「気が変わった」という理由の返品・・・

「サービスを極めよう」中谷彰宏著より。
日本の会社ではこんな理由ではふつう返品を受け付けたりはしないだろうと思われる。むしろ、ふざけるなということになるだろう。さらに、商品やサービスをキャンセルする場合に、あれこれと理由を述べるのは気が引けるものだ。
たとえ、気が変わって欲しくなくなったとしても、たまたま同じものが家にあったなどと考えねばならなくなる。それも実に面倒なことだ。しかし、この理由の項目がいくつかすでに印刷されていて、あとはただチェックするだけなら、顧客の立場からは気が楽になる。
アメリカはもともと国が広いためか通販が盛んらしい。ある通販会社では返品の理由のチェック欄の一番最初に「気が変わった」というのがきていたという。つまり選択肢の一番上にこの理由を持ってきているところにサービス精神があるということだった。
買ったあとで、気が変わることはあるもの、という前提にたっているのだろう。お客の立場からも、気持よく返品を受け入れてくれたら、次回は必ずこの店(会社)から買おうという気持ちになることは確かだな。
むしろ迷っているとき無理やり納得させようとしたり、強制されたりすると、よけいにその店や会社が嫌になってしまうだろうな。気持ちよくキャンセルを受け取ってくれないと、心の中ではもう二度とこんな店には・・・などと思うものかも。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パンフレットは、あくまでもプロセス。
「サービスを極めよう」中谷彰宏著より。
サービスということを考えた場合、いくら立派なパンフレットを渡されたからといって、それで十分とは思えない。いったいそのどこがポイントなのかが分かりにくい。
ところが、もしポストイット(付箋)などにひと言、お客さんが求めている情報が書かれていれば、読む側は気持ちが楽になる。
私自身、いつも一見完璧なパンフレットこそ不完全なものだなといつも感じている。むしろ、人の手書きのメモがつけられていることで完璧に近くなると考えている。
もし仮に、3つの店から同じ商品、サービスのパンフレットが届いたなら、一番最初に中身を見てみたい(パンフを開けたい)のは、ポストイットに手書きのひと言があるものだろう。
またそこまで気配りがあれば、きっとその後もいいサービスだと想像してしまう。印刷されただけの、キレイなパンフだけでは、その気にはならない。
その人に向けたメッセージがあれば、他よりも優位に立てるかも。要するにそれがサービス精神かな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「情報は無料で公開せよ。利益をうるのは別の方法で」
アメリカ型成功者の物語」野口悠紀雄著より。
この本のサブタイトルには“ゴールドラッシュとシリコンバレー”とつけられていた。つまり筆者は150年前に起こったゴールドラッシュの状況での、ビジネスモデルと今のIT革命が似通っていると指摘していたのだ。
カリフォルニアで起きたゴールドラッシュには、多くの人々が金を堀りに詰めかけた。その一方で、金を掘るための道具を買い占めて独占販売して成功した人もいたのだ。
また、誰もが知っているジーンズもそんな多くの人の要求をかなえる丈夫なズボンを供給するということから生まれてきたのだった。当時その製造特許を共同でとった人物が、リーバイ・ストラウスだった。
ということで、金を掘る人が必要なものを供給して成功していたのだ。
インターネットでは情報を有料にしてもなかなか成功しない。むしろヤフーやグーグルなどの検索エンジンのように情報サービスを無料にして、その広告費で費用を回収している。これは民放テレビがCM収入で番組を作っているのと同じことだった。
貴重な情報の周辺にはいろいろとビジネスチャンスがあるものだなぁ。でも、大多数はそれをどう実現すればいいかがわからないことも事実だろうな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつの時代においても、大きな変化が生じたとき、新しい需要が生まれる。
アメリカ型成功者の物語」野口悠紀雄著より。
(前日のつづき)
カリフォルニアでゴールドラッシュが起きたとき、モノばかりでなく輸送、通信も大きなビジネスになっていた。ウェルズ・ファーゴという会社では、輸送、通信手段として当時それまでなかった馬車便によるサービスを提供し始めたのだった。
金を採掘して所得を得た人々は、故郷に送金するための手段がなかったので、このサービスは発展したようだった。1869年に大陸横断鉄道が完成してからは、それほどビジネス順調ではなかったようだが、鉄道がない場所への駅馬車便サービスは必要だったのだ。
その後この会社は銀行部門だけが残って、ウェルズ・ファーゴ銀行となって残っている。アメリカ有数の銀行で、全米銀行中で時価総額で1位、資産規模で4位、支店数3200、従業員数15万9800人に及ぶという。
時代の変化を読んで馬車便から金融にビジネスモデルを変えて、生き延びているのはすごい。
現代はITという変化の真っただ中といってもいいだろう。無数のビジネスによって、私たちの生活も大いに便利になってきている。20年前までは、ポケットに入るほど小さくて軽い電話で話ながら歩くなどは考えられなかったし。
今後もっと便利で快適なサービスやモノが開発されるのでしょうね。そのスピードは毎年加速化されているようにも思えてくる。需要は今後の新製品や情報が作っていくといったほうがいいのかもしれないな。