「伝えたいことを整理する」という近道。

「トップ・プロデューサーの仕事術」梶山寿子著より。
これは、気鋭のアートディレクター・佐藤可士和さんについて語られていた中にあったフレーズ。若いころ作品を説明するには言葉はいらないと考えていたようだ。作品がすべてを語ってくれると信じていたものの、実際周囲には理解してもらえなかったのだ。
そこで、佐藤さんは人にモノを伝えるのは大変なことだと気づいたという。社内で難しいものは当然ながら、クライアントの宣伝部、経営者のハードルを越えることは不可能に近かった。
なぜこのデザインにしたのかという制作意図を論理的に説明しようとしてもうまくいかなかったという。それが説明できるように5年間訓練した後、ようやくスキルが上がったのだ。そして頭の中を整理するとすべてが明快に説明できるようになっていた。
結果的に伝えたいことが整理されると、作品にも説得力が加わったという。まずは、本質を捉えて言語化することができれば、年齢や立場などを超えて相手に理解してもらえる。これが意外なた近道だったようだ。

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グダグダと説明しなきゃ相手に伝わらないような企画は「商品」にならない。
「トップ・プロデューサーの仕事術」梶山寿子著より。
テレビ局の強みを活かす映画づくりの先駆者といわれる亀山千広さんの言葉だった。彼は人気テレビドラマを映画化し、大々的にプロモーションをかけるという方法をとったのだ。それは『踊る大捜査線」のシリーズで確立していた。
亀山さんの分析では、ヒットの鍵は親しみやすさにあったようだ。しかも、シネコンが普及した現在では、映画はお手軽なエンターテイメントとなっている。映画館の顧客は肩の凝らない娯楽作品を求めるようになっている。
そこで、テレビで高視聴率を上げたテレビドラマは間違いなく映画でも当たる。すでに、いま公開中の映画でも同様の視点のものもある。また、企画では30文字程度で語れるようなわかりやすいコンセプトを考えることがプロデューサーの役目だと考えている。
踊る大捜査線』のコンセプトは、「サラリーマン刑事(デカ)」だったという。警察官もサラリーマン、公務員で、刑事ドラマに出てくるようなヒーローではない、という発想だったのだ。
いずれにしても、企画は短くてきっちりとその主旨が伝わればいいのだな。そのメッセージがしっかりしたものは「商品」になりえるということだろうな。

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どれだけ柔らかい心と筋肉を持っているかが大事・・・

ホームページ「どらく」2009.12.29より。
甲斐よしひろのインタビュー記事の中で、「いつまでもカッコいいのはなぜ?」と訊かれたときの返答だった。はじめは「えー!」と笑っている。
そして、「歌うというのは体全体を鳴らすこと」だと話す。彼は20代後半から毎日プールで5、6キロ泳いで鍛えているという。それは鋼のような肉体を作るためではなく、柔らかい筋肉を作るためだった。
柔らかい心の入れ物を作って柔らかい感性を育みたいと思ってきたと語る。実にユニークな表現と考え方だと思った次第。50代後半の現在は、そのおかげでリラックスできているようだ。
つまり実際に体の柔軟性を養うために毎日プールで泳ぎ続け、それを入れ物として考え、様々な創作活動をしていきたいということにも受け取れる。やはりアーティストは面白いことを考えるものだな。