変化を求める世の中だからこそ、変わらずに続けることに価値がある。

「続ける力」伊藤真著より。
この本を手にするまでは、筆者についてなにも知らなかった。伊藤さんは弁護士で、司法試験のカリスマ塾長らしい。そして仕事、受験で成功する王道はやはり頭のよさより続けられるかどうかが重要だと指摘している。
27年間にわたる司法試験の受験指導の経験かがそう言わせているのだろう。使い古された言葉に「継続は力なり」といのがあるが、どんなことも少し続けるだけで単純で退屈になってしまうもの。氏は「単純で退屈なこと」を長続きさせるコツについて述べている。
効果的なのはやるべきことを徹底的に絞り込んで、飽きや退屈のハードルを下げることだという。氏の経験が語られていた。中学生の時ペン習字に取り組んだものの1か月もしないうちに投げ出したという。次に司法試験の論文で文字を書かねばならないということで、再びペン習字を始めていた。
この時はポイントだけ絞って毎日5分づつ頻出語句だけを書く練習を1年間続けていた。この効果はあったと振り返っている。つまりこれが飽きや退屈のハードルを下げるということだったのだ。できるだけ短い時間、しかもやることは限られたことだけに絞っていたのだ。
もっとも、根底には試験に受かりたいという切実な願いがあったからこそ、1年間もペン習字の練習がつづけられたのだろうな・・・(合格後はまた元の文字に戻ったらしいが)


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「例外」を「原則」に替えれば続けられる。

「続ける力」伊藤真著より。
伊藤さんはまず自らの失敗のパターンを振り返っている。その一つがダイエットだった。これはかなり多くの人が経験しているのではないだろうか。(私も腹囲が気にかかっているが)
氏は40歳を過ぎてから腹周りが気になり、通販で宣伝している腹筋マシーンなどを次々に購入しては挫折を繰り返している。(私も似たようなパターンだ)そして、自己流スクワットのやりすぎで膝を痛めたのが契機となって失敗のパターンから抜け出していた。
結局、食生活を振り返ると仕事柄、深夜の食事を何十年も続けた結果体重がオーバーしていたことに気付いたのだ。そこで、食事の時間帯を変えたことだけで、1年間で10キロの減量に成功したと語っている。これなら筋トレより随分とラクだ。
つまり、マシンを使った筋トレは生活パターンからすれば「特別な時間」「例外時間」だったのだ。新しいことを始める場合は「生活の原則にする」という意識の組み換えがこそがポイントだったようだ。
要するに継続したいこと(運動にしても勉強にしても)が、毎日の歯磨きや入浴のように自然に「習慣として」できるなら、半分は成功しているのかも・・・


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勉強が気分転換として、生活の一部になって・・・
「続ける力」伊藤真著より。
これは伊藤さんのところに届いた、ある合格者からの手紙のワンフレーズだった。この人(男性、北海道)は30歳間近で結婚していて子どももいる中で、司法試験の勉強を始め7年目で合格を果たしていた。
勉強を始める前には漠然と法律家にあこがれていたという。そして、伊藤氏の本を読んだきっかけで勉強をスタートしている。本業の仕事、子育て、妻の入院、母の病気、幼稚園の役員などやり、十分な時間もなくスローペースで続けたそうだ。
ポイントは勉強を楽しめたことだと思える。それが上記のフレーズにもあげた「わたしにとっては勉強が気分転換として、生活の一部になっていました」という一文に表れている。
「攻略」「克服」というような意気込みよりも「習慣をつくる」、ときには「自分の仲間に引き入れちゃおう」ぐらいの、少し力の抜けた姿勢のほうがうまくいく、と伊藤さんは語っている。

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ゴールのさらに一歩先をイメージする。
「続ける力」伊藤真著より。
確信を持てずに努力をするのは不安がつきまとうもの。受験を経験した人なら誰でもそうではなかったろうか。そんな時、伊藤氏は「ゴールからの発想」という考え方をすすめている。具体的には受験生には「毎日3時間の勉強を二年間すれば、合格に必要な知識は身につく」と明確な数字を出している。
早い段階で、勉強の全体像を示し、ゴールを示している。しかし、本当のゴールは試験に合格することではなく法律家になって自分のやりたい仕事をするところにあるはず。
就職活動も同様で、いくら第一志望の会社に入社できたからといって、すぐさま自分なりに好きな仕事ができるわけはない。またいくら受験して資格を得たとはいえ、早い時期に自分のペースで仕事ができるほど甘くはない。
元Jリーガーの八十祐治さんは現役引退後、31歳のときに法律家になることを志していた。仕事をしながら受験勉強を続け、4回目の挑戦で最終合格(司法試験)していた。
モチベーションを維持できたのは、合格後まで考えていたことも要因のようだ。つまり弁護士として法廷に立つ自分の姿や、困った人たちを救済する自分を想像していたからだと、伊藤氏は考えている。
「ゴール」だと思っていても、意外にそれは「通過点」に過ぎないことが多い。大学合格、就職(入社)、結婚などを振り返れば、そうだったことが分かってくるな。どれだけ、その後をイメージできているだろう・・・