経験からくる知恵こそが「老人力」・・・

朝日新聞」2009.10.20付けより。
スポーツ欄のコラム“EYE”で編集委員の西村欣也氏が書いていることだった。ここでは、寄せ集め弱小球団と言われてきた楽天を、クライマックスシリーズ第二ステージまで導いた野村監督について述べられていた。
せっかく、ここまで強い球団に作り上げてきたが、契約の期限切れで今年限りとなった野村監督の無念さについて、「人を遺すために、せめてあと一年監督を続けたい」というのが老将の願いだったと表現している。
試合後のボヤキは名物のようになっていた。毎回テレビで放映される野村監督のボヤキがらみのコメントは楽しみでもあった。選手について、「三流は無視、二流は称賛、一流は非難」という野村語録もあるようだ。
選手個人個人はこれを実感しながら、練習に試合にのぞんでいるのだろう。つまりいろいろとボヤキのなかで厳しく言われることこそ一流選手の証明なのだろう。そのボヤキが選手を育てていったともいえそうだ。
今年のプロ野球では、むしろ所属球団の選手の活躍がかすんでしまうほど最も存在感があった監督ではないだろうか。「老人力」はすっかり忘れていた赤瀬川原平さんの著書の題名だが、ここでは“経験からくる知恵”という実に前向きな考え方だなと思った次第。