目前を駆け抜ける10秒のドラマ・・・

「メトロエイジ」(2009.12.27)1月号より。
地下鉄の駅で配られていたフリーペーパーの特集は「箱根駅伝」だった。年末年始のテレビは特番ばかりで飽きてくる。すでに12月に収録が終わっている番組を流しているものの多い。相変らすお笑い芸人が早朝から深夜の時間帯まで出ている。
しかし、新年の番組でも最も新鮮に観られるのが「箱根駅伝」ではないだろうか。膨大なトレーニングを積んできた選手たちの晴れ舞台が2日間にわたって続く。一度観始めるとその場を外すのがもったいなくなるくらいだ。
関東にの大学による駅伝だが、全国の高校生があこがれている。20チーム(19大学+関東学連選抜)、200人のランナーだけが走ることができる。出場大学の選手は大学名のタスキをかけて走る。この駅伝で知名度が一気に上がる学校もある。
時にはそんな学校があったっけ、と思うこともある。もちろんその所在地さえ知らない。しかし、駅伝での活躍を通して関心が出てきたりもするものだ。
さて、フレーズは司会者、アナウンサーとして活躍する徳光和夫さんの感じていることだった。徳光さんの自宅はランナーが走る8区の茅ケ崎にあった。そこで、毎年のように自宅から自転車で走って、沿道観戦している。そして、選手一人一人に向って応援の声をかけているようだ。
あっという間に走り去ってしまう。その時間はわずか10秒間だけだが胸が熱くなるという。やはり生で観戦するのは違うようだ。観戦を終えて帰宅する時、一年分の元気をもらったように、いつも晴れ晴れとした気分になると語っている。
やはり箱根駅伝には特別なものがあるようだな。前評判と実際の違い・・・今年のドラマ・・・があるか。

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自分ですいた紙で1万通以上の投書をくださっている。
朝日新聞」(別刷り)2010.1.1より。
元旦の別刷り版には、ラジオ特捜隊として“長寿番組のヒケツと魅力”というタイトルで特集記事があった。インタビューされているのは、小沢昭一(80)さんと永六輔(76)さんだった。
ともにお化け長寿番組のパーソナリティーで、TBS系で「小沢昭一の小沢昭一的こころ」(37年間)と「永六輔の誰かとどこかで」(43年間)だった。
とちらも、何度か聞いたことはある。インタビューでは「長寿の要因は?」と訊いている。そのなかで、永さんは、「遠藤さん(番組での相手)、手紙、スポンサー」の3つのおかげだと答えている。
そのなかで、驚いたのは、山梨に住む、ある紙すきの職人さんは、自分ですいた紙で1万通以上もの投書をくださっているそうだ。もし、はがきなら50万円分、手紙なら80万円にものぼる額になる。
すごいファンがいるものだ。このような熱狂的とも思えるファンがいるのは強い。やはり永さんの魅力があるからなのだろう。
また、小沢さんは番組に関わっているプロデューサーが初めからずっと同じで、会社を定年退職してもまだ関連会社で担当しているからだという。気心が知れているからやりやすいようだ。
こう訊くとこれはという絶対的な強い味方がいることが長寿番組の要因であることがわかる。何事も継続するには、一人の力だけではなく、それを支える人がいるものだと気づかされる。


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『面白くてためにならない…』
朝日新聞」(別刷り)2010.1.1より。
(前日のつづき)
質問が、「テレビ・ネットとの違いは?」という部分で、小沢(昭一)さんが語っていたことだった。小沢さんは、テレビもネットもどうとも思っていない、ただ流れに身をまかせるだけだと語っている。
ラジオでは永(六輔)さんも、小沢さんも実に独特の庶民的な語り口で親しみ感がある。小沢さんは番組では教訓的なことは一切言わないことにしているようだ。そういう基本があってこそ面白い番組になるのだろう。
そして、昔、芸能座をやっている時のキャッチフレーズが『面白くてためにならない芸能座』だったという。今の番組も基本的に同じような気持ちでやっているようだ。それが、長く続いているヒケツだろう。
永さんは、小沢さんの4年後輩に当たるので、“僕の先生”だと思っているようだ。しかし、小沢さんからは、「永さんは目配りがすごい。時代感覚、アイデア、斬新さ。尊敬してますよ」という言葉が漏れる。
実際声の張りは、若々しくて、豊富な教養を感じさせてくれる。世の中を見る目は厳しいのだろう。とうていとても並みの人間にはついていけないほどだ。