プロ野球の放送は「娯楽」だが、学生野球は「教養」・・・

「テレビ的教養」佐藤卓己著より。
はじめは柔らかそうな内容の本かと思ったが、かなり学術的な考察の一冊だった。サブタイトルは“一億総博知化への系譜”とあった。上記のフレーズは別に筆者の言葉ではなかった。ある人が言ったことの引用で、その部分を抜粋すると次のようになっていた。
〜〜番組を分類するに当たって、プロ野球の放送は「娯楽」だが、学生野球は「教養」であるというようなことが言われたことさえあった。〜〜
この部分を読んでいたら、NHKの番組放送のことが頭に浮かんでしまった。例えばNHKでは娯楽番組もたくさん放送されているが、同時に教養番組も多く作られている。他の民放では教育、教養番組と思われるものでは視聴率が取れないからやむをえないだろう。
スポンサーのよほどの理解がないと民放では教養番組は制作されないだろう。そこへ行くと、NHKは視聴率をそれほど気にすることなく、語学や古典芸能、特定の視聴者向けの番組を制作できる。その資金も十分あるのだろう。
タイトルに挙げた学生野球が「教養」かどうかは別として、いずれにしても、学生などのアマチュアスポーツはめったに民放では放映されない。娯楽としてのスポーツはどこのテレビ局でも放映している。
NHKの全国高校野球大会(甲子園大会)では、実にまじめな解説がなされいる。それに対して民放でプロ野球を放映している時のプロ野球OBの解説者やゲストは勝手にいいたい放題の感じがするな。(それが面白かったり、つまらなかったり・・・)

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「僕はラブソング以外は、歌ではないと思っている・・・」
「プレジデント」2008.6.16号より。
谷村新司の言葉だった。その“ラブ”とは単に男女間の恋愛感情だけを意味していない。家族愛、隣人愛、人間愛、地球愛・・・苦しんでいる人に手を差し伸べるのも愛、生きる力を与えるのも愛だと語る。実にスケールの大きな“ラブ”だった。それが谷村氏らしいところでもあるな。
彼にはもうひとつのテーマがあった。それは“夢”だった。いつも夢を追い求めている人生でありたいという。だから彼の歌のテーマは“愛と夢”ということになる。一見平凡のようで奥が深そうだ、と感じるのはこれを言っているのが谷村氏だからだ。もしこれを新人やアイドル歌手が言ったところで何の説得力もないだろう。独自の谷村ワールド創り上げた氏だからこその言葉の重みを感じる。
アリスの活動を休止したのは1981年だった。その後はソロシンガーとしての活動をしながら、手探りでアジア進出の道を探し始めていた。その時の“夢”は「アジアの仲間を募って一緒に語り、歌いたい」というものだったのだ。その夢が実現したのは3年後だった。韓国からチョー・ヨンピル、香港からアラン・タムを迎えて1984年に後楽園球場でコンサートを開催している。
3人は三国志を気取って義兄弟の契りを結んだという。(笑)アジア各地を回る活動は10年間も続いたという。しかし、それはほとんど赤字だったようだ。実に志の強さを感じますね。その後、アジアでの活動に中国が注目して2004年に上海音楽学院の常任教授に就任している。(これは有名な話ですね。)

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「音楽は理論や技術も大切だが、一番大切なのは“心”・・・」
「プレジデント」2008.6.16号より。
(前日のつづき)
谷村氏が教鞭をとる音楽院は中国の二大音楽院の一つらしい。生徒数は2000人、100年の歴史を誇り、そうそうたるクラシックの音楽家を何人も輩出しているという。当然ながら入試の倍率はもの凄いらしい。
そんな中国の教え子が今年初めて卒業したのだ。そして、『谷村先生のように中国と日本の架け橋になりたい』と何人にもいわれたと振り返っている。
ちょっと面白いエピソードがあったので触れてみよう。4年前、上海でコンサートを開催した際、谷村氏が教えている音楽院の学生を招待したことがあった。谷村氏が最後に『昴』を歌ったら、生徒が『先生がおつくりになったんですか』と驚いていたという。
中国の若者たちはこの『昴』を中国の歌だと思っているらしい。(まあ、日本でも今の20代、30代の人には『昴』と聞いてもピンとこないかもしれませんがね。)そうそう、誰かが言ってたが、カラオケでは一番聴きたくない歌らしいが・・・