道具を大切にすれば、道具も裏切らない。

「読売新聞朝刊」2008.4.23付けより。
そのあとには「イチローの華麗な好守がそれを教えてくれる」と続いていた。これはスポーツ面のコラム“熱視線”というコーナーで目にしたものだった。
ここでの表題は「イチローを支えた名工引退」となっていた。日米200人以上のプロ野球選手のグラブを作ってきたミズノの坪田信義さん(75)が勤続60年の区切りとして引退したと記されていた。
イチロー選手のグラブを作り始めたのはオリックス時代の1994年だというからもう14年間も作っていることになる。彼のリクエストは「軽く、柔らかく、良く開く」という3点が基本的なものだったという。
イチロー選手は毎年のように数ミリの単位で「ダメなものはダメ」と言ってマイナーチェンジを繰り返していたようだ。実に妥協のない姿勢だが、さすがにそれにしっかりと応えてきた名人もすごい!
オリックスでは7年連続ゴールデングラブ賞マリナーズでも7年連続ゴールドグラブ賞を受賞しているがその裏には道具に対する緻密なこだわりもあったようだ。
時どきエラーをした選手がグラブを叩きつけたりするのをテレビ画面で見ることがあるが、「イチロー選手は絶対にそんなことはしない」と坪田さんは述懐している。むしろ外野からベンチに戻るとグラブをきちんと置いていることまで見ていた。
はたして自分はふだん使う道具類を大切に扱っているだろうか、と振り返ってしまった。本当に価値ある物を手入れしながら使っていくことは上達へのひとつの心構えかもしれないな〜。