「コミュニケーションの秘訣は質問力にあり」

「質問力」齋藤孝著より。
実はこの本は約2年半ほど前に買って読んでいたが、それを忘れてまた衝動買いしてしまったものだ。読み進むうちにそれに気がついたほどだった。そんなことはしばしばあるが。
しかし、その時には気がつかなかったこと(ほとんど忘れていたかも)が、あることにも気付いたのだ。この本のメッセージは上記のフレーズに要約されている。ちゃんとした質問さえできれば、コミュニケーションはほとんど大丈夫だという。
ということは、あまりにもつまらない質問をしてしまうことは、コミュニケーションがうまくいかない元だとも言えそうだ。今まで私たちは学校時代を通じて答える方ばかりを問われてきたようだ。試験は常に答えが評価されるし。
しかし、実際は問題を作る方が頭を使うとも言えそうだ。齋藤氏はその問題を作る側に立ってしまえば、テストはあっけないほど簡単に解けてしまうと、自身の経験から語っていた。
それはなぜそういう問題が出題されるのかがわかるからだという。するとほぼ間違いなくなったという。実際に設問を作る側に回るにはかなりのレベルが要求されることだろう。
話はややそれてしまったが、人と対話する場合も質問の仕方ですぐれた人から面白い話を引き出すことができるということだった。質問も工夫次第だとも思えてくる。その繰り返しで人も成長していくのだろう。

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「自信をもって扱える道具をひとつあげて下さい」

「質問力」齋藤孝著より。
上記は一つのすぐれた質問の例としてあげられていた。これは詩人の『谷川俊太郎の33の質問』という本からのものだった。谷川氏は、それぞれの世界で一流と言われる人たちに33のバリエーションの質問をぶつけていくという。
その中でも、筆者はこの質問が素晴らしいと感心していたものだった。多くの人は、こんなことは今までほとんど考えたことがなかったかもしれない。この具体的な質問は人にいろいろなことを想像させるからだった。
この質問がすぐれているのは、その人のことがわかるからだった。つまり何に今までエネルギーを注いできたかもわかってしまう。
齋藤氏自身は次のようなことを頭のなかをめぐっていた。テニスを長くやってきたので、テニスラケット?また読書を中心に日本語の練習をしてきたから日本語?三色ボールペンも自信を持って扱える。などと具体的に考えざるをえない。
で、自分はどうだろうかと振り返ってみる。いい加減な仕事しかできなから、仕事をサボることだろうか。(それは道具ではなかったか。)また、手作り一筆箋は約20年前から作ってきたから、用紙を切るカッターだろうか。
すぐれた質問を並べられるのは、それだけの実力がある証拠だろう。筆者は、谷川さんは「質問力」のプロフェッショナルだという。それは対談した時に、どんな球を投げても取ってくれるし、打ち返してくれたからだった。当然ながらコミュニケーションの達人だとも言えそうだな。

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質問は思いつくものではなく、練り上げるものと思うのが上達の近道・・・

「質問力」齋藤孝著より。

つまりそれはある程度内容のあるコミュニケーションを図ろうとする場合のことだろう。思いつきだけの質問には、それなりの答えしか期待できないという意味だろう。しかし、よく練り上げられた質問なら奥の深い対話ができそうだ。
その一つのアンケートの例があった。それはiモードが登場したとき、TSUTAYAの小城さんという人の話からだった。「わからないことは、お客様に聞け」というのが徹底されていたという。そこで市場調査での質問の中に「いまあなたはどこにいますか?」というアンケートを入れたのだった。
しかも、それは金曜日の昼間に30分以内の回答者には特典があるという条件だった。すると2万通の送信に対して2000通の返信があり、リスポンスの高さに驚いたという。それで、過半数の人が学校か職場にいて、そこからケータイを操作してアンケートに答えてくれたことがわかったという。つまりiモードはとんでもないメディアだということがわかったのだった。
そして、TUTAYAはいち早く、iモードを利用した集中戦略をとって、成功をおさめたという。一見簡単に見えてもよく練られた質問は、その後の企業の業績さえも左右するという一例だろうな。

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ほとんどの台湾人は、日本を大きなデパートと考えているらしい。
「衝動買い日記」鹿島茂著より。
この本は以前読みかけたままになっていたので、また途中から読み始めてみたら結構面白い。筆者の経験と知識が満載している。ここでのタイトルは「パラオの切手」だったが、メインはテーマは筆者の大好きなお土産だった。
フレーズでは台湾の人が日本に来た時に大量にお土産を買って帰るのを目にした鹿島氏が感じたことだった。電気製品、ブランド品、桃の箱詰め(台湾人にとっては縁起がいい食べ物)まで幅広かったらしい。
別に台湾人だけでなく日本人も自分のために買うお土産大好き人間だろう。特に円高になってからは韓国にどっと押し寄せて買いまくっている姿も報道されていたし。これは旅先のお土産というよりまさに買い物ツアーというべきだろうな。
さて、筆者がパラオに行った時にはお土産に買うものがほとんど見つからなかったという。パラオは世界中でなにかイベントがあると自分たちには関係なくても発行して、世界のマニアから外貨を稼いでいる、とガイドから説明されたのだ。
そこで、パラオは切手王国だと教えられ、昔発行された切手を買うことにしたのだ。そして、数十年前に発行された切手を12枚ほど買うことにして、額面で3ドル12セントのはずが、レジではその10倍以上の価格であることに驚いたという。
記念切手でプレミアつきだということを見逃していたのだ。いったんは得したと思ったものの自分を納得させるのは大変だったことだろう・・・な。安いと思ってレジに持って行ってから意外に高かったということは確かに経験はあるなぁ〜
蛇足
お土産は、フランス語でスーヴェニール(souvenir)となって、英語でも綴りは同じでスーヴェニアと発音している。もともとはフランス語から来たものだ。原義は「思い出」で、転じて旅行した思い出の品ということになった。旅行をしたら、お土産を買いたくなるのは、世界共通なことだとも言えそうだ。ビジネスで海外へ出かけてもちゃんとお土産は買ってきたりすることが多いだろう。自分や身近な人にも。

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自分用の記念のお土産というものに歯止めがきかないたち・・・
「衝動買い日記」鹿島茂著より。
こんな人は筆者の鹿島さんだけではないだろう。そんな人にとって、かなり前から困ったものが出現してきたのだ。それはミュージアム・グッズだった。
かつては、美術館や博物館はそれほど衝動買いを誘う場所ではなかったのだ。せいぜい、カタログや絵ハガキ、ポスター、しおりなどがメインだった。ところが、その後展示品や作者にまつわる膨大なグッズが出口のところに並ぶようになったのだ。
ネクタイ、スカーフ、Tシャツ、ブローチ、コーヒーカップ、時計、DVD、造花、手帳さらにこの数年では様々なデザインのケータイストラップが目につく。これらは美術館だけでなく一時的に1週間から2週間程度デパートで模様される展覧会でも同じようなものだ。
つまり一言でいえば、便乗商法だろう。とくにある決まった有名人の展覧会なら、その人関連の著書が出口のところに山積みになって販売されている。またその人が登場する映画やDVDも当然並ぶことになる。そして、展覧会を見た余韻で買っていくのだ。
それとやや似たようなものには映画館があるだろう。映画館でもその映画のパンフレットばかりでなく、関連グッズコーナーがあったりする。そのような記念品グッズは、その期間に買いそびれたら二度とお目にかかる機会がないだろう、と心の中で思ってしまうから買ってしまうのだ・・・ろうなぁ〜

蛇足
ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどの大きなテーマパークの収入はアトラクションとレストランとそこで売られるグッズで成り立っているのだろう。一度買い忘れたからと言って何度も訪れる人もいるようだ。娘もUSJである映画のキャラクターグッズを買いたいと行って二度行ったこともあった。それはそれで親もある程度は楽しんだが。


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「凡人の日常生活の小さな冒険を露出する」

「衝動買い日記」鹿島茂著より。
はじめ筆者の鹿島氏には「中央公論」の編集者から日常生活の中で衝動買いしたモノを報告するかたちで連載するようにとの誘いがあったという。しかし、それは必然的に日常生活そんものの露出ということになり躊躇したらしい。
しかし、エッセイや日記をブログに書くことは私生活を人目にさらすことでもあったのだ。また他人が日常生活の中の買い物を面白がるかどうかにも不安があったようだ。
しかし、実際はごく平凡なOLや女子学生が日常の出来事や買い物報告をしているホームページ、ブログはアクセスが多いことがわかり、氏もそれでそのオジサン版を始めたということなのだろう。
読み終わってみると、つまりオジサンだって、衝動買いは好きなんだぞということがこの一冊でよくわかったのだ。もちろん本職は大学教授とはいえ、エッセイストでもあるから知識も豊富で面白い。さすがプロを感じた次第。
衝動買いはしたものの、それがその後どうなったかも「あとがき」で書かれていたのも興味深い。2年間の連載だったのだろう、24種類のモノについて書かれていたが、約8割は正解だったようだ。思いつきで買った物にしては大正解だろうな。
衝動買いという小さな冒険・・・楽しめるだけの余裕をもって生きたいものですねぇ〜