手間暇かけることを楽しんだ。

ターシャ・テューダー展」より。
先日、町田のデパート特設会場で開催中の展覧会を観てきた。以前NHKの特集番組で放映されたとき見ていたので興味深かった。ターシャさんはアメリカで最も愛された絵本作家の一人らしい。自然が大好きで、その中での生活を楽しんでいた。
その生活するほとんどを手作りでまかなっていたのだ。小さな絵本を自分の子供たちに作っていたが、それは子供のためというよりむしろ自分が楽しいから作っていたようだ。ぬいぐるみもあやつり人形も遊び道具もほとんど手作りだった。
ターシャさんは1915年に生まれ、2008年6月に92歳で永眠していた。バーモント州の山奥で一人暮らしを始めたのは56歳の時だった。また絵本作家としては70年間に100冊もの作品を出版していくつかの賞も受賞していた。
展覧会場には絵本の原画のほか、彼女が長年愛用してきたティーポットや紅茶茶碗、水差し、食器類、手書きのレシピなどたくさんの道具類が並んでいた。1年分のローソク1000本を1週間かけて手作りしていた。また機織りの機械で糸を紡いで布を織ってもいた。物を大事に使う様子さえ想像できるほどだった。
また一番興味深かったのは、なんと30万坪という広大な庭だった。この広さを維持管理するのは並大抵ではないだろう。実際は森の中に暮らしているようなものだ。自然の中で栽培する野菜や果物などの栄養分は豊富に違いない。
ゆっくりと流れる時間のなかで手間暇かけることを楽しんでいたのだ。そんなライフスタイルが長寿の秘訣のようにも思えた次第。頼るのは自分一人だけのような生活だったのだろう。彼女の言葉があった。「人生は短いのよ。文句を言っている暇などないの。目の前にある幸せを、精一杯味わうことよ」と。
一見便利でスピーディーな現代の生活は豊かなようにも思えるが、ターシャさんのライフスタイルこそ、本当に恵まれた生活にも思えてきた・・・な。手間暇かけられるということこそ贅沢ではないかな。


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同じ値引きでもセールはだめだが、クーポンならOK。
R25」2009.5.14号より。
ここでのコラムのタイトルは「百貨店・衣料業界に見るイマドキ“売れ筋”事情」とあった。コンビニ上位3社の売上は良かったようだが、百貨店はどこも低迷している。
今のところいいといえば、任天堂ユニクロがまず頭に浮かんでくる。4月には意外にも百貨店の話題が連日テレビで取り上げられていた。それは小田急百貨店で、婦人靴の下取りキャンペーンを行ったからだった。
家電品店などではすでにこの方式は行われてはいたが、百貨店としては初の試みだった。だからこそマスコミは取材し連日テレビニュースで伝えられていたのだ。その影響でさらにお客さんが増えたようだ。
しくみは、メーカーや靴の状態にかかわらず、1足につき1050円のクーポン券を配布して、婦人靴5250円以上購入の場合に利用できるというものだった。同社広報によれば、結果的は2週間で前年同期比で2倍の売り上げがあったそうだ。
バーゲンで値下げをやったとしても、一定期間にそうそう2倍売れるということはないだろう。単価で30%〜50%値引きすれば、売上げ数字も下がるだろう。しかも、セール品は売れない商品の処分的イメージがある。いくら安くても欲しい色柄サイズの商品がなければね。
しかし、クーポン券ならまだシーズン中の豊富な商品から選べ、しかもクーポンで割引価格となれば嬉しいのだろう。ちょっとした消費者の心理をつかんだということだったのだ。その後紳士靴、ハンドバッグばども同様の下取りキャンペーンを行っていた。
すると、同業他店もさっそくそれを真似し始めたではないか。つまり二番煎じというやつだ。それでもまだまだ利用者は続々といるらしい。しかし、まあこれも一時のブームのようにも思えるが。