自分の能力を発揮しやすい場所に身を置こうとする・・・

「凡人が一流になるルール」齋藤孝著より。
これは渋沢栄一ルールの部分にあったフレーズだった。日本資本主義の父と言われる渋沢栄一(1840〜1931)は、生涯で500社余りの企業と、600余りの社会福祉関係事業の設立にかかわっていた。
一例として、第一国立銀行(現・みずほ銀行)、東京海上火災保険東京ガス東洋紡績サッポロビールキリンビール、帝国ホテル、東京証券取引所東京商工会議所・・・。
そんなところから、齋藤氏はお札の図柄にもっとも相応しい人物だと思っているようだ。そう言われれば、いままで文学者などが何度かお札の図柄になっているが、渋沢は忘れられていたようだ。
渋沢は大蔵省で目覚ましい活躍をしたが、自身はむしろ実業界が向いていると考えていたのだ。そこで、ここでのルールは「自分の得意な分野で勝負する」となっていた。
仕事でもっとも自分が力を発揮できるのは、自分が得意なやり方で仕事をしている時だろう。だから、必ずしも人が作ったマニュアル通りのやり方がベストとは限らない。まずは自分の長所、短所を見極めることかな。
マニュアルにはむしろ一般的なやり方、無難なやり方しか書かれていないものだ。マニュアルをはるかに超えて、独自のやり方ができたときに、本来の仕事の能力が発揮できるのではないだろうか。

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実は座右の書を持つことは、仕事をするうえでも直接的に役に立つ。
「凡人が一流になるルール」齋藤孝著より。

齋藤氏はこの項目(=ルールとしては「座右の書を持つ」)の最初のセンテンスで「みなさんは、普段から何度も読み返すお気に入りの本を持っているだろうか?」と投げかけている。
もちろんこの場合、本なら何でもいいというわけでもないだろう。繰り返し読むに耐えられるものである必要がありそうだ。でも、一生つきあえる本はどのようにして出合えるのだろうか・・・
個人的に今すぐに思いつくものとしては、「道は開ける」(デール・カーネギー著)だろうか。もう30年以上前から書棚にあって、部分的に何度か読み返していた一冊だった。これは世界的なロングセラーの本でもあった。
渋沢栄一にとって、座右の書は「論語」だった。彼は「論語を」自分の血肉になるレベルまで読みこんでいたから、いろいろな判断をする際に大いに役立ったようだ。
しっかりとした判断基準ができていればこそ、自信をもって仕事を進めることができ、またスピーディーに遂行することもできそうだ。いざという時に役立ちそうな、心のよりどころになる一冊は持ちたいものだな。


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何かしら新しいことを試すだけで、仕事はグンと楽しくなる。

「凡人が一流になるルール」齋藤孝著より。
これは豊田佐吉ルールのなかで目にしたワンフレーズだった。トヨタ自動車は日本で生まれ世界的に有名になった会社の一つだろう。その源流が豊田佐吉だった。トヨタ自動車の創業者は息子の喜一郎だが、そもそものルーツは佐吉だった。
ここでのルールとしては「発明家魂を持つ」となっていたが、一般人には発明という言葉はハードルが高すぎる。豊田佐吉は自身のことを事業家ではなく、発明家だと考えていたようだ。
筆者は、どんな職業であっても、心のどこかに「発明家」としての志を持つことを勧めている。新しい製品を作ることだけを考えずに、今までなかった方法、概念、考え方なども発明と考えている。
営業マンだったら新しい売り方を考えてもいいのだ。確かに人から教えられたままのやり方では面白みもないだろう。むしろ退屈さを覚えるかもしれない。
つまり、常に何か改善や創意工夫を考えることはどんな仕事をしていても必要なのだろう。そんな気持ちや発想の柔軟性の大切さをここでは述べていた。
豊田佐吉も、自動織機を発明したが、「発明家」というより「改良家」でもあった。今している仕事にちょっとした改良、工夫を加えることで自分のやる気も違ってくる・・・かも。

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手帳に課題をメモしておく習慣。

「凡人が一流になるルール」齋藤孝著より。

筆者の齋藤氏は、学び上手になるためには、重要なコツがあるという。それは普段から、自分が抱えている課題についてとことん考えることだった。つまり問題意識を忘れないことで、それを解くための重要なヒントをつかめるということのようだ。
豊田佐吉は、ある装置のアイデアにずっと頭を悩ませていたが、アメリカで自動織機が発明されてそれを現地視察した大学教授の講演会を聴いているうちにヒントとなるヒラメキが宿ったのだった。
五日間悩み続けて、頭の中で練りに練って考えていたからこそ、アイデアがスパークしたのだろう。でも、これは豊田佐吉だからできたことかもしれない。
一般的なビジネスマンなら、問題を考え抜こうとしている間に次々と問題が発生してきてしまうかもしれない。そこで、齋藤氏は“手帳に課題をメモしておくこと”を勧めている。これは自身の経験から効果があるらしい。
そうすれば、手帳を見るたびにその課題のことを思い出すからいいのだという。するといろいろな情報に触れている間に、ヒントがつかめるようだ。でも、私は手帳など普段から持ったことはなかった・・・な。
ここでのルールは「悩むべき問題を常に持ち、熟慮断行する」だった。つまり学びを得るまでは粘り強く考え続け、確信を得たら、脇目もふらずに即行動する。これが佐吉のスタイルだったのだ。