長く現役でいられる幸せな職業・・・

「日経夕刊」2009.12.18付けより。
「学びのふるさと」というコラムのなかで、谷川浩司さん(プロ棋士)が語っていたこと。谷川さんは現在47歳で、プロになったのは14歳の時だった。21歳で史上最年少名人になっている。
その21歳で名人位獲得に挑戦した際、3連勝のあと2連敗していた。その時30歳以上先輩からのアドバイスがあった。それは「谷川、弱かったら負けたらいいんや」というものだった。その場では理解できなかったが後に、勝ちを意識しすぎている、無駄が気負いがあるということだと気づいたという。
平常心を保つ大切さを教えられ、第6局に集中して臨め勝利し、名人位を獲得できたのだった。若いが将棋歴は40年以上と長い。そして、長く現役でいられる職業だと実感しているようだ。
やや関係ないが、今年の初夏に背中の筋を痛めて近所の整骨院に通った際に、その先生は「この仕事は会社員と違って定年がないので、辞める区切りが見つからない」と話していたことを思い出した。多くの勤め人には、否応なしに定年がやってきて、現役を卒業せざるを得ない。
そして、第二、第三の人生を歩むことになる。しかし、自営業や自由業というわれる職業の方々は、状況によっては、健康が続く限り現役時代は長い。谷川さんも勝負師をして生きるのは厳しいだろうが、好きである限りは幸せなことだな。

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研究の「引き出し」を多く持ち今も常に新しい気持ちで上達を目指す・・・

「日経夕刊」2009.12.18付けより。
(前日のつづき)
谷川さんは、現役を長く続けるためには基本的に何が必要だろうかと経験から語っていた。勝負師として、新鮮な気持ちを保つ努力を怠ると、惰性で勝負に臨んでしまうと語っている。
もしこれを一般人に当てはめるなら、「惰性で仕事に出かけてしまう」となるだろう。この部分を目にして、なんだかちょっと反省させられてしまう。
惰性とは、マンネリ化した気持ちだろう。上記のフレーズからは、常に自分でテーマを見つけて、仕事に前向きに取り組むべきだととらえられる。
「研究の引き出し」とは、かなり問題意識を持たないと感じ取るとことは出来そうもない。やはり個人的な経験からも、仕事は人から与えられる前に、自分で作ってこそ前向きに面白くできるのだろうな。
外から見て面白そうに見える仕事でも、はたして自分にその能力があるかどうかが問題だろう。また、仕事を面白くするも、つまらなくもするのも自分でしかない。上達はさらにその先にあるものだろうな。

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神様を裏切る勇気が、人生をさらに豊かにしてくれる気がしてならない。

ホームページ「どらく」2009.12.17より。
実に大胆な発想の持主は小山薫堂さんだった。今最も乗っている一人だろう。映画「おくりびと」の脚本では多くの映画賞を受賞している。さらに大学教授まで勤めるが、元々は放送作家だった。最近は再び映画、「スノープリンス」の脚本も担当している。
以前あるブランドのプロモーションのような仕事もしていた記事を雑誌で読んだこともある。いつも様々なエンターテイメントに挑戦しているようだ。その発想の原点が上記フレーズだった。
それを“神様にフェイントをかける”と、一言で表現していた。実に面白い。要するに当たり前(常識と思われること)をどうやって裏切るかということらしい。
当然ながら、勇気がいることだ。普通なら神様に逆らったら大変なことになってしまうだろうと、考えて大胆な行動はとれないもの。自分の責任のとれる範囲内ならそれもあり、と薫堂氏は考えて実行してきたらしい。
大きなことは無理でも、もしそれが小さなことならお気軽にできると提案している。例えば、レストランで嫌いだからといつもは注文しないものを頼んでみたらどうなるかなど。意外なことが日常に風穴を開けるきっかけになるはずだという。
要するに日常にちょっとした冒険を取り入れてみよう、そうすれば何かちがったものが見えてくるかも、という提案だろうな。逆にいえば、当たり前な発想からは、何も新しいものは生まれないということになるか。