代理を糸口にして、自分の仕事をステップアップ・・・

「凡人が一流になるルール」斎藤孝著より。
ここではアンドリュー・カーネギーを取り上げていた。彼は1881年46歳でアメリカ最大の鉄鋼会社を設立して、「世界の鉄鋼王」となっていた。
ニューヨーク市にあるカーネギー・ホールは世界で最も有名なコンサートホールの一つでもある。しかし彼はスコットランドの貧困家庭の出身だった。そのためアメリカに移っても学校に通えないほどだったのだ。
工場での下働きなどで苦労を重ねたようだ。その後電信局に電報配達夫として雇われているうちに、ある時通信技手の代役をこなすことができたのだ。それまで練習を重ねていたからこそ、できた代理の仕事だった。筆者はこれを「代理力」と呼んでいる。
そんなチャンスをつかめるかどうかは普段からの準備に左右される。代理をこなせるだけの力をつけておくことは、その後の仕事を発展させるチャンスだったのだ。
つまりここでのカーネギー・ルールは「代理のチャンスを活かす」だった。世界的に大きい仕事をなす人は普段からの心掛けが違うなと思わせられる。

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喜んでタダ働きする。
「凡人が一流になるルール」斎藤孝著より。
これもカーネギー・ルールの一つだった。誰でも、タダ働きとわかっていたら躊躇してしまうもではないだろうか。心の中で、それが何のためになるのだろう、という疑問が湧いてきていまう。
カーネギーは出世には貪欲でも、けっして金の亡者ではなかったようだ。ワンランク上の仕事ができることのほうが名誉と感じていた。「カーネギー自伝」では「俸給がなんだといわれるんですか。そんなものはいりません。私はその地位が欲しいんです」とある。
そして、実際お金にならないことを積極的に買って出たという。結果的にそのほうが収入に結びついたといえそうだ。もしこれが、営業マンだったら、仕事をスムーズに運ぶためには休日も気にせず、また自腹を切ってでも顧客に満足感を与えるということだろうか。
サラリーマンだったら頼まれもしない雑用をどれだけやれるだろうか。自分の仕事の範囲をこえて企画提案などできるだろうか。よほど仕事が好きでなければそんな気にならないだろうなぁ・・・


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最後のドルをつぎ込む対象はなんだろうか。

「凡人が一流になるルール」斎藤孝著より。
カーネギーのルールでは「時間、労力、財力を、一点に集中させる」とあった。つまりこの3つを分散させてしまうと、事業をなす時にはうまくいかないということだった。つまり本業に集中することが大事だと言いたかったようだ。
ここに面白い比喩があった。「レンズで太陽光線を集めると、一気に熱を帯びて燃え上がる。これと同じように、自分の資本のすべてを一点に注げば、焦点化作用によって質的変化が起きて、資本投入の効果が何倍にもなって膨らむ」、とあった。
“最後のドル”までつぎ込むとは、ギリギリのところまで資金を投入せよということらしい。斎藤氏は自身を振り返って、学生時代の資本投入は主に本だったという。エンゲル係数ではなくブック係数が高くて苦労したようだ。いまでは十分それを回収できただろう。
普段なかなか、時間、労働、お金の3つを意識して考えたことなどなかったな。もう遅いだろうが、若いころからの心掛けが大事と思わせられるな・・・

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本来、情報と知識は区別すべきもの。

「凡人が一流になるルール」斎藤孝著より。
(前日のつづき)
成功してからのカーネギーは、巨万の富を溜めこむことはせず、慈善活動に精を出していた。その一つとして図書館の建設には積極的だった。ニューヨークには68の公共図書館の分館を作っていた。
彼は「自分の人生は書物を読むことで開けた」と感じていたから、読書のチャンスを若い人たちに与えるために図書館を建てたのだった。アメリカに移住したときは家計を助けるために働き、学校に通えず、本も買えなかった。しかしある時から図書館に通うことができ、その読書から未来が開けたのだろう。
普段私は情報と知識をとくに区別して考えたことはなかった。齋藤氏によると、情報は数日、数週間で鮮度が落ちて価値がなくなってしまうという。
確かに新聞記事やテレビのニュースなどはつぎつぎに新しい情報が入ってくると前の情報は無用になってしまう。単に人よりちょっとだけ早く知っている情報なんて大した価値はないのだろうな。
ところが、知識は時が経っても簡単には古びたりはしないものだった。一度身に付けた知識はその後も再利用できる。情報も知識もどちらも大事なものだが、人間力をより高めてくれるのは知識の方だったのだ。
ここでのカーネギールールは「読書から得た知識を重視する」というものだった。振り返ってみれば、最近はインタネットで情報をチェックする時間のほうが長くて、じっくりと本を読む時間は少なかったかも。

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