凡句凡写が一体となって化学変化する・・・

朝日新聞朝刊」2008.4.23付けより。
これが写真俳句の世界だと述べているのは森村誠一さんだった。ここには朝日新聞が募集したアスパラ写真俳句塾第6回投稿特集として総評が掲載されていた。写真だけが優れたり凝ったりする必要はないという。大切なのは日常性から離れていないことのようだ。写真があることで俳句の意味が納得できる。
写真と俳句がセットになっているところが面白い。そして写真が先でも俳句が先でもどちらでもかまわないのだ。タイトルに挙げた部分は、そのどちらもが平凡なものであっても、二つが合わさることによって化学変化で立派な作品となることもあるという意味のようだ。
そして、今回の最優秀作品と優秀9作品を見てちょっと気になったのはその受賞者のほとんどが高齢者だったことだ。最優秀作品は79歳の男性のものだった。あとの9名の内訳は76歳、72歳、67歳、64歳、60歳、59歳が各1名69歳が3名だった。感性に年齢は関係ないことの証拠でもあるだろう。
なお、最優秀作品は兵庫県の平井さんの作品で、写真には金網に悔い込んだ古木の枝が伐り取られ短くなっていて地面には枯れ葉が積もっている風景が写っていた。
「木の骸(むくろ)必死に生きて伐(き)りとられ」という俳句が添えられている。解説には“長い歳月を見つめてきた古木が乱開発によって伐り取られてしまった。・・・”とあった。
(それらの作品は「アスパラクラブ」というホームページで見られるが、無料会員登録が必要になっている。私は以前に登録したのでたまに眺めているが。)

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徐々にクセになる不愉快さ。
朝日新聞朝刊」2008.4.23付けより。
文化面でクラシック音楽に関するコーナーにあったもの。クラシックといえば、「癒し系」というのが一般的だが、ここにはその対極とも思われる「ストレス」というタイトルで発売されているCDの紹介があった。
ジャケットは漫画家の蛭子能収によるもので、下のほうに都会のビル群あって、その上(絵では中心)には背広姿のサラリーマンらしき男が横たわって地面をかきむしっている姿が描かれている。そこからはいかにもストレスでもがいている様子がうかがえる。
全17曲とも落ち着いて聴いていられない曲ばかりのようだ。このコーナーの筆者によると、まるで歯医者で虫歯をいじられている気分になってくるという。ところが聴いているうちに、その不愉快な感じがクセになるらしい。不思議なものだ。
これは味覚にもちょっと似ていそうだ。はじめ一口食べたらクセがあってマズイ!と思ったものの、慣れてくると意外においしくてそれがクセになってしまうというような感じかもしれない。数年前に似た経験があった。それは知り合いの台湾出身の歯医者さんに故郷のお土産として缶入りの高級烏龍茶葉をいただいたときだった。
はじめのうちは国内の烏龍茶に慣れていたためかどうもなじめなかった。ところが数日飲み続けるうちに急に美味しく感じられてきたのだ。これほど美味しいものは今まで飲んだことがないと思うようになっていた。それを飲み終えてしまうと日本で売られている缶入り烏龍茶が実に単調でまずく思えたものだった。
先ほどのCDを企画した中島浩之氏プロデューサーは「癒し系のCDばかりつくっていて、ちょっと欲求不満だった」というのが理由だった。「ストレス」という意表をつくタイトルかその中の選曲なのか、買う人も意外にいるようだ。でも、個人的にはクラシックでは癒されたい・・・な。


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プロ入り○年目で初・・・
朝日新聞朝刊」2008.4.23付けより。
別に「プロ○年目で初・・・」というような見出しならありふれている。しかし、スポーツ面の同じ紙面に3つもあったのでちょっと目に留まった次第。
最も大きな見出しだったのは「中田プロ初完封」というやつだった。中日の中田投手がプロ入り4年目で阪神相手に初完封で3勝目をあげた記事だった。昨季は14勝を挙げリーグ2位の177三振を奪っていた。それでも完封までには4年を要している。
次は「3年目星野涙の初勝利」という普通サイズの見出しだった。日本ハムオリックス戦で日ハムの星野(27)がプロ入り3年目でようやく初白星を挙げたという記事だった。しかも大学卒業後JR北海道へ入社し札幌近郊の手稲駅の改札で働きながらプロ入りを果たしている。そして「今年結婚した妻と両親に感謝したい」と述べている。
そして、最後はおなじ紙面にあった「自由自在」というコラムの中で「19日の札幌ドームの対ソフトバンクとの試合でプロ入り7年目で決勝1号2ランを放った佐藤吉宏について書かれていた。1軍に上がったのが今年で初めて先発で起用されて放ったプロ初安打が本塁打だったいうから一生忘れないであろう。



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いつかはぼくも、ということだけがモチベーションだった。
朝日新聞朝刊」2008.4.23付けより。

(前日のつづき)
日本ハム佐藤吉宏選手は高校通算40本塁打を放っていた。そして佐賀ゴジラとも称されていたようだ。しかしプロの壁は厚かった。2軍暮らしが長かった苦労人だ。今後はヤンキースゴジラ松井と同じ現在の背番号55にふさわしい活躍を期待したいもの。
6年間の2軍暮らしは実に長かったに違いない。真面目に練習に取り組んできた成果が本塁打だったのだ。札幌に向かう選手を何人も見送りながら、いつかはぼくも、ということだけをモチベーションだったようだ。そして、今日のタイトルに挙げたフレーズは彼の言葉の一部だった。
試合後、梨田監督は「まじめにやっていれば結果を出せることを証明してくれた」と述べている。(スポニチ参照)この佐藤もまた「芽が出なかったのにみんな見捨てないでつきあってくれて、とても感謝しています」と感謝の言葉を口に出している。苦労するほど感謝の気持ちがわくのだろう・・・な。
プロに入って期待されながらも2軍のままで去っていく選手も多い。あとはどれだけ長く1軍に定着しプレーできるかだな。まだまだ多くの無名の選手には実力をつけ印象に残るプレーでプロでの足跡を残してほしいものだな・・・