業界には「困ったときの梶頼み」という言葉がある。

「英雄の死」山口瞳著より。
もうこの言葉は過去のことなので正確には「・・・という言葉があった」となるだろう。梶とは梶山季之のことで、筆者の山口氏もすでに過去の人となってしまった。この一冊を読んで二人の作家は実に長年にわたって仲が良かったことがわかった。
梶山季之が亡くなったのはもう30年以上前のことで、私が氏の企業小説を読んだのはもう30年ほど前になる。亡くなった時は45歳だったから、まだかなり若かったことにも気づかされる。当時はすごい流行作家で売れまくっていた印象がある。(現在40代以下の人たちには山口瞳梶山季之も馴染みがないだろうが。)
ある雑誌の柱になる人気作家が急病で二百五十枚ぐらいの穴があきそうになったときがあるらしい。すると困った編集者は梶山氏のところに執筆依頼に行ったらしい。そんなときわずか2,3日で二百五十枚の小説を書いてしまうのが梶山李之だったのだ。
急場を救えるのはすごいことだ。文章は粗雑だったらしいが、内容は面白かったという。そして評判になって雑誌は売り切れてしまったようだ。それだけのエネルギーをもった作家だったということだろう。今でもそんな作家はりのだろうか。
参考までに、ウィキペディアには“十数年の作家活動であったが作品数は多く、死後も人気は衰えずに12年後までに120冊の文庫が出版され、1300万部の売り上げをあげた。サービス精神の旺盛な作家という評に加え、編集者や周囲の人々への気配りについてもしばしば語られている。”ともあった。

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予防医学は、日本では戦後、学校教育の体育という形で取り入れられた・・・
「訊く」中島らも著より。
らもさんが対談している相手は気功の達人といわれる李さんという人で、この人の言ったことが上記フレーズだった。学生時代、体育は単に教科の一つとしてのイメージしかなかったが、予防医学とはちょっと意外だった。
これが体育の本筋だったのだ。そして、ラジオ体操はもともとアメリカの保険会社が広めたそうだ。というのも、会社にとっては保険に入ってもらっても、すぐに病気になられたら困るからだった。つまり保険料を支払わなねばならなくなってしまうということだろう。
しかし、ラジオ体操を始めたら、病気になる人が減って、保険会社は儲かるようになったという。本当だろうか。ウソのようでもあるが、私自身ラジオ体操を継続していると意外にも仕事を休むような病気にはなっていないことにも気づく・・・
別に毎日休みなしにきっちりラジオ体操をしているわけではないが、朝起きてから体を動かさないとなんとなくもの足りなくなっている。ここには、「健康の基本は日常生活と心の持ちようだ」とあったが、体によさそうな何かを継続しているという気持ちも意外に大事かもしれないなぁ〜。

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「世の中のブーム」は「インターネット→雑誌→テレビ」という順番で広がっていく・・・
「アスパラ NEXT-AGE」2009.秋号より。

これは予備校のカリスマ講師といわれる細野真宏の「マネー思考力」養成講座のなかのワンフレーズだった。まず、ある情報がインターネットで広がると、その盛り上がりを受けて雑誌が記事にする。さらにその後テレビが特集を組むという流れらしい。
そう言われてみれば、ネットの情報スピードはテレビよりもかなり早い。ネットで大きく話題になったホームページやブログの情報はしばしば雑誌やフリーペーパーの記事になっている。その評判を元にテレビで特集すれば当然ながら関心がある人が多いに違いない。
インターネット書店のアマゾンでは1時間ごとにベストセラーランキングが更新されている。やはりここでのランキング上位に長期間とどまっているという情報は、雑誌の記事にもなりやすいことだろう。またそれをテレビ放映してもそこそこの視聴率は稼げるのだろうな。
今ではブームの発端はインターネットからスタートしているんだなぁ。かつて“ブログの女王”などと呼ばれた何人かのタレントたちは、その後もずっとそんな肩書がつきまとっているようでもあるな。これもネットの力とも言えそうだな。