“自分が納得できる仕事をしたい”という反骨精神と信念だけ・・・

R25」2008.11.6号より。
これはNHKを退社したときの草野仁さんの気持ちだった。’85年にフリーになってからいろいろなチャレンジをして成功している。’86年からスタートした『世界ふしぎ発見!』は23年にもなる長寿番組だ。
草野さんは還暦を過ぎてはいるが、身体の鍛え方が半端ではない。電話帳を両手で引きちぎり、トラックを引っ張り、芸能人レスリング大会では優勝する。格闘技好きで、胸囲は120センチだという。
NHKの出身のアナウンサーというと真面目そうな気もするが、意外な面も多そうだ。自身の言葉によれば、やれと言われれば何でもやってしまうお調子者でもあるという。これを支えるのも体の強さだろうか。
そんな草野さんもかつては地方の放送局時代にはお茶くみもさせられたという。しかし、そんなときでもどうせなら喜んで飲んでもらった方がいいと思って、その人の好みで濃くしたり薄くしたり、熱めにしたりぬるめにしていたという。
お茶の入れ方まで工夫して、ずいぶんと気を使っていたようだ。そして、「“お茶くみ”は“人の気持ちをくむこと”でもある」とまで言っている。ここまでくればスゴイと唸ってしまう。本物の気配りはこんなところにあるのだろうな。
そして、どこにいても地道な努力と新たなチャレンジ精神を持ち続けていることが、草野さんの成功の秘密のような気もするな。心身ともにタフでいつも若々しい・・・なぁ。

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平凡な話しかできないのは、その人自身が平凡だから、というだけではない。
「人を10分ひきつける話す力」齋藤孝著より。
ここにある「平凡な話をする」の反対は「他人と違うことを話そう」という意識だと思える。氏は平凡でつまらない話をすることは、聞いている人の時間を奪っていることになると断言する。それがたとえ3分でも100人を相手にしていれば、300分、つまり5時間になるわけだ。計算上は恐ろしいほどの時間量になる。だから長い話で、意味のない話は犯罪的行為だとまで言っている。
別の表現もしている。それは、話を聞いてもらうことは、聞いている人たちの貴重な時間を預かっているということだ。だからお金を預けられているのと同じで、利子をつけて返さなければいけないものだった。それは意味のあることをきちんと相手に伝えて納得させられるかどうかということでもあった。
そこで必要なのは「おもしろいことを言おう」という強い意志を持つことだったのだ。おもしろい、とは単に笑えるということではなく、聞いてためになったということだ。納得できるということは、共感できる話ということになる。
独りよがりの話をしたところで、だれも共感は持てないもの。齋藤氏はおもしろいたとえで語っている。それは独りよがりの話はホームビデオのようなものだという。それは、他人の結婚式や子どもが映っているビデオはよほどのオモシロ映像が映ってない限り退屈なものだという。
この比喩自体かなり納得できるたとえでもあるな。義理でそんなものを見ても面白くも何ともない。似たようなものが、写真(アルバム)でもいえる。かつて、知人に旅から帰ったあとで数百枚の写真を見せられたが、実に退屈なものだったことがある。
タイトルのフレーズとはややずれてしまったが、人にとっておもしろいものはやはりそれなりに意味があって納得できる話でなければならないものだった。意味もなく面白く笑えるものはお笑い芸人に任せておけばいいかな・・・

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人間には問題を出されると、つい答えてしまうという習性がある。
「人を10分ひきつける話す力」齋藤孝著より。
この齋藤先生の授業のイメージでは長々と説明するのではなく、バンバン質問を出していくというものだった。とは言っても実際に解答してもらって正解かどうかというものではなく、ほんの数秒間だけ間をとって考えてもらうというものだという。
そして、次の話に進んでいくようだ。ネタを問題形式にして、テンポを作っていたのだった。そうして、問題を次々に出すことで聞き手の注意をひき続けられる。この方式はテレビ番組の多くがクイズ形式になっていることからもわかる。
最近雑学系などのクイズ番組が花盛りだ。私は面倒だからほとんど見ることはないが。しかし、健康系やお笑い系のバラエティ番組の中でもクイズ形式で話題を進めていくものが多い。
そして、問題を提示して、さて答えが・・・というとたいていそこでCMが入る。これはテレビのチャンネルを変えられないための方法だろう。しょうがないが、答えを知りたければその後も番組を見ることになる。
また、クイズ形式でなくても、ちょっとしたもののコツやノウハウやアドバイスなどの“おトク情報”も、しばしばCMをはさんで続けられる。誰でもいい話は一応は聞いておきたいものだから、これもしょうがない・・・・かも。
ということから、ある程度意味のある内容なら、こんな質問形式で話を進めるというのもよさそうだな。しかし、期待は持たせても、それなりの濃い内容でなければ逆に信頼を失うだろうが。