固定観念に縛られることなく「見つける」「探す」「感じる」

朝日新聞」2008.12.14付けより。
“朝日求人”の中の「仕事力」というエッセイのなかで野村克也氏が言っていたこと。4回連載のうちの2回目で、この回のタイトルは“自分の意識でプロに育つ”だった。
ここではおもに2つのことについて述べらていた。一つは「プロ意識は恥の意識だ」という。自分のプレーが学生やアマチュアと比べられること自体が恥ずかしかったという。要するに「恥の意識」が張り詰めていない人間はプロフェッショナルとは言えないと思っているのだ。
二つ目は野村氏自身の人生訓で、「小事が大事を生む」というものだった。プロ野球は実力の世界だから、他人と同じことをしていたら競争に勝てない。そこで結果を出すために様々な努力と工夫が必要だったようだ。これはもちろんどんな仕事にも当てはまることだが。
それに関するエピソードがあった。野村氏はホームランバッターになりたいという夢を持っていたので、合前の練習で相手方のベンチに行き、当時の名だたるホームランバッターである藤村富美男さん、川上哲治さん、大下弘さんたちのバットをこっそり握ってみたのだった。
すると、どのグリップも細いという共通点を見つけたという。そこで、自身もまねてみたが、結果は出なかったのだ。そしてある時もらったバットのグリップがたまたま太かったので、それをつかってみると気持よく打てることに気づいている。
つまりそれまではホームランバッターのバットグリップは細いものという固定観念に縛られていたのだった。そこで、「固定観念は悪、先入観は罪」と実感したようだ。何よりも大事なことは、自分自身で「見つける」「探す」「感じる」ということだったようだ。
他人のノウハウは必ずしも自分にとっても同じくノウハウとは考えられないという意味でもあろうな。またちょっとした成功のヒントは意外な偶然からやってくることもあるもの・・・かな。

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上司が嫌いだと思うのは、自分自身に強さがないから・・・
「人生の答え」テリー伊藤中谷彰宏著より。
もうほとんど余計な解説は不要かもしれないが、逆から考えればわかりやすい。自分に力がついてきて仕事が面白くなれば、上司が嫌いだなんてことはあまり気にならないはずだろう。
親子の関係でも似ている。子どものうちは親のいうことがうるさく感じられる。しかし、大人になるにつれて、親の人生を考えるくらいの余裕が持てれば、かえっていたわらねばと思ったりもする。苦労かけたことさえ思いだされてくる。
だから上司にもその立場があって、いろいろと言わねばならないこともあるのだろう、と考えればちょっとは見方も変わるかも。とにかく自分が実力さえつければ、上司の存在はそれほど気にすることもないだろう。
そういえば、25年ほど前にはダメ上司に当たってしまったことがある。とにかく酒にだらしがなかった。飲み始めたら浴びるほど飲まないと気が済まないらしい。しばしば朝からアルコールの匂いがしていたものだった。
早くそんな上司の下から抜け出したいと思い、取締役に直訴したらあっさりと行きたい部署に異動させてくれたのだ。それ以来、自分の好きな仕事をさせてもらっている。部署さえ変われば、いやな上司も関係ないか。
その後、かつてのその上司は自業自得と言うべきか、心身ともに自身で苦しんだようだった。かえってそうなるとかわいそうなくらいだったな。要するに半面教師の見本のような男だったかも。

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成功しない人に限って効率を考える発想から入っていく。
「人生の答え」テリー伊藤中谷彰宏著より。
成功している人や好きなことをやている人は、あまり効率を考えない。他人から見ればかなり無駄な時間を過ごしているようにみえるのだろう。
5年ほど前に、一人の友人に「最近ホームページを始めたので、時間があれば覗いてみて欲しい」というようなことを言った覚えがある。すると彼は「それって何かメリットあるの?」と返してきたのだ。意外な返答で、ちょっと驚きだった。
ホームページを作ったといっても、なにもメリットなど考えたことはなかった。ただ単純に自分が面白そうだと思ったから始めただけだった。
自分の趣味を始めるときに、いちいちメリットや損得など考えていたら何も楽しめないだろうと思った次第。仕事でも効率ばかり先に考えていたら何も始められなくなってしまいそうだ。
テリーさんは、自身の面白いエピソードを語っている。それは、昔、お嬢様と付き合いたいと思っていたらしい。そこで、どこへ行ったらお嬢様に出会えるかと考えて、田園調布か成城学園だと思ってすぐに成城に出かけて行ったという。あまりあれこれ考えずに行動したおかげて、お嬢様ともお友達になれたと述懐している。
そこには何のテキストもマニュアルもない。ただの思いつきで行動を起こしている。あったと思えるのはちょっとしたマーケティング戦略のようなものだけだったのだ。
営業マンだったら、まずこうすれば効率がいいのだろうか、なんていう発想から始まってもうまくいくとは限らない。ムダを承知でいろいろと試行錯誤していくことで、ノウハウがつかめていくことも多い・・・はず。