起こったり・・・(まあ、我が家のことですが)。

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私たちは伝える側になったとき、言葉に頼る傾向がある。

「仕事耳を鍛える」内田和俊著より。
ところが、受け取る側になったときは、言葉以外のメッセージの方が圧倒的に多かったのだ。ここで、筆者は「メラビアンの法則」というものを紹介していた。コミュニケーションはもともと「聴く」と「話す(伝える)」がセットになっている。伝達手段は、言葉+ボディランゲージ+ボイストーンがセットになっている。
ボディランゲージの中身は、身振り手ぶりの他に目、表情、動作、態度、仕草、雰囲気、服装、化粧まで含まれていたのだ。威圧感などもこれに入るのだろう。つまり、視覚による情報がメッセージ内容を左右までしてしまいそうだ。自信がる態度かどうかなども説得力を大きく左右してしまう。
ボイストーンとは、声の大小、高低、強弱、話すスピード、抑揚、リズム、またその人独特の「声の表情」でもあった。そこで、情報量を100とすれば、「メラビアンの法則」では、受け取る側としては言葉は7%、ボディランゲージは55%、ボイストーンは38%の情報量の割合だった。
こう見れば、言葉で伝えたつもりでも、実際にはまだまだ不足していることが分かる。たとえば、「怒っていない」と言葉やメールで伝えても実際に会って話してみなければ本当はよくわからないものだ。もしクレームなら電話ではらちが明かなくても、直接会って話すことで、その態度や声からも誠意も伝えやすいだろう。
こんなことからも、言葉に過信するのは考えものだとわかってくる。とにかく、言葉だけのやり取りでは誤解や行き違いが起こりやすいものだな。言ったつもりが、伝わってないこともしばしばだったり。

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