好きなことをずっと仕事でやっていくために知っておきたいこと。

ちょっと気になったのは、この長ったらしいのがそのまま本のタイトルだったからだ。趣味を仕事にしてしまった2人の男の対談だった。筆者は北原照久氏と矢野雅幸氏だった。北原氏はもう世界的なおもちゃコレクターとしても知られている。また、矢野氏は飛行機のモデルを販売していた。
オモチャ博物館を経営するということはそれまで誰もやっていなかったビジネスでもある。また飛行機モデルの販売も誰も手をつけなかった分野でもあった。はじめは誰もがそれが商売として成り立つとは想像しにくい。しかし、情熱があればそれが仕事になってしまうのだからすごい。
この二人はお互いに20年来の大親友だったのだ。もし出会わなかったら、今の自分はなかったと言うほどの信頼関係で結ばれている。先にオモチャをコレクションしていたのは矢野氏の方だった。ある雑誌に掲載された矢野氏の部屋のコレクションを見て北原氏は実際に会いに行っている。
その後北原氏は自分でも集め始めている。この本の中でも二人は今までの仕事での苦労話などを語っているが実に楽しそうだ。好きなことなら寝食を忘れてしまうほど没頭してしまう。夢を熱く語れること。お互いを認め合い高め合えるような友人を見つける。人との出会いを大切にすることなどが「好きなこと」を仕事にするためには必要なようだ。
北原氏はすでに何か所もおもちゃの博物館を系経営しているが、何年か前に箱根の「おもちゃ博物館に」いったことがある。懐かしいおもちゃがたくさん並んでいて、大人でも楽しめる。また今の子供にはそれらが珍しくも見えるのだろう。
そういえば、駄菓子屋で売られているようなお菓子やおもちゃもあったな。まだまだそんなところにも昭和の面影が残っている感じがするな。


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生きるために必要じゃない物を集められるのは、人間だけ・・・
「好きなことをずっと仕事でやっていくために知っておきたいこと」北原照久、矢野雅幸著より。

作家の荒俣宏さんは「コレクションは学問だ」といっているようだ。コレクションは人間以外の動物はしない。どうして集めることが学問に通じるのだろうか。それは集めているうちに自然と管理するために分けて考えるようになるかららしい。分類、整理をするためにはいろいろと調べる必要も出てくるだろう。たとえば、玩具も飛行機、車、動物、・・・と複数の種類があればそれらの詳しい資料なり歴史なりを知るとさらに奥が深くなるのだろう。
整理、分類するうちにさらに興味が湧いてきて、また集めたくなるらしい。趣味だから進んでできる勉強ということになる。集める、整理する、調べる・・・その繰り返しで結果的に体系づけられる。つまりそれが“コレクションは学問だ”ということになるのだろう。
まだまだ日本ではたかが子供のおもちゃか、という程度でしかないかもしれないが、アメリカではオモチャをひとつの文化として見ているようだ。矢野氏が若いころアメリカへ留学したときにそれを痛感したという。それは古いおもちゃには価値が認められオークションにまで出品されていたからだ。また、60年代後半には『ゴールデンエイジ・オブ・トイズ』(おもちゃのカタログ書籍)というすばらしい本まで出版されていたからだ。
面白いことに、矢野氏はアメリカで日本製のおもちゃをけっこう買ったという。日本では見かけないし手にも入らないおもちゃがあったからだろう。また20年前にはアメリカではおもちゃのような非現実的なものまでちゃんとコレクションの対象になっていることを実感している。
コレクターがいれば、また彼らを対象にビジネスも成り立っているということになるか。趣味の世界にはお金をどんどんつぎ込む人があることも確かではあるな。私の知り合いにもミニカーなどを販売している人がいる。海外に買い付けにいって仕入れてきてはそのコレクター相手に商売している。当然お客は人はかなりの財力がある人ばかりのようだ。